犬の老化を見極める16のサイン|犬も白髪になる?老犬って何歳から?
無邪気でかわいい愛犬にも、いつか老いはやってくる。しかも人間より寿命の短い犬は、老化のスピードも人間より速い。犬が老いると見た目や行動にどのような変化が出るのか。飼い主は何に気をつけてあげるのが良いのか…。犬の老いについて獣医師に話を聞いた。
犬の老化とは…犬の平均寿命は14.48才
一般社団法人ペットフード協会が行なった調査によると、令和2年の犬の平均寿命は犬が14.48才だった(※)。この数字はここ5年で最も高く、犬は長生きになっている。
※参考/令和2年 全国犬猫飼育実態調査(一般社団法人ペットフード協会調べ)
https://petfood.or.jp/data/chart2020/2.pdf
「犬の寿命が延びている理由は、ペット医療の進歩やフードの発達などが考えられます。今後もペットの寿命はますます延びるかもしれません」
こう話すのは、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC顧問の獣医師・佐藤貴紀さんだ。
犬に老化の症状が現れるのは何歳ごろ?
寿命が延びたことで、“シニア”と呼ばれる期間も長くなっている。そのため、寿命の1/2をすぎると中高齢期、2/3をすぎると高齢期と、シニア期を分けて考えるようになっている。
シニア犬って何歳? 中高齢期~高齢期の年齢の目安
超小型犬…中高齢期:7.0才 高齢期:9.3才
小型犬…中高齢期:6.9才 高齢期:9.2才
中型犬…中高齢期:6.6才 高齢期:8.8才
大型犬…中高齢期:5.5才 高齢期:7.4才
「小型犬の7才、大型犬の5.5才は、人間の年齢に換算するとだいたい44才~48才前後。
人間も40代後半から体も見た目も老いを感じはじめる年齢ですが、それは犬も同じ。中高齢期に入ったら老化に備えて体のケアしておくことが大事です」(佐藤さん、以下同)
犬の老化のサイン:チェックリスト16
犬の老化とは、具体的にどのような変化が見られるのだろうか?
犬の老化による【見た目】の変化
1.皮膚のハリがなくなる
2.皮膚が固くなる
3.被毛のツヤがなくなる
4.抜け毛が増える
5.白髪が増える
6.ヒゲが白くなる
7.目が白っぽくみえる
8.太ってきたor痩せてきた
犬の老化による【行動】の変化
9.物によくぶつかる
10.壁伝いに歩く
11.段差でつまずく
12.名前を呼んでも反応が遅い(または反応しない)
13.散歩に行きたがらない
14.食事に時間がかかる
15.食べ物の好みが変わる
16.粗相するようになる
このように、見た目も行動にもさまざまな老いのサインが現れる。
ちなみに、白髪については、犬も人と同じように老化によって進行する。ただし、犬の場合は、全身の毛が真っ白になるということは稀。全体的に毛の色が薄くなったり、一部分が白くなったりするケースが多い。
記者の愛犬(トイプードル)は、若い頃は栗茶だった毛が、歳をとって茶色が薄くなって高齢期の現在は全体的にベージュっぽい色になっている。
→紫外線による犬の病気|愛犬の白内障で治療費150万!?【実体験】
なお、犬が白髪になるのは加齢だけではなく、皮膚炎などが原因になっていることもあるという。
また、老化による影響は、外見や行動だけでない。
「体の内部にも加齢による影響を受けている可能性も。老化によって体温調節能や免疫能力が低下することで、体調を崩しやすくなったり、感染症にかかりやすくなったりします」
愛犬の老化を感じたらやるべきこと3つ
愛犬の老いを感じた際、気を付けたいことは以下の3つだ。
1.定期的に健康診断を受ける
中高齢期以降は、理想は年2回。最低でも、年1回は健康診断を受けること。
「体調が優れない状態が続くのは、愛犬にとっても飼い主にとっても辛いことです。早期に発見・治療することで、愛犬の健康寿命も延ばすことができます」
2.生活環境を見直す
例えば、足が弱ってきたり、目が見えにくくなったりしているなら、ぶつかっても怪我をしないように、家具や壁の角にクッション材を貼ってあげるといいだろう。
「動ける範囲を決めてあげて、ぶつかっても怪我をしないように室内の工夫が必要ですね。また、筋力が衰えてくると、歩行のスピードも遅くなるので、散歩は犬の様子を見ながら無理のない範囲で。散歩の時間も見直すといいでしょう」
3.肥満に注意する
飼い主の感覚からしたら、いつもと同じような生活習慣を送っていても、加齢による影響で代謝が落ち、肥満傾向になる犬も多いという。
「老いた犬に肥満は大敵、寿命をも脅かすことになりかねません。年齢に応じて、カロリーを抑えた専用フードに切り替えるとか、脂肪を燃焼させるためLーカルニチン配合のサプリメントなどを取り入れるのもおすすめです」
人間と同じように老化による変化の表れ方には個体差がある。中高齢期を過ぎたら“老化のサイン”を見逃さないようにしよう。
教えてくれた人/獣医師・佐藤貴紀さん
麻布大学獣医学部卒業後、勤務医を経て独立し白金高輪動物病院を設立。院長として勤務後、JVCC二次動物医療センター目黒病院センター院長を務める。現在、目黒アニマルメディカルセンター顧問(https://mamec.wolves-tokyo.com/)。専門は「循環器」。全国に100人しかいない「獣医循環器学会認定医」。「SuperDoctors 〜名医のいる相談室〜」(https://www.youtube.com/channel/UCUxW…)にて配信中。
取材・文/鳥居優美