発酵食品の健康効果を学ぶ「ナタデココも発酵食、きゅうりはぬか漬けにするとビタミンB1が9倍に」
そもそも発酵食品とは、発酵の過程ででんぷんやたんぱく質といった栄養素が菌によって分解された食品。従来より栄養価が高まり、消化吸収の効率がよくなるとされている。また、菌によって新たな栄養素が加わることも利点だ。
「食材そのものに含まれる栄養素に加えて、菌が産生する栄養素が加わります。例えば、きゅうりをぬか漬けにすると、ビタミンB1が9倍に増える。納豆もゆでただけの大豆に比べて、ビタミンB2が7倍、葉酸は3倍にもなります」(麻生さん)
抗酸化物質のポリフェノールで知られる赤ワインのほか、紅茶やウーロン茶も、立派な発酵食品。ワインは酵母、紅茶やウーロン茶は酵素による発酵食品だ。一方、パンやチョコレートも発酵食品の一種であることはあまり認知されていない。
「パンは酵母による発酵でつくられ、チョコレートは本来、カカオ豆を酢酸菌や乳酸菌などで発酵させてつくるもの。専門店やバレンタインの催事で売られるような高級で本格的なチョコレートは、発酵食品である可能性が高いです」(藤本さん・以下同)
かつおぶしも「本枯節(ほんかれぶし)」といわれるものは、カビをつけて発酵させた発酵食品だ。ヨーロッパの伝統的な製法でつくられる生ハムやサラミも、白カビなどの発酵によるもの。ナタデココは、ココナッツの果汁を「ナタ菌」という酢酸菌の一種で発酵させてつくったもので、私たちの持っているイメージ以上に、発酵食品は無数にあり、それぞれが異なる菌や栄養素を持っている。
例えば、ぬか漬けや納豆、みそ、キムチ、ヨーグルトなどは、麹菌や乳酸菌由来のアミノ酸である「GABA(ギャバ)」が多く含まれ、緊張をやわらげてストレスを軽減し、リラックスさせる作用がある。納豆にはカルシウム吸収率を高めるビタミンKも圧倒的に多いが、ひきわりか丸大豆かによって、栄養価は微妙に異なる。
「ビタミンKなどの納豆菌由来の栄養を優先して食べたいなら、食材の表面積が多いひきわり納豆がおすすめです。一方、丸大豆は大豆由来のたんぱく質などの栄養が高いので、目的に合わせて選ぶといいでしょう」
こんなにある!発酵食品の「7つの健康効果」
※効果/主な食品/菌の働き
【1】腸内環境改善、免疫力の正常化
主な食品:チーズ、漬けもの、納豆、ヨーグルトなど
乳酸菌や納豆菌など複数種類の善玉菌が、腸内の悪玉菌の繁殖を抑える。
【2】動脈硬化、心筋梗塞、アルツハイマー型認知症の予防
主な食品:カスピ海ヨーグルト、納豆、にごり酢など
酢酸菌がコレステロール値の上昇を抑え、乳酸菌が血管壁に付着した悪玉コレステロールを除去する。
【3】脂肪燃焼の促進、脂肪蓄積を防ぐ
主な食品:キムチ、チーズ、漬けもの、ナタデココ、にごり酢、みそ、ヨーグルト
ビフィズス菌などが産生する短鎖脂肪酸の一種である酢酸が脂肪細胞に過剰なエネルギーが取り込まれるのをブロックし、酢酸がエネルギー消費を高める。
【4】美白、美肌
主な食品:甘酒、酒かす、ぬか漬け、みそなど
麹菌がメラニン色素の生成を抑えるほか、美白成分のアルブチンも豊富。
【5】ストレス軽減、リラックス
主な食品:キムチ、納豆、ぬか漬け、みそなど
麹菌や乳酸菌由来のアミノ酸であるGABAが、緊張をやわらげる作用を持つ。
【6】疲労回復
主な食品:キムチ、酢、納豆など
発酵食品に豊富に含まれるビタミンB群が代謝を高める。
【7】抗酸化作用
主な食品:赤ワイン、バルサミコ酢、みそなど
ビタミンCやミネラル、ポリフェノールなどの抗酸化物質が活性酸素の発生を抑える。
写真/PIXTA
※女性セブン2023年9月28日号
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