介護職を子ども達の憧れに──「介護の仕事」をマンガで学べる一冊、全国の小学校・図書館に寄贈
少子高齢化が進み、高齢者人口が年々増加する中、介護サービスのニーズに対し、それを提供する人材が圧倒的に不足する「介護人材の需給ギャップ」が深刻な課題となっている。そうした中で、介護職を子どもたちが憧れる職業にしていくための取り組みのひとつとして注目されているのが、“介護マンガ”の存在だ。老人ホームや介護サービスを展開するSOMPOケアが制作を手がけた、「学習まんが大研究! 笑顔をつなぐ! 介護の仕事」(編集・刊行/講談社ビーシー)。11月下旬から全国の小学校や公立図書館に順次寄贈されている。
漫画を通じて学ぶ「介護」の世界
同書は、おばあちゃんの骨折をきっかけに主人公が介護について学んでいく物語。介護が単なる支援ではなく、笑顔を生む仕事であり、ロボットやAI、IoTなどのテクノロジーが介護現場で活躍する様子も紹介されている。 子どもたちが自然に介護の仕事に関心を持つきっかけを持ち、介護職の魅力が伝わる内容になっている。
「制作したまんがでは、『介護の仕事はどういったものなのか』ということと、その魅力を一番に伝えたいと考えています。介護の仕事は、高齢による身体の変化や障がいなどにより、生活のサポートが必要な人を支える、大切な仕事であり、介護が必要になっても、ずっとその人らしい暮らしが継続できるように、その人を深く知り“できること”“やりたいこと”を大切にしながら、お一人おひとりに合ったサポートをしていく仕事であること。加えて、介護は、さまざまな職種の方と連携しながら業務を進める専門性を必要とする仕事であり、高齢者の方の生活を豊か(笑顔)にする魅力的でやりがいのある仕事ということが、子どもたちに伝わると嬉しく思います」(SOMPOケア広報部)
介護職の未来ある可能性を、次世代へ伝え続ける
同社はこれまでにも『SOMPO流 子ども食堂』を実施してきた。これは同社が運営する老人ホームなどで、子どもが高齢者と一緒に食事をしたり介護スタッフとともに配膳や片付けの手伝いをしながら介護の現場の空気を体験できるものだ。またSOMPOケアは、キッザニア東京の『ケアサポートセンター』パビリオンを提供してきた。そうした中で、子どもたちが介護職に触れる機会の重要性や、従来の介護職に対するイメージを変革していくことが必要と感じているようだ。
「『SOMPO流 子ども食堂』に参加したお子さんからは、“街中でも高齢者に優しく接することができた”、保護者の方からは”(施設の利用者から)褒められたことをきっかけに家でも手伝ってくれるようになった”といった声をいただいています。中には”介護職を目指す”と言ってくれたお子さんもいました。また、『ケアサポートセンター』パビリオンを体験したお子さんからは”介護の仕事は大変なだけじゃなくて、とても大切な仕事だなと思った”といった声をいただいています。
従来、介護は3Kと呼ばれることが多い職種ですが、『SOMPO流 子ども食堂』や『ケアサポートセンター』の様子を見ると、子どもたちはそういった偏見を抱いていないことが分かります。こういった取り組みを継続することで、介護職を子どもたちの憧れる職業にしていきながら、従来の介護職に対して未だにある3Kのイメージを『変えていく』、『価値ある』、『感動できる』の“New 3K”へと変革したいと考えています」(同前)
介護職に対する社会のイメージを変えることは、一朝一夕で達成できるものではないからこそ、次世代に希望を持って選ばれる職業となるよう、長期的な取り組みを続けていくことが求められている。同社では、今後も子どもたちに向けた施策を継続するという。
構成・文/介護ポストセブン編集部