簡単に揚げ物の脂質を半分にする方法って?NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第19話
漫画家のうえだのぶさんの母は、慢性膵炎で闘病中。膵炎の原因が”石”と判明し、3回に及ぶ手術が必須に。まずは1回目の手術が終わり、母の膵臓の状態は良好。退院後は「何を食べても大丈夫」と医師はいうが、膵臓を労わる脂質制限食を心がけてきた娘の心は複雑なようで…。
いまだに消えない未練と後悔
「原因不明で完治しなくていつどうなるかわからなくて膵がんのリスクもあって」でも「現状できることはなくて母の膵臓はすっごい元気で何を食べても良いです」。。。ああ、もやもやする。もやもやするよお。。。
膵臓に石ができるタイプ(?)の慢性膵炎になってしまった母。どう受け止めたらいいのかわからないまま日々は過ぎていきました。
久しぶりに父の時のことを思い出しました。
父は突然余命宣告をされました。
ある日突然声が出なくなって、かかりつけの内科に行ったけどわからなくて、あちこち他の病院に回されたけどわからなくて、半年くらいそのままで、そのうち吐血してしまい、かかりつけの先生の紹介で運び込まれた病院で「末期の肺がんで余命1か月」と言われました。
父が亡くなってからもう30年近くなりますが、いまだに消えない未練や後悔がたくさんあります。その中のひとつが「一口でいいからおいしいものを食べさせたかった」です。
肺がんがわかって最初に聞かれたのは、「がんを小さくする治療」を受けるかどうかでした*。
父のがんは食道を押さえていて、そのせいで声がでず食事もできない状況でした。
「食道を広げる処置」だけなら、流動食なら食べることができるけど、がんを小さくすれば固形物も食べられるようになると説明されました。
母と私は「がんを小さくする治療」を選び、その結果、父は一口も何も食べられないままこの世を去ってしまいました。
あのときがん治療を選ばず、食道の処置だけしてもらって、流動食でもいいからおいしいものを食べさせてあげればよかったと、今でも思うことがあります。
「何が一番良かったのか」とか「あの時どうすれば良かったのか」とか
タイムマシンで過去に戻ってやり直すか、あの世で本人に会って話が聞けない限りわからないことは沢山あって、父の治療も「前者にしておけば」という思いは今でもずっと消えません。
そんな経験があるので、母には生きているうちにおいしいものを沢山食べて欲しい。こんな病気になってしまったから余計にそう思います。
なのでとりあえず、久しぶりに揚げ物を食べてみました。
おいしそうに揚げ物を頬張る姿を見ながら、「母の気持ちも聞かなきゃな」と思う私でした。
*「病名は知りたくない」という父の希望で本人への告知はせずに治療をしました。
NO老いるMemo「半分こ」
脂質を制限するために、料理の油を減らしたり代替品で作ったりもしますが、単純に「半分こして食べる」というのもよくします。
回転寿司では、脂質の少ないネタものを先に食べてお腹を満足させてから、〆にアツアツの揚げ物を注文。母はいつも「ああ幸せ~♪」と言いながら食べてます(^^)
――次回は4月10日公開予定です。
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。57才。山口県で81才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
ホームページ:uenobu.com アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja