父の入院中、母のコロナ陽性が発覚。ケアする側もギリギリ限界か【実家は 老々介護中 Vol.25】
80才になる父は、がん・認知症・統合失調症と診断され、母が在宅介護をしています。美容ライターの私は、たまに実家を手伝っています。父の入院により、一時的にひとり暮らしとなった母が、なんとコロナに感染してしまったようです。心配がWになり、遠くで見守る娘としては心配が増すばかりで、気が気じゃありません…。
老親がふたりともダウンしてしまい、心配しかない
肺炎で父が入院した8日後に、今度は母のコロナ陽性がわかりました。
「お父さんの下着とパジャマ、取りに行って洗濯してほしいんだけどなあ」
母からの唐突な電話で発覚したのは、母が発熱に苦しみ、抗原検査キットで陽性が出たのに黙っていたということ。濃厚接触者はナシ。私と一緒に父を見舞った3日後に発熱だから、私はセーフだし、ケアマネさんや兄とも会っていない。
様子を見に行くと、熱はだいぶ下がったけれど、体じゅうが痛いとソファに横になっていました。
「この前、 電話したとき、なんで黙ってたのよ、もう!」と怒ってしまいましたが、私の電話も実は30秒くらい、「はいはい、どうもねー」とおざなりなので、母の様子を感じ取れなかったのだと思います。
父は順調に回復しているというので、何かあったら電話もらえばいいか、と自分から母にちょくちょく電話することもなく、2〜3回お見舞いに行こうかな、くらいに思って油断していました。
さて、父を見舞いがてら、ナースステーションで洗濯物を引き取ります。病室の父は顔色も良く、私の顔を見ると「あれ、お母さんは?」と滑舌良くたずねてきました。
「今日は風邪ひいて来れないんだよ」
「ああ、かわいそうに」
しっかり話せて調子が良さそう。
看護師さんが、「ここ数日はご飯をしっかり食べていますよ」と教えてくださいました。帰り際に母の体調を伝えると、「わかりました。お大事にしてください」と優しい対応でした。
それにしても、実家 に乾燥機つき洗濯機があってよかった。洗ったパジャマをしっかり乾かし、また病院へ届けるのは結構な手間ですが、午前中に引き取って夕方届ければ、なんとかなりそう。
念のため消毒スプレーとマスクで防御しながらソーシャルディスタンスで母を見ていると、発熱のせいで体じゅう痛いらしく。「イテテテ、イタタタ」と騒ぎながらトイレと居間を行き来していて、食事は買い溜めした冷凍食品でしのいでいるようです。
母のために煮物をいくつか作って冷蔵庫に入れながら、老々介護に限界が来たなあ、と考えていました。今後父が家に戻れたとしても、綱渡りの介護になりそう。
「ロクなものを食べてないし、フラフラしちゃって」と、家の中で杖をついて歩く母は、「ワクチン全部打ってるのにね。ダメだねえ」とこぼしていました。
限界ってどこで決めるのか? あるとき破綻して、急に「助けて!」って言われても、助けてあげられないから今なのかな? 仕事を言い訳に、実家に電話するのをサボらないこと、ケアマネさんに今後を相談すること、今はそれしかできないですが、退院までしばし待機です。
文/タレイカ
都心で夫、子どもと暮らすアラフィフ美容ライター。がん、認知症、統合失調症を患う父(80才)を母が老々在宅介護中のため、実家にたびたび手伝いに帰っている。
イラスト/富圭愛
●NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~ 第3回「母は慢性膵炎、脂質5gの壁」