高齢者施設で広がるサッカー応援プロジェクト「恋したい!いくつになってもトキメキ大切」にしおかすみこさんがエール
サッカーの応援を通じて高齢者を元気にするプロジェクト『Be supporters!(ビー サポーターズ)』が話題だ。プロジェクトに参加する施設で生まれた物語の中から『人生100年時代の物語大賞』の5作品が選ばれ、授賞式が行われた。お笑い芸人のにしおかすみこさんがプレゼンターとして登場し、心温まる作品が上映された。その模様をレポートする。
高齢者を“推し活”で元気にする「Be supporters!」
「サッカー選手を応援する姿、恋する表情にキュンとしました。この活動はまさに高齢者にとって心のサプリメントですね」
『人生100年時代の物語大賞』の表彰式でプレゼンターを務めたのは、エレガントなグリーンのドレスをまとったお笑い芸人のにしおかすみこさんだ。
『人生100年時代の物語大賞』は、サントリーウエルネスが主催する「Be supporters!」(ビーサポーターズ、以下「Beサポ!」)の取り組みのひとつ。
「Beサポ!」とは、高齢者施設で暮らす人たちが、地元サッカーチームのサポーターとして活動する参加型プロジェクト。
認知症のスタッフが働くレストラン「注文をまちがえる料理店」などをプロデュースした小国士朗さんが発起人となり、サントリーウエルネスとJリーグが推進するこのプロジェクトは、現在全国160施設、20のクラブチームが参加するなど、広がりを見せている。
高齢者施設で応援グッズを作ってみんなで試合を観戦したり、地元のクラブチームの選手が施設に訪問したり、選手との交流も行われ、「選手を応援する“推し活”が高齢者を元気にする」と話題になっている。
「Beサポ!」に参加した人たちのエピソード『人生100年時代の物語』を募集したところ、全国から85作品が集まり、今回5つの作品が大賞に選ばれた。
表彰式には、大賞を受賞した施設のスタッフが全国から集まり、5つの心温まるエピソードをもとに制作された映像が上映された。
「推し活」のトキメキが生きる原動力に
「年を重ねてもいつまでもドキドキ、ワクワク、トキメキたいと思いました。私、個人的には枯れているんで…。恋をしたいな~って思いました」
と、にしおかさんが熱いコメントを寄せた作品は、「推し活ときめき賞」を受賞した「コイスルオトメ~大野選手へのラブレター~」だ。
この作品は、富山・高岡市の小規模特別養護老人ホーム「雅」で暮らす森岡和子さん(93才)が、地元のサッカーチーム、カターレ富山の大野耀平選手を応援する姿が描かれている。
大野選手の写真を部屋に貼って眺めて暮らす森岡さんは、「恥ずかしいっちゃ!」とためらいながらも、ハートマーク柄のお手紙をしたためる姿は、まさに恋する乙女。
記者の印象に残ったのは、「よみがえる闘魂賞」を受賞した「足に魂込めました」。
セレッソ大阪を応援する高齢者福祉支援施設「あぷり」で暮らす92才の本間善範さんが、フラッグベアラーとして選手とともに入場し、ピッチに立つまでを描いたエピソード。歩くことがままならなかった本間さんが目標を持って歩行訓練に取り組む様子に心を打たれた。
どの物語もとても心温まる内容で、高齢者ひとりひとりが主役として輝いていた。
・受賞作を映像でチェック
https://www.suntory-kenko.com/contents/enjoy/besupporters/award/
人生100年時代の幸せ「自分ファースト」
表彰式でプレゼンターを務めたにしおかさんは、家族のエピソードを描いた著書『ポンコツ一家』も話題だが、イベント終盤では家族のエピソードも披露。
「我が家は、82才の母が認知症で姉がダウン症、父は酔っ払いで、私が一発屋、大変なんです…」と切り出し、会場を沸かせていた。
「人生100年時代の幸せは、自分ファースト。いま私48才なんですけど、あと50年とは気が遠くなります(笑い)。介護する人もされる人も自分を大切に元気にいていただきたいと思います。自分を大切にしないと周りも幸せにできないですからね。
2007年くらいからSMキャラの一発屋やって人生ブレてますが(笑い)、いまは実家に戻って家族の介護をしています。
実家に戻った当初、母は『頭かち割って死んでやる!』などと言っていたのですが、私と他愛もない話をすることで笑顔が増えました。母が笑うと私も嬉しいんです。
サッカーという共通の話題でみんなでワイワイ話をできるのはとてもいいですよね。うちの地元にも『Beサポ!』がきて欲しいです!」
サッカーを応援する活動を通じて、高齢者が元気になる――。「推し活」の持つ力、このプロジェクトの今後に注目していきたい。
取材・文/本上夕貴
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