在宅介護における防災対策を徹底解説 自力で動けない人、車いす利用者の避難方法などもしもに備えて覚えておきたいこと
「エレベーターがない、止まっているなど、どうしても階段を通らなくてはならない場合は、人の手を借り、車いすを持ち上げて昇降します。
車いすごと避難ができれば問題ありませんが、
車いすでの避難は危険を伴うため、無理に行わず、救援者を集めることが先決となる。その上で、以下の注意ポイントを守って避難すること。
・人数
「車いすを持ち上げる場合は、基本的には4人で持ち上げます(電動車いすは、6~8人)。特にバックレスト(後ろ)側が重いので、4人のうちで力のある人が担当しましょう。
また、持ち上げたときに車いすが左右・前後に傾かないように、身長のバランスを考えて持つ部分を決めましょう。車いすを持ち上げるときには、車いす本体に溶接された部分(動かず、折れたりしない部分)を持つのが基本です」
・持ってはいけない部分
「車いすはグリップ、アームレスト、バックレスト、フットサポートなど着脱式や折りたたみ式になっているものもあります。着脱式の場合は持って外れたら危険ですので、これらは持たないようにしましょう。
また、ブレーキをかけたとしても何かのはずみではずれる危険性もありますので、駆動輪やハンドリムをつかむことは避けてください」
・車いすの向き
「車いすの向きは、階段を上る場合は前向き、下りる場合は後ろ向きが基本で、介助者は進行方向を向きます」
防災はまず正しい情報を得ることから
防災知識や対策についてはほかにも知っておかなくてはならないことがあると冨樫さん。
「まずはご自宅周辺のハザードマップを入手して、地域における災害リスクや避難路、避難場所を確認しておきましょう。ほかにも災害時に役立つ情報がWebサイトで得られますので、上手に活用してください」
【防災関連の情報サイト】
・ハザードマップ(国土交通省)
国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」から検索できる。
・警戒レベルについて(内閣府)
避難行動に備え、警戒レベルについて理解しておくことが大切。高齢者などが避難を開始するのは「警戒レベル3」の「高齢者等避難」。
www.bousai.go.jp/pdf/5keikailevel.pdf
・災害用伝言ダイヤル(NТТ東日本/西日本)
自宅にいない家族や、親類、友人の安否確認のためには、NTTの災害用伝言ダイヤル171のサービスがある。事前にテストしてみることをおすすめ。
https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/
https://www.ntt-west.co.jp/dengon/web171/
「災害は突然起きます。あわてて気が動転すると思わぬ被害にあう場合もあります。皆さんご自身や大切なご家族、在宅の要介護者や高齢者のかたたちがより安全に過ごすためにも、日頃から防災グッズを準備したり、家庭内のセーフポイントを確認したりして災害に備えるようにしてください」
写真提供/公益財団法人「日本ケアフィット共育機構」 取材・文/本上夕貴
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