「コロナ禍の入院12日目、母と対面」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第17話
慢性膵炎を抱える母と山口県で暮らす漫画家のうえだのぶさん。母の手術は無事に終了し、膵臓の調子は良好。しかし、コロナ禍の入院生活は面会謝絶、母と会えない日が12日間にも及んだ。そして医師から告げられた言葉に悶々としたまま、母の退院の日がやってきて――。
「おかえり」
「原因不明の慢性膵炎で再入院!」からの「転院!」からの「膵管に石!」からの「手術!」からの「お母さんの膵臓すっごい良好です!」から3日後。
普通食を食べても血液検査に異常が出ないということで母の退院が決まり、迎えに行くことになりました。
時はコロナ禍。病室に入ることはできず、ナースセンターの前のソファーで母が出てくるのを待っていました。
最初の入院から12日目、顔を見たのは転院の日だけ。その時の母は車いすにぐったりと座って話す元気もなく、後は電話の声だけです。いったいどんな様子になっているんだろう。
もうひとつ気がかりは担当の先生から説明された「手術はあと2回」の話です。
今回は応急処置で次回が本番、3回目は後処理とのこと。
「石は取り除きました。これで解決!お大事に♪」という退院なら手放しで喜べるのに。。。
浮かない気持ちで座っていると廊下の向こう側から母と看護師さんが並んでやってきました。
遠目に見ても足元が弱々しいのがわかります。痩せこけてはいませんが軽くなったような、体に力が入っていないような、そんな様子で近づいて来ます。
これがドラマや映画、はたまた漫画なら私が「お母さん!」と駆け寄って抱きしめるシーンですが、実際は「おかえり」とひと声かけただけです。母もほとんどしゃべりませんでした。
現実って意外とこんな風にしれっとしてるものですよね。
でも私は今でもはっきり覚えています。
遠くから母が見えて、嬉しくて嬉しくて仕方なかったこと。病院の廊下が光輝いて見えたこと。生きて会えて良かった、と思ったこと。
コロナ禍で面会も叶わないまま家族と別れなければならなかった友人知人がいます。私自身、ある日突然家族を失う経験をしてきています。生きて会えることは「奇跡」です。そのありがたさは絶対に忘れてはいけないのです。
「おかえり」と言えて、本当に良かった。
1か月後に検査、2か月後にまた手術の予定です。それまでは「好きなものを食べていい」と言われたのですが、さてどこまで好きにしていいのやら、、、
あっ「母の病気の謎」も書く予定でしたが字数が! ごめんなさい次回へ続きます!
NO老いるMemo「退院した日のソーメン汁」
母が退院した日のお昼ごはんです。
食事日誌を見ると「ソーメン汁」と書いているんですが、 肝心の写真がなくてどんなものを作ったのか、覚えていません。
先生から「好きなものを食べていい」と言われても、退院直後ですしやっぱり「低脂質」になっちゃいます。
刺激が少なくて消化が良いよう、すまし汁にしたのではと思います。
母もさすがにこの日は「揚げ物♪」とは言いませんでした(^^)
――膵炎の大敵は脂質の多い食事。揚げ物が大好きな母のその後はいかに!? 次回は3月13日公開予定です。
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。57才。山口県で81才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
ホームページ:uenobu.com アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
●「神様仏様!母の生還を祈る日のこと」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~ 第15回
●「コンビニスイーツは脂肪分が高いからダメ! ダメ!!」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第5回
●食事の支度が面倒に…そんな高齢者に「手抜きでOK」なレシピを紹介!慢性膵炎の母をサポートする栄養士が提案|NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~【番外編】