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野球評論家・広岡達朗さん(93)「長生きしたければ正しいこと、やるべきことをやるだけ」 

 巨人の名ショートとして第二期黄金時代を築いた野球評論家の広岡達朗さん(93)。現役時代とは異なる「食事・運動・睡眠」習慣で健康を維持している。「正しいこと、やるべきことやる」を信念に暮らす広岡達朗さんの健康長寿の秘訣に迫った。

教えてくれた人

広岡達朗(ひろおか・たつろう)さん/1932年、広島県生まれ、93才。元プロ野球選手。野球評論家。1954年に巨人入団。1966年に引退。監督としてヤクルトをリーグ優勝に導き、西武では4年間で3度優勝(うち2回日本一)した。現役の評論家として活動中。

1日3食は大間違い。お腹が空いたら食べ、量は腹八分目

 お腹が空いたら食べ、眠くなったら寝る。それがいまの私の生活です。医者は眠れないというと睡眠導入剤を勧めますが、そのうち体が順応して薬が効かなくなる。そんなものに頼らなくても、つまらんことを考えなければ、人間は寝られます。

 食事も我々の年齢になったら主食は果物、その次が繊維質です。私は牛や豚など動物の肉は食べません。25、26才頃までは何を食べてもいい。体の中で中和する機能があるから。ところが30才を過ぎるとそれがだんだん弱くなり、肉を食べると血液が酸性に傾いていく。これはプロ野球選手も同じです。

 メジャー経験があるからといって、30才過ぎの選手を取って喜んでいるチームがありますが、食べているものが悪ければ、どんなに努力しても細胞の力が落ちてくる。これが自然の掟で、巨人の田中将大も本人が悪いわけじゃない。どんなにセンスがあっても、食べているものが悪いから勝てなくなるんです。

 この年になったら、1日3食食べないといけないというのも大間違い。とくに昼食は食べても食べなくても平気です。私はお腹が減ったときにだけ食べています。いろいろな果物を切ってヨーグルトをかけたり、たまに蜂蜜をかけて食べたり。紅茶を用意してパンを少し食べることもありますが、空腹がおさまったら食べるのをやめ、残りは冷蔵庫に入れます。全部食べないのがミソで、そうするとお腹が一杯になって苦しいということがない。

 朝食も、起きたときに「お腹が空いているな」と思ったら食べる。お腹に入れるのは豆乳、牛乳、果物、山芋などで、もちろん腹一杯は食べません。年をとると、昔から言われている「腹八分目」が、いかに正しいかがわかります。

食欲は健康のバロメーター。美味しくても食べ過ぎには要注意

 食べたものが身体の栄養になるのは、お腹が空いているときだけです。お腹が空いていなかったら、美味しいものをどんなに食べても栄養にはなりません。それを理解していないから、美味しいからといって食べすぎて、糖尿病などの病気になるのです。

 夕方も似たようなもので、お腹が空いていれば、玄米で作った握り飯をよく噛んで食べます。よく噛むと32本の歯の間から唾液が出て、それがどんな薬よりも内臓にいい。もう少し食べたいと思ったときは、もう食べません。腹が減ったぐらいの方が頭は冴えますから。

 酒も14、15年は飲んでいません。これもやめたということではなく、飲みたくないから飲まないだけです。

睡眠時間は意識しない

 運動は長い距離が歩けないので、座ったままで足を動かす機械を買ってやっています。寝る前にはベッドに寝転がって、専門家に教えてもらった血液を頭からつま先まで動かす運動。体が自由に動いた現役時代より、いまのほうがしっかり正確にやっていると思います。

 昨年5月に妻が他界して、いまはひとり暮らし。夕方の5時になったら戸締りをし、プロ野球中継があるときは6時から15分か30分くらい観て、本を1時間くらい読んで、眠くなったら布団に入ります。

「何時間寝ないといけない」ということもまったく意識していません。つまらないことは考えない。私がやっているのはそれだけです。

長生きの秘訣は「正しいこと」「やるべきこと」をやる

 野球中継も「正しいこと」をやっているかどうかだけを見ています。いまは当たり前のプレーをファインプレーだといって絶賛しますが、私なら人工芝だと目隠ししてでも捕れるけどね。プロはアマチュアができないことがやれて当たり前なのです。監督もいっぺんに点が取れるような作戦しか考えていません。バントの場面でも、打たせてチャンスを潰している。同点に追いつかれると相手がいろんなことを考えなければならなくなるということを知らない。アホですよ。

 いまでも昔から可愛がっている監督やコーチ、選手たちが毎日のように連絡してくるから、私はそれに答えるのにけっこう忙しい。「広岡さんが監督時代にやっていたことの意味が、監督になってようやくわかりました」と言ってくる者もいます。正しいことを教えてからでないと、私は死んでも死にきれません。

 長生きしたければ、正しいこと、やるべきことをやる。それをやらずに長生きしたいというのは虫が良すぎます。勉強もせずに評論家になろうというのと同じです。

 正しい生活というのは、自分の信義に沿った生活です。私はやるべきことは毎日やっている。長生きしたければ、自分で判断して、正しい生活をすればいいのです。

※週刊ポスト2025年11月28日・12月5日号

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