【調査結果】親が亡くなったときに不安なこと1位は「相続・金銭面の手続き」
「親が亡くなったときに不安なこと」にまつわる調査によると、最も多くの人が「相続・金銭面の手続き」と答えている。介護を経て、あるいは介護はなくとも、いずれ直面する親の死について、人々はどんな不安を抱えているのか――。調査結果や生の声を紹介する。
親が亡くなったときに不安なことは?
不動産業を展開するAlbaLinkが実施した「親が亡くなった時に不安なことに関する意識調査」※によると、「親が亡くなったときに何が不安か?」の問いに対し、1位は「相続・金銭面の手続き」が230人で最多となり、2位の「不動産の処分・管理」の158人とは大きく差が開いた。
また、「終活について親と話したことがない人」は7割近くとなり、理由として「まだ親が元気だから」が1番多かった。詳しい調査結果を見ていこう。
※AlbaLink インターネット調査(任意回答)「親が亡くなったときに不安なことに関する意識調査」より。調査期間:2022年12月7日~17日。対象者:親が健在な500人(女性276人/男性224人)。回答者の年齢:10代 1.0%、20代 19.2%、30代 33.6%、40代 28.8%、50代 15.4%、60代 2.0%。
■親が亡くなったときに不安なこと
1位「相続・金銭面の手続き」230人
2位「不動産の処分・管理が不安」158人
3位「自分のメンタル」75人
4位「お葬式の挙げ方・費用」71人
5位「家の片づけ・遺品整理」67人
6位「お墓・仏壇の扱い」57人
7位「死亡時の事務手続き」49人
8位「残された家族のケア」43人
9位「自分の将来・生活」42人
10位「死亡時の連絡先」15人
どんなことが不安なのか?
「親が亡くなったときに不安なこと」を答えた人たちの理由を順位ごとに以下に紹介する。
・1位「相続・金銭面の手続き」
「親が住んでいる家と土地は亡くなった曾祖父名義で、同じ敷地内に親戚宅も建っているために、土地の分割などの話し合いが必要になりそうで不安」(39歳・女性)
「親の持ち家(貸している)と今同居している家(夫と父の名義)があるので、相続税がいくらかかるのか不安です」(52歳・女性)
・2位「不動産の処分・管理が不安」
「家の処分。田舎で不便な場所にあり、建物も古くなっているので売れないと思うから」(34歳・女性)
「地方に住んでいるので、家の処分に困ると思う。不便な場所で古い家なのでわざわざリフォームして住もうとは思わない」(50歳・男性)
・3位「自分のメンタル」
「心のよりどころがなくなることが不安」(25歳・男性)
「独身のため、家族がいなくなる」(37歳・女性)
「精神的に、親の死を乗り越えられるか心配です」(42歳・女性)
・4位「お葬式の挙げ方・費用」
「長男なので、葬儀が不安」(25歳・男性)
「お葬式をする際に、誰に声をかけるかわからない」(36歳・女性)
「希望する葬儀の形式を聞けていない」(48歳・男性)
5位「家の片づけ・遺品整理」
「母親の嫁入り道具である桐ダンスなどの処分方法がわからない」(38歳・男性)
「住居の片づけです。賃貸住宅に住んでいるので、原状回復を決められた期間内に行わなければならないことが心配です」(51歳・女性)
6位「お墓・仏壇の扱い」
「先祖のお墓がいくつにもわかれており、土葬もある状態です。跡継ぎもいないのでどうしたらいいのかわからず、放置するわけにもいかず不安です」(36歳・女性)
「お墓をどうしたいのかが気になる」(41歳・女性)
7位「死亡時の事務手続き」
「市役所での手続きなど。親の年齢さえもあやふやで、意外と知らないことが多くて不安」(23歳・女性)
「亡くなってからすべき『市役所への届け出』や『保険・銀行の手続き』などが、自分にちゃんとできるのかどうかです」(51歳・女性)
8位「残された家族のケア」
「もし母が先に亡くなった場合、仕事一筋で家事などやったことのない父がどうやって生活するのか、とても心配です」(37歳・ 女性)
「残された親の面倒を誰がみるのか」(53歳 ・女性)
9位「自分の将来・生活」
「実家暮らしなので、世帯主が亡くなった場合は生活費と住む場所について不安」(22歳 ・女性)
「自分が独身で兄弟もおらず現在親と同居しているので、親が亡くなったあとの暮らしが一番不安です」(43歳・男性)
10位「死亡時の連絡先」
「親の親族・友人などの連絡先がわからない」(36歳・女性)
「親の友達に、どのように親の死を伝えるか」(52歳・男性)
終活について親と話したことがない人は約7割
同調査で「終活について親と話したことがあるか?」との問いに、「ない」と回答した人が68.6%と7割近くにのぼった。
また、「終活について親と話さない理由」は、「親がまだ元気」が最多に。
終活について親と話したことがないと回答した343人の「話さない理由」としては、1位は「親がまだ元気(33.5%)」と最多。2位「機会がない(19.8%)」、3位「話しにくい(15.5%)」、4位「親が嫌がる・嫌がりそう(13.1%)」と続く。
■終活について親と話さない理由
1親がまだ元気 33.5%
2機会がない 19.8%
3話しにくい 15.5%
4親が嫌がる・嫌がりそう 13.1%
5親の死を想像したくない 7.3%
6真剣な雰囲気にならない 3.8%
7まだ実感がわかない 3.2%
終活について親と話さない理由は?
「話さない」と答えた人たちの理由については、以下のような声も。
「父も母も70代だが、病気することもなく元気なので。両親の姿を見ても、まだ『死』が連想できない(48歳・女性)
「大事なことなのでしっかりと話し合いたいが、まとまった時間が取れない」(32歳・男性)
「離れて暮らしていて、改めて話す機会がない」(44歳・女性)
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今回の結果から、親が亡くなったときに「相続・金銭面の手続き」や親の「不動産の処分・管理」について不安を感じている人が多いことがわかった。年代を問わず不安を抱えている一方で、「終活について親と話せていない」人が7割近くもいることから、親が亡くなることについてどう向き合えばいいのかわからない人が多いのかもしれない。
調査を実施したAlbaLinkの担当者はこう語る。
「親御さんが亡くなったときの各種手続きをスムーズに進めるためには、『資産』、『各種連絡先』、『親の希望』などの把握が欠かせません。
終活の一環として、親御さんが元気なうちからコミュニケーションを取り、これらのことを整理しておくことをおすすめします。親御さんが亡くなったときに、
なかなか切り出しにくい話題だが、「まだ早いと思っているうちに親が認知症になり、話し合いが困難になってしまった」という例もある。元気なうちから、少しずつでも親の意向を聞いておく機会を持つようにすることが、不安解消につながるのかもしれない。
調査:AlbaLink https://albalink.co.jp/
取材・文/本上夕貴