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暮らし

紫外線による犬の病気|愛犬の白内障で治療費150万!?【実体験】

 夏の強い紫外線は犬にとっても要注意だ。過度に紫外線を浴びると、白内障などの病気につながることも。紫外線の影響を受けやすい体の部位は? どんな症状なのか…。紫外線による犬の病気について獣医師に取材。白内障を経験した記者の愛犬の実体験とともにレポートする。

犬が紫外線の影響を受けやすい部位は?

 夏場は少し屋外にいただけで、肌がジリジリと焼けた感じがする。同じことが犬にも起こっている。紫外線により人と同じように犬の体もダメージを受けていると、目黒アニマルメディカルセンター/MAMeC顧問の獣医師・佐藤貴紀さんは語る。

 犬の体の中で、特に紫外線の影響を受けやすいのが目や鼻、耳の先。照り返しによる下腹部なども注意すべきだと佐藤さんは続ける。

紫外線による犬の病気や症状

「犬が紫外線の影響をもっとも受けやすいのが目で、白内障を引き起こします。

 また、強い紫外線を浴びることで、脱毛や皮膚の赤み、進行すると皮膚がただれる、赤く腫れてかゆみを伴う、潰瘍(かいよう・皮膚の一部がえぐれてしまうこと)などの症状が見られます」(佐藤さん、以下同)。以下で紫外線による犬の代表的な病気を紹介する。

犬は紫外線による白内障が危険!

「犬の水晶体は人よりも紫外線を通しやすく、紫外線を多く浴びると、それだけ目はダメージを受けることとなり、白内障の発症や悪化に繋がるため、注意が必要です」

 犬の白内障とは、水晶体が白く濁り、視力が低下する病気だ。白内障は先天性と後天性に大きく分類でき、老犬だけの病気でなく子犬のうちから発症することも。

 原因は、遺伝や加齢、病気による合併症など様々で、症状が進行すると失明の危険もあり、完治を目指すには外科手術しかない。

 しかも、手術をしたからといって必ず治るという保証はない。

 一度、発症すると一生付き合わないといけない病気のため、少しでも発症のリスクを下げるためにも紫外線対策は重要なのだ。

愛犬が白内障で治療費150万円…

 記者が飼っているトイプードル、もみじ(雌、11才)は、3年前に白内障の症状が現れ、動物眼科の専門医にかかり治療をスタートした。

 手術を行い、一度は進行を食い止められたが、その後再び症状が悪化。治療や手術代、薬代などトータルで150万円ほどかかった。

 現在、もみじは両目が見えない。眼球が萎縮して片目が小さくなってしまった。それでも、毎日、散歩も行けるし、名前を呼ぶとまっすぐ歩いてくる。日々の点眼は欠かせないが、今のところ元気に暮らしている。

 このように犬の白内障は侮れない。なるべく早い段階から対策をしておくのがいいだろう。

強い日差しで皮膚炎にも注意

「強い日差しを過剰に浴びると“日光性皮膚炎”を発症する恐れがあります。

 これは、犬の皮膚病の一種で、文字通り日光に含まれる紫外線により肌が炎症を起こした状態です。慢性化すると皮膚がんに移行することもあるので注意が必要です」

紫外線でまぶたが炎症し進行するとがんに

 白い犬など色素の薄い犬によく見られるのが「日光眼瞼炎」(にっこうがんけんえん)という、まぶたが炎症する目の病気もある。これも慢性化するとがんを起こす可能性があるので注意が必要だ。

白内障ほか犬の紫外線対策4選

 紫外線から愛犬を守るにはどのような対策をとったらいいのか。佐藤さんは、特に注意したいのは以下の4つだという。

1.紫外線の強い時間帯の散歩は避ける

 1日のうち10時~16時ごろは紫外線が強い。気温が高いだけでなく、アスファルトが熱過ぎると肉球を火傷することも。熱中症の危険もあるので、この時間帯の散歩は避けよう。

2.UV対策の服を着せる

「直接日光を浴びなくても地面からの照り返しにより、皮膚の弱い下腹部が焼けることもあります。夏の散歩や、紫外線が強い場所に連れて行く場合はUVカットの服を着せるといいでしょう」。ただし、蒸れると熱中症のリスクや、皮膚病を招くことがあるので、必ず通気性のよいものを選んぶこと。

3.犬用のサングラスを用意する

 最近は犬用のサングラスがペットショップや通販サイトで販売されている。
「オシャレとしてではなく、目を守る対策として、サングラスは有効です」。愛犬がおもちゃだと思って咬んだり、飲み込んだりしないよう、利用する際は愛犬から目を離さないよう気を付けよう。

4.犬のサマーカットはNG

 体に熱がこもらないよう犬の被毛を短くカットする“サマーカット”。「暑い時期は犬のスタイルとして人気ですが、これは、日焼けの面からみると間違いです」
犬の毛は皮膚を守るためにあるので極端に短くするのは基本的にNG。適度な長さの毛が紫外線から体を守り、直接日光が当たらずに済む。

 一方で犬は紫外線を浴びたほうがいい場合もある。
「紫外線はビタミンDの生成に関与しています。ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収を促し、上部な骨や歯を維持する手助けをしてくれます」

 ただし、紫外線はあくまで“適度”に浴びることが大事だという。まだまだ暑い日が続く。愛犬の紫外線対策に注意が必要だ。

教えてくれた人/獣医師・佐藤貴紀さん

獣医師の佐藤貴紀さん

麻布大学獣医学部卒業後、勤務医を経て独立し白金高輪動物病院を設立。院長として勤務後、JVCC二次動物医療センター目黒病院センター長を務める。現在、目黒アニマルメディカルセンター顧問https://mamec.wolves-tokyo.com/。専門は「循環器」。全国に100人しかいない「獣医循環器学会認定医」。「SuperDoctors 〜名医のいる相談室〜」(https://www.youtube.com/channel/UCUxW…にて配信中。

取材・文/鳥居優美

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