【ペットの介護】老いた犬・猫の介助のポイント!最新情報
●人間の赤ちゃん用おむつが大活躍。尻尾用の穴を開ければ犬猫も使える。
一般的に、犬猫は足腰が弱まると、連動して排泄器官も衰える。排泄ポーズを取るのが難しくなったら、お尻側に回り込んで両脇から股の間に手を入れ、脚の付け根を支えてサポートしてあげよう。
排泄のたびに、いちいち介助する余裕がない時は、おむつを活用するのもいい。ペットの介護に無理は禁物。世話をするのが大変で、気持ちが落ち込むようなら、外部の介護士やグッズなどに頼り、介助する側が心に余裕を持つことも大切だ。
「ペット用おむつは高価なので、人間の赤ちゃん用おむつで代用するのがおすすめです。尻尾を通す穴を開ければOK。吸水性が高く、ムレも防いでくれます」(佐々木さん)
また、うんちが出にくい子には、「の」の字を描くようにお腹をやさしくマッサージしてあげ、ぜん動運動を促す方法もある。
ただし、何日も出ないで詰まってしまった場合は、すぐに病院へ。膨張した膀胱を乱暴に押したりすると、破裂する危険もあるので、あまり触らず、専門家に任せよう。
寝返りの介助
寝たきりの子こそ、なでたりスキンシップをすることが大事。精神が安定し、ムダ吠えが減る。
●床ずれが できやすい部分 床ずれは命にかかわる。やわらかな寝床を 作り、こまめに寝返りをうたせてあげよう。
犬も猫も、筋肉量が少ないと、早く寝たきり状態になりやすい。そのため、できる限り散歩をさせた方がいい。
「寝たきりになると、そっとしておいてあげようという心理が働き、つい放置しがち。ですが、実はそんな子ほど、スキンシップや刺激を求めています。よくなでてあげ、話しかけたりほめたりしてあげましょう。反応がなくても、聞こえていて、心に残っています。スキンシップを取ってあげると、気持ちが落ち着き、夜のムダ吠えなどもかなり減ります。寝たきりだからこそ、飼い主との触れ合いが、精神を安定させる重要なカギになるんです」(佐々木さん)
そして、床ずれを作らないよう、2〜3時間おきに寝返りをうたせてあげるのも大切。床ずれとは、皮膚の同じ部分が長時間圧迫されることで、血流が悪くなって壊死する症状。床ずれ部分に細菌やカビが入り込むと治りにくく、命を奪う原因にもなりかねない。
「夏は、涼しいだろうと、ざらざらした肌触りの麻素材の布を使う人がいるのですが、これはNG。たった1日で床ずれができてしまいます。床ずれは、1回できると治療に通常2週間かかります。一年を通して、表面が滑らかでフカフカの寝具を使ってあげましょう」(須崎さん)
小型・中型犬や猫の場合、クロワッサン形のクッションや抱き枕を組み合わせるのがおすすめ。大型犬なら、体圧分散マットレスを活用しよう。
「床ずれができてしまったら、すぐに病院へ。傷口を消毒せずに水洗いし、乾燥させない“湿潤療法”なら、1週間できれいに元に戻ります」(須崎さん)
大型犬は寝返りをうたせるのもひと苦労。飼い主自身も高齢で力が足りない時は無理せず、介護士などにお願いするのも手だ。飼い主とペットの“老々介護”で共倒れになることだけは避けよう。
失敗しない老犬ホームの選び方
自宅介護が難しい場合は、老犬ホームにお願いする方法もある。とはいえ、大切な家族を預けるのだから、信頼できる所にお願いしたい。どう選べばいいのか、老犬ホームのポータルサイト「老犬ケア」を運営する森野竜馬さんにうかがった。
「見学がいつでも可能か、料金設定や亡くなった際の返金条件が明確か、預ける子に合った設備や態勢が整っているかを必ずチェックしてください」(森野さん)
料金相場は年間56万6407円(老犬ケア’16年調べ)。後悔しないよう、事前に必ず見学して見極めよう。
●佐々木さんが所属する東京ぺットホーム
老犬ホームの選び方 老犬ホーム専門サイト「老犬ケア」は、スタッフが現地で面談調査をした42の施設を掲載。
URL:https://www.rouken-care.jp
イラスト/さややん。
※女性セブン2019年2月7日号