《誤嚥性肺炎で死に至るケースも》誤嚥をどう防ぐのか?3000例を超える胃の手術経験を持つ外科医が解説 注意したい「オーラルフレイル」とは?
誤嚥性肺炎を引き起こすのは特別な細菌ではなく、口の中に普通にある雑菌であることがわかっています。そのため予防には、自宅での日常的な口のお手入れに加え、週1回、歯科衛生士による専門的な口腔ケアを実施するだけでも有効です。
「固い食べ物が噛めない」「よくむせる、こぼす」「口が乾く、口臭がする」「自分の歯が少ない」「滑舌が悪く聞き返されることが多い」など、口の機能が低下している状態を「オーラルフレイル」と言います。口の機能障害のことです。
日本栄養治療学会には、たくさんの歯科医師の先生方にも会員として参加していただいていて、摂食・嚥下にとって重要な口の中のケアやオーラルフレイル対策について、意見を出し合ったりしています。
実際、口腔内環境を整えると、術後の肺炎にかかる率が下がるなど、患者さんにとっていいことがたくさんあります。逆に、口腔内のケアが行き届かず、衛生状態が保たれていないと、虫歯や歯周病だけでなく、怖い感染症や脳梗塞を引き起こすといったことも起きてきます。もちろん摂食・嚥下にもよくありません。
口腔内ケアやオーラルフレイル対策を行うことで、それらを予防できるという研究結果もあり、年齢を重ねるほど、「お口の健康」は重視したいものです。
食べることは、生きることです。そして、食べることのファーストステップは口。命の入り口ですね。
まずは摂食・嚥下のために、オーラルフレイル対策を知っておいていただきたいと思います。
オーラルフレイルと身体のフレイルについて調べた研究では、オーラルフレイルの高齢者が2年後に身体的フレイルになるリスクは2.4倍。4年後に要介護状態になるリスクは2.4倍もあることがわかっています。
オーラルフレイルの可能性があるかもしれないと思ったら、かかりつけ歯科医やかかりつけ医、日本老年歯科医学会の専門医・認定医に相談するようにしてください。
オーラルフレイルは、ご自身で簡単にチェックできます。画像の表をご覧ください。
5項目のうち2項目以上あてはまる場合には、オーラルフレイルに該当します。