猫が母になつきません 第421話「まだまだ」
「猫入(ねこいり)」二十四節気を補う季節の移り変わりの目安である雑節(ざっせつ)のひとつ。寒くなって猫が布団に入って来る日のこと。←うそです。そんな言葉はありません…でももしやと思って調べたら、隠語で「猫入(ねこいり):窓。あるいは屋根を破り忍入る窃盗のこと」なんだとか。そんな物騒な。「猫入」は猫が布団に入る日です(決)。
猫飼いにとって「猫入」はカレンダーには書いておきたいような大事な季節の節目で冬の最大の楽しみなのに今年はまだやってきません。もうそろそろなのでは?とこちらから運んでベッドに寝かしつけても「まだまだ」とベッドから抜けてしまうさび。去った後のぽっかりあいた空間が寒い。本格的に寒くなれば向こうからやってくるのはわかっているのですが待ちきれません。寒くなったらなったでつらいのですが。ほんとに寒いのです、古い家。
例外はあって、強い地震があった日の夜、寒くないのにさびは自分からベッドに入ってきました。ほんとにこわかったんですね。災害時には一緒にいないと心配なのでこれはありがたかった。不安も寒さもくっついていれば乗り切れる。「猫入」の日が待ち遠しいです。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。