膵炎の母「こってり料理を食べた日」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第21話
漫画家で栄養士の資格を持つうえだのぶさんの母は慢性膵炎を抱えている。主治医の説明を聞いていない母と、今後の不安が募る娘の葛藤は続いている。そんな中、これまで制限してきた脂質たっぷりの食事を解禁。――母の反応は?
母、気づく
「原因不明で完治しなくていつどうなるかわからなくて膵がんのリスクもあって、でも現状できることはない」。。。そんな病気になってしまって母はどんな気持ちでいるんだろう?と思ったら、まさかの「現状が全くわかってない」ことが判明。さて、どうしましょう。
私は心理学の専門家じゃないし知識もないので、これは本当に個人の見解なんですけど、ポジティブな人って「気にしない」と言うか「考えないようにする」と言うか、なんなら「聞かなかったことにする」っていう機能がデフォルトでついてるんじゃないかと。
そう思うくらいうちのポジティブな母はお医者さんの説明を全く聞いてなくて、「膵管に石が詰まってただけだから、次の手術でこれを取ったら終わり」とか「膵炎から膵がんになることはないって」とか、友人知人親戚に嬉しそうにバンバン話してて私はもうポカーンです。
確かにお医者さんには、「膵炎が重症化するとインスリンが出なくなったりするけど、膵がんになるわけじゃない」と言われたけど「慢性膵炎の人は一般の人よりも膵がんになる確率が上がるので、検査でチェックしていきましょう」とも言われて、私はその部分で結構凹んでもやもやしてるんですよ。でも母は「がんにならないんだ」と安心している。なぜここまでポジティブ?
その理由の一つが、本人にあまり辛い症状がないことだと思うんです。
母がこの病気になってから痛い苦しいと言ったのは石が詰まって膵臓に炎症が起きた時だけで、入院したらすぐ痛みは治まるし、絶食はもちろん辛いけど高熱や痛みがあるわけじゃないし、手術も内視鏡だからなのか術後もすぐ退院できたし、ステントを入れてもらっても違和感とか全くないみたいなんです。
本人に自覚症状がほぼないんです。外から見ても「どこが悪いの?」と言う感じです。
だからこそ、この病気は恐ろしいと私は怯えているのですが。
ただ、本人が全く不安に思っていないことがわかったので、詳しく説明することはやめました。
どちらにしても「現状できることはない」と言われているわけで、この時点で無駄に不安にさせても意味はないかなと。だったら私も心配するのはちょっとやめにしよう、と。
そんなこんなで、「ステントが入っている間は膵管に石が詰まる心配がない」というポジティブ面に焦点を合わせ、母の好きなこってり料理を食べようと母を連れてイタリアンのお店に行きました。
生クリームやチーズたっぷりのカルボナーラを久しぶりに注文。
ところが、嬉しそうにカルボナーラを頬張っていた母が急に不安げな顔になって、
「ねえ、好きなものを食べていいって、、、、もしかして私、もう手遅れとか、、そういうこと?」と言い始めたんです。
え? 今? 今気付く?
ていうか違うし!!
はああああ~~~~~、と心の底からため息をついて、サラダをつつきながらステントの仕組みを説明する私でした。
でもきっと聞いてないのよね。。。
NO老いるMemo「揚げ物は“ちょい足し”」
母は、お医者さんには「好きなものを食べていい」と言われましたが、それって「暴飲暴食をしていいですよ」と言う意味じゃないし、脂質だけじゃなくてフレイルや糖尿病、骨粗しょう症も考えながら食べないと、、、
なので、油物はやっぱり控えめ。ご近所に美味しいお肉屋さんがあって、「揚げたてアツアツのメンチカツを2個だけ」とかで買えるので、手軽にちょい足しができてとっても助かってます♪
――次回は5月8日公開予定です。
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。57才。山口県で81才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
ホームページ:uenobu.com アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
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