【現役介護職員にアンケート】退職しても次の転職先に介護施設を選ぶ人は67%も「給与アップや待遇改善を」の声が多数
介護業界では人口減少に伴う人材不足が深刻化しており、離職防止が大きな課題となっている。介護事業所向けに医療ソリューションを提供するドクターメイトが現役の介護職員を対象にアンケート調査したところ、介護職員の業界に対する内情や実態が明らかになった。
現役の介護職員に退職理由や転職先についてアンケートを実施
厚生労働省が2024年12月25日に発表した「介護職員数の推移の更新(令和5年、2023年分)について」によると、介護職員の数は介護保険制度の創設以来初めて減少したという。
介護職員が離職することなく、長く働き続けるにはどうしたらよいのだろうか。
介護事業所向けに医療ソリューションを提供するドクターメイトが、現役の介護職員100人を対象にアンケートを実施。これまで退職したことがあるか、退職の理由、次の転職先に介護施設を選ぶかなどに関して調査した。
人間関係や給料・待遇面が退職の大きな要因に
アンケートは男性46人、女性54人、年代別では40~50代の割合が多く、また70代以上も参加。その中で高齢者施設を退職した経験がある人は、55%と約半分という結果に。
退職の理由は、「職場での人間関係(上司・部下)」で29件、次いで「職場での人間関係(同僚)」が22件、「給料・待遇面」が21件となった。
一方、最も回答が少なかったのは「PCや通信機器などの職場環境」で3件となり、会社の設備よりも人間関係や待遇が主な原因となっていることが判明した。
「次の転職先を考える場合、介護施設を選びますか?」という質問に「はい」と答えたのは67%、「いいえ」と答えたのは33%。過半数が次も介護施設での勤務を選ぶという声が多かった。
「はい」と回答した人に理由を聞くと、仕事のやりがいや自身の年齢を考慮しての給与の良さ、経験やスキルを活用できるなどの意見があがった。
反対に「いいえ」を選択した人は、給与などの待遇面や業務の肉体的・精神的負担が理由だった。
「介護職員が減少していること」については、回答者の多くは、給料が安い、仕事がきつい、人員不足などの理由から、介護職員が減少したと考えている。また、待遇改善や給与アップ、人員の確保などの対策を求める声があがった。
「介護業界では人口減少に伴う人材不足が深刻化しており、離職防止が急務です。処遇改善などの金銭的対策に加え、働きやすい環境や良好な人間関係の構築が重要になっています。入居者のケアはもちろんのこと、介護士の労働環境にも配慮できる施設が、今後生き残っていくと思います」
とドクターメイトの代表・現役医師である青柳直樹は語る。
アンケートから職場内のコミュニケーションや給与などの賃金・待遇面が不満材料になっていると推測されるが、多くの職員は新しい働き先でも介護施設を希望することが分かった。
介護の需要増加が予測される今だからこそ、介護職員が働きたいと思える職場や環境作りが大きなポイントになりそうだ。
【データ】
ドクターメイト
https://doctormate.co.jp
「介護職員の業界に対する調査」
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年1月27日~1月30日
調査対象:介護施設に勤める現役の介護職員(20~70代以上の男女)
調査人数:100人
※ドクターメイトが発表したプレスリリース(2025年2月18日)を元に記事を作成。
図表/ドクターメイト提供 構成・文/松藤浩一
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