解熱鎮痛薬や糖尿病の処方薬に潜む危険 心筋梗塞&脳梗塞で死亡するケースも【薬を飲んだ後に死亡した症例一覧付き<医師監修>】
代表的な血液凝固阻止薬「ワルファリンカリウム」を服用した50代の男性は脳の内部に血腫が流れ込む「脳室内出血」を発症、その後、死亡するケースが報告された。
「血液をサラサラにする薬なので出血を引き起こす危険性は避け難い。怖いのは脳などの重要な臓器で出血して止まらなくなることです。飲んでいて頭が締め付けられるような痛みがあれば、すぐに救急車を呼ぶべきです」(長澤さん)
胃酸を中和する制酸剤では「酸化マグネシウム」を服用した60代の男性が「高マグネシウム血症」を発症し、のちに死亡した症例があった。
「酸化マグネシウムは便秘薬としてよく使われますが、高マグネシウム血症になって呼吸抑制や意識障害、不整脈、心停止などが生じるリスクがあります。長期間、継続して飲んでいる人は気をつけたい」(谷本さん)
解熱鎮痛薬服用による心筋梗塞が増えている?
解熱鎮痛消炎薬で最も処方数が多い「アセトアミノフェン」は服用した60代男性が急性肝不全を発症、のちに死亡した例があった。
「漫然と使用し、過剰に摂取しやすい薬なので適切な使用を心がけることが重要です。特にお酒好きで肝機能が低下している人は解熱鎮痛消炎薬の服用には注意してほしい」(長澤さん)
解熱鎮痛薬で報告される症例数が増えているのが心筋梗塞だ。実際に「ロキソプロフェン」を飲んだ70代男性が心筋梗塞を発症し、のちに死亡した。こうした症例の増加により今年10月、厚労省は「ロキソプロフェン」など複数の解熱鎮痛薬の添付文書の「重大な副作用」の項に「心筋梗塞、脳血管障害」を追加するよう改訂指示を出した。
「副作用の報告はPMDAが精査して、必要に応じて国が添付文書の改訂を製薬会社に指示します。心筋梗塞の報告は近年増えていますが、これはコロナ禍で解熱鎮痛薬の使用量が増えたことが関係した可能性がある。表のなかには症例の疾患が副作用として添付文書に記載されていないものもありますが、今後、記載される可能性はゼロではなく、服用する場合は知識として知っておくことに意味があります。ただし、過剰に心配して自らの判断で服用を止めるのは避けてください。気になることがあれば医師や薬剤師に相談しましょう」(谷本さん)
不要に飲む薬が増えていないか、服用によるリスクが増していないか。専門家と相談のうえ、定期的に確認することが肝要だ。
その他の処方薬による副作用が疑われる死亡例
写真/PIXTA
※週刊ポスト2024年12月20日号
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