介護を学べる“ボードゲーム”で「介護の仕事への興味が2.8倍に上昇」千葉県の中学校で実施
超高齢社会へ突入し、介護を取り巻く様々な問題が深刻化する現代日本。その一方で、若年層は介護に触れる機会も少なく、理解が進んでいないのが現状だ。そんな課題の解決の一助に、楽しみながら介護について知ることができる「ボードゲーム」を使って、千葉県内の中学校で訪問授業を実施。その様子をレポートする。
若い世代が楽しく介護について理解できるように
昨今、高齢化が深刻となる一方で、若年層にとっては日常生活の中で介護について触れる機会はほとんどなく、「よくわからない」「なんとなく近寄りがたい」というイメージが先行し、身近とは言いがたいものとなっている。ひいては、将来の仕事の選択肢に入りづらいことは、介護業界における大きな課題と言えるだろう。
そこで、NPO法人Ubdobe(ウブドベ)は、ゲームを通じて介護という職業の目的や本質を楽しみながら理解できるボードゲームを開発。千葉県介護の未来案内人ワークショップ事業の採択を受け、2024年11月、千葉・市原市立千種中学校への訪問授業を行った。
今回開発されたボードゲーム『100歳の同級生』は、ある日突然高齢者になった同級生の困りごとを、チームで協力しながら解決していくというストーリー。要介護状態を自身の学生生活という身近な環境とかけ合わせることで、介護にまつわる課題のジブンゴト化と、それを解決する介護の仕事の本質を体験することを狙いとしている。
現役介護職がファシリテーターとアドバイザーを担当
ゲームの実施中や、実施後のワークショップでは、千葉県が嘱託する「介護の未来案内人」が専門職としての経験を交えながらファシリテーターやアドバイザーを担当。介護の仕事の魅力を学生たちに伝えた。
「介護の仕事に興味がある」が授業の前後比2.8倍に上昇
また、授業後に実施したアンケートでは、「介護の仕事に興味がある」という項目への回答が、授業前と比較して25.9%から2.8倍の73.1%に上昇。生徒からは「介護について、ボードゲームを通して楽しく知ることができました。また、介護についての解説を聞いて、介護についてのイメージが明るく変わりました」などの感想が挙げられた。
今後は千葉県内を始めとして、全国の行政機関や教育機関、社会福祉協議会、企業など幅広い団体等でこのボードゲームを活用し、介護職の魅力発信や未来の介護職の人材不足解消へと繋げることを目指しているとのこと。どのような発展がされていくのか、楽しみにしたい。
【データ】
Ubdobe
https://ubdobe.jp/
※Ubdobeの発表したプレスリリース(2024年12月11日)を元に記事を作成。
図表/Ubdobe提供 構成・文/秋山莉菜