【ペットの介護】老いた犬・猫の介助のポイント!最新情報
医療の進歩とともに長生きになったのは、人間だけじゃありません。人間同様、老いは足腰の衰えから始まり、床ずれや誤嚥も…
わんこ・にゃんこの老いにいざという時、あわてないために、正しく向き合う方法を紹介する。
→【ペットの介護】犬・猫の老いに向き合うために介護度をチェック
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移動の介助
●後ろ脚に力が入らないなら、グッズを使って 介助を。なるべく散歩を続けることが大切。
まず直面するペットの老いは、後ろ脚が弱まって歩きづらくなることだ。
自力で歩けないからといって散歩に行かせないと、老いは早く進行する。そこで、私たちがまずすべき介助は“移動サポート”。ペットの歩きたい気持ちに応え、さらに体力や筋力低下を防がなければならない。
「犬や猫は、後ろ脚が思い通りに動かなくなると、落ち込んだり、強いストレスを感じるようになります。そんな時こそ飼い主が、”老いは後ろ脚からくるものだから”と理解し、適切なサポートをしてあげると、ペットも心強いはずです」(須崎動物病院院長・須崎恭彦さん)
歩くのがおぼつかなくなったら、上の写真のように胴着タイプのハーネスや車いすなどを使って手助けすればいい。車いすは既製品もあるが、オーダーメードの方が体にフィットし、負担が少ない。
また、胴着タイプのハーネスは全身用や下半身だけ支えられるものなど、さまざまな形があるので、介護度合いに応じて使い分けたい。
「フローリングを滑らない床材に替えたり、やわらかな敷物やクッションマットを敷くなど、足腰に負担のかからない環境を整えるのも大切です」(東京ペットホームの動物看護師・介護士の佐々木優斗さん)
介助しても歩けない場合は、バギーなどに乗せて、外に出るだけでも気分転換になるのでおすすめだ。
実話レポート:機能回復訓練で歩けるように
上記のような移動サポートを行うのは、介護生活の始まりと言えるが、実はその前にできることがあるという。
佐々木さんが世話をしているミニチュアダックスのコアくん(14才・オス)は、あることをしたおかげで、まったく歩けない状態から、自力で歩けるまでに回復したのだ。
「コアくんは、椎間板ヘルニアのグレード4〜5で歩行困難な状態でした。しかし高齢のため手術は困難。そこで、東洋医学に基づく治療と、肉球マッサージ、そして後ろ脚の屈伸を中心とする機能回復訓練を続けたんです。その結果、自力歩行ができるようになり、今や私たちの助けが必要ないレベルにまで回復したんです」(佐々木さん)
歩けなくなっても悲観することはない。希望はあるのだ。
食事の介助
●高タンパク・高エネルギー食をふせの姿勢で食べさせよう
高齢の犬や猫は、噛む力やのみ込む力、食事姿勢を保つ力が衰える。そのため、口元までフードを運んであげたり、抱き起こしてふせの姿勢にさせて食べさせるなどの介助が必要になる。
「食事はとにかく、食べてもらうことが第一条件です。特に食が細くなった子には、少量でも高たんぱくな食事内容を心がけましょう。元気だった頃には避けてきた砂糖や油脂を含む高カロリー食材や人間の食べ物を与えることも、場合によってはありです」(須崎さん)
犬猫に与えてはいけない食材、例えば、ねぎ類やチョコレート、キシリトールなどを避けて手作りするのもおすすめだ。
「基本は、食べたいものを食べやすい状態にしてあげるのがいいので、マッシャーなどで細かくするのもいいでしょう。寝たきりの子の場合、寝たままの姿勢で食べさせると、誤嚥性肺炎を起こす危険があるため、飼い主のひざの上に愛犬愛猫のあごをのせ、必ずふせの体勢にして食べさせてあげてください」(佐々木さん)
このほか、首を下に曲げにくくなるので、高さや角度が調整できるよう、食事台を活用するのも手だ。