感染症の専門医が実践する風邪の治し方「薬はほぼのまず体を休める」&4つの方法
「風邪特有の熱・鼻・咳の各症状の大まかな推移を知っておくと安心できるでしょう。
風邪の抗ウイルス薬は存在しないので、解熱剤や咳止めなどで症状をやわらげながら、体力消耗を防ぐのが賢明だと思います。
ただ、のど痛の原因が溶連菌のときは、抗菌薬(抗生物質)が菌に作用して早く治ります。
それ以外の咽頭炎はほぼウイルスが原因なので、抗菌薬は効きません。黄色い鼻水や黄色い痰(たん)が出ると細菌感染だと思われがちですが、黄色いのは白血球が出てきて戦った残骸で、ウイルス感染でも白血球の残骸で黄色くなります。
つまり、黄色い鼻水・黄色い痰が出たからといって抗菌薬が必要なわけではなく、むやみに抗菌薬を希望しないことも大切です」
下に、風邪をひいてしまった際の養生法を掲げたが、単純ながらその4か条を実行することが感染対策になると藤友さんは言う。
「感染機会を減らす意味で、風邪をひいたときはマスク着用で咳やくしゃみのしぶきを飛ばさず、<外から帰ってきたとき> <ご飯を食べる前> <トイレの後>は日頃から手洗いすることが重要です。
新型コロナで誰でも無症状病原体保有者になるリスクがあったのと同様、薬剤耐性菌も誰でも保菌しえます。
例えば保菌者が鼻粘膜を触った手でほかの場所に触れているかもしれず、トイレではノロウイルス感染者の下痢が目に見えない程度に飛び散っている可能性も。これらは手を介してうつっていくので、手を洗えば感染対策になります。特にノロウイルスなどアルコールで死なないものもあるので、せっけんと流水で手洗いすることが大事になります」
日頃から手洗いと薬ののみ方を意識することがいかに重要か、肝に銘じておきたい。
風邪をひいてしまった際の4つの養生法
【其の一】
ゆっくり休んで栄養を摂りましょう。
【其の二】
熱や汗で水分が奪われます。しっかりと水分を摂りましょう。
【其の三】
熱はウイルスと戦うために出ていますが、高熱がつらいときは解熱剤をのむと少し楽になります。
【其の四】
マスクを正しく着用し、手洗いをしっかりして、周りの人にうつさないように心がけましょう。感染症にかからないために、感染対策が大切です。
取材・文/北武司 図版・イラスト/勝山英幸 写真/PIXTA
※女性セブン2024年1月4・11日号
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