女性も要注意「いびき」の原因と対策「睡眠時無呼吸症候群かも?」いびき解消枕の作り方をプロが解説
大場さんのクリニックを訪れる男女比は2対1と男性が多い。しかし、この数字だけでは単純に女性がいびきをかきにくいとは言い切れないと大場さんは語る。
「女性の場合、恥ずかしさから受診に二の足を踏む人が多いからです。女性は男性以上に“まさか自分が”と思い、気づいていない・向き合わない人が多くいるため発見が遅れ、重症化するケースが多々見られます」
そもそも男性の方がいびきをかきやすいといわれる根拠のひとつは、男性は上半身に脂肪がつきやすく、女性は下半身に脂肪がつきやすい傾向があるためだという。首まわりに脂肪がつくと、気道が狭くなり、いびきをかきやすくなるからだ。
そして、もうひとつの大きな理由が女性ホルモンである。
「女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが減少し、脂肪代謝のバランスが悪くなることで男性と同じような内臓脂肪型の肥満になります。また、女性ホルモンのプロゲステロンの減少により呼吸中枢への刺激が不足。その結果、上気道の開きを維持する筋肉の働きが悪くなり、無呼吸が起こりやすくなるのです」
いびきの予防・解消法「重篤なSASは専門医の受診を」
ここで注意したいのは、SASの症状である倦怠感や頭痛、不眠、寝汗は、更年期障害の症状に似ていることから間違った治療をしてしまうことである。更年期はさまざまな症状に悩まされるが、いびきをかいている場合は、専門医を受診するのが望ましい。重篤なSASでなければ、いびきの予防法・解消法はある。
まずは、家族にいびきをかいているか聞いたり、ボイスレコーダー、いびきアプリ(下記参照)などを活用し、自分がいびきをかいているかどうかを知ることが大切だ。
「重いSASや鼻づまり、口腔内の構造によっては手術が必要なケースもありますが、ダイエットをする、枕を替える、鼻づまりを治す、舌の筋力を鍛えるといったことで、解消するケースもあります」
恥ずかしいからと知らないふりはできない。今夜から早速試してみよう。
自分のいびきがわかるアプリ3選
いびき対策は、自分のいびきの現状を知ることから始まる。とはいえ、ひとり暮らしだったり、人に聞くのが恥ずかしい場合は“いびきアプリ”の活用がおすすめだ。アプリを起動したまま就寝するだけで、いびきを記録、計測。データをわかりやすいグラフで可視化してくれるものもある。いずれも無料なので、気軽に試してみよう。アプリで記録したデータは、病院を受診する際に提示すれば、参考資料としても役立つ。
★いびきラボ
いびきを記録、測定、追跡するアプリ。いびきが激しい時間帯を記録したり、睡眠統計を表示するなどの機能もある。
★熟睡アラーム
睡眠サイクルといびきの有無を可視化してくれる。就寝時には100曲以上のヒーリングサウンドの再生も可能。
★いびきジム
上気道の筋肉を整え、いびきを軽減させるエクササイズを提案。アニメーションを見ながら動きを真似するだけでOKだ。
いびき体操で加齢による筋力低下を解消!
加齢などによって舌の筋力が低下すると、気道がふさがれいびきをかきやすくなる。それを解消するためには、日頃から舌の筋トレが大切。まずは1回3セットから始め、半年~1年続けよう!
★Point!
□ できるだけゆっくり動かす
□ まずは1回3セットから
□ 慣れたら1日3回、朝昼晩行う
□ 口は自然な大きさに開ける
□ 痛くない程度に力を入れる
【1】舌を前に突き出す
口を自然に開けて、舌を前にぐっと突き出す。ゆっくりとした動作で2回繰り返す。
【2】舌をクルクル回転
口を閉じ、歯茎をなぞりながら大きく円を描くように舌を回す。時計回りに回したら逆回しでもう1周。
【3】舌を上に持ち上げる
上あごに舌を押し付け、舌全体に力を入れ、上あごを持ち上げるように2回ゆっくり持ち上げる。
【4】舌を反り返す
口を開け、舌の裏側が見えるよう反り返す。2回繰り返す。
【5】のどちんこを上げる
口を大きく開け、舌をぐっと下げて“のどちんこ”を上へ上げる(あくびをするときの要領で)。
【6】口をすぼめる
頰にへこみができるくらい強い力で、口をぎゅっとすぼめる。2回繰り返す。
【7】口に指を入れてすぼめる
口の中に人差し指を入れて右の頰に押し付け、指をくわえるように口をすぼめる。左右2回ずつ繰り返す。
【8】口の端をつり上げる
口を少し開け、口の端に力を入れて引き上げる。左右それぞれで行う。