「母を想う娘のガビーン!な心境」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第20話
漫画家で栄養士の資格をもつうえだのぶさんの母は、膵臓に石ができてしまう病を抱えている。石を取り除くための1度目の手術は無事終わったものの、原因不明の病とどう向き合えばいいのか、モヤモヤするのぶさん。病を抱える母にどう寄り添うべきなのか――。
「プラスとマイナス」
「原因不明で完治しなくていつどうなるかわからなくて膵臓がんのリスクもあって、でも現状できることはない」。。。母は自分の病気をどう受け止めているんだろう?これからどうしたいと思っているんだろう?末期がんで亡くなった父の時のことを思い出し、母の気持ちは聞いておかないといけないと思う私でした。
父が末期の肺がんとわかったのは1997年の7月でした。余命1か月と言われましたが3か月生き永らえ、治療中に突然逝きました。
父はおそらく自分ががんなのも余命が短いこともわかっていたと思います。それをはっきり言われたくなくて、治療にも向き合いたくなくて、告知を拒み、すべて母と私に委ねたんだと思います。入院した時にはもう回復することを諦めていたんだと思います。
であれば、ホスピスという選択肢もあった。
抗がん剤治療を繰り返しどんどん衰えていく父を励まし続けるのは辛かった。
もし父が最初から「何もしなくていい」と言ってくれていたら――。
父の気持ちがわからなかったことで、私と母が「よかれと思って」やったことは、丸ごと未練と後悔として私の中に残ってしまいました。
すべて本人の願い通りになるとは思いませんが、側にいる者としては、せめて本人の願う方向に寄り添っていると思いたかった。
なので、母の今の気持ちはちゃんと聞いておかないと、と思ったのです。
これからどうしたいと思ってる?このままの治療でいい?もし他の病院で診てもらいたいと思ってるなら探してみるし、不安に思ってるならちゃんと口にして欲しい。
元来私は父親譲りのマイナス思考で、物事を深読みして勝手に落ち込むタイプです。
逆に母は陽気なプラス思考なので、きっと自分の考えを持っているはず。でもいざ本心を聞くとなるとやっぱり勇気が、ううむ、どうしよう。
悶々としながら数日後。。。
居間から母が友達と楽しそうに話している声が聞こえてきました。
「あのねー、結局膵炎じゃなかったんよー。石が原因じゃったんよー。次の手術でこれ取ったら終わりじゃけえー♪」「よかったねー♪よかったよー♪」
ガビーン!!(漫画風)
わかってない!まったくわかってない!
プラスとかマイナス云々じゃなく「わかってない」
あんなに病院で私が先生にいっぱい質問したのに?先生もしっかり説明してくれたのに?
え?てことは私がイチから全部説明するの?「完治しない」とか「膵がんのリスク」とか?
ちょっと待ってそれ絶対嫌~!!
さて、どうする私!?
――次回は4月24日公開予定です。
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。57才。山口県で81才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
ホームページ:uenobu.com アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja