予備軍は2000万人!糖尿病を引き起こす血糖値上昇から身を守る食品Best15|15人の食&健康の専門家が判定
ランキング上位には1位のきのこを筆頭に、オクラ、海藻と「食物繊維」が豊富な食品が多く名を連ねた。
「食物繊維には糖の吸収を緩やかにする働きがあり、数値のコントロールになくてはならない一品です。たとえばパンだけを食べるとそこに含まれる糖分がみるみるうちに血中に取り込まれて血糖値が急上昇しますが、サラダなど食物繊維が豊富なメニューと一緒に食べれば、それを防ぐことができるのです」(消化器外科医の石黒成治さん)
管理栄養士の磯村優貴恵さんは、きのこの優れた効果をこう解説する。
「食物繊維の中でも特に血糖値の急上昇を抑える効果が強いのが『水溶性食物繊維』。きのこには不溶性・水溶性両方の食物繊維が含まれているうえ、免疫力が上がるとされるβ-グルカンも豊富。冷凍保存ができて使い勝手がいい点も、推奨ポイントです」
きのこと同様、水溶性食物繊維を多く含有する海藻にも多くの票が集まった。横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長の三島渉さんはわかめがイチオシだと話す。
「海藻が票を集めたのは “ぬめり成分”であるフコイダンがキーワード。水溶性食物繊維の一種であり、糖質の吸収を抑える効果はダントツに高い。特にわかめは安価で手に入れやすく、保存がきくことが大きなメリットです」
血糖値を調整する働きがあるインスリン
食物繊維が豊富な食品の合間を縫ってランクインした4位のヨーグルトや8位の菊芋、玉ねぎといった食品には1つの共通点がある。
工藤内科院長の工藤孝文さんが解説する。
「これらの食品には血糖値のコントロールに欠かせない、インスリンという物質に作用する働きがあるのです。血中のブドウ糖が増えたときにすい臓から分泌されるインスリンには、ブドウ糖をエネルギーに変える役割があります。この機能が低下すると血液中のブドウ糖がうまく処理できなくなって血糖値の高い状態が続いてしまう」
実際、糖尿病患者の90%を占める2型糖尿病はインスリンの減少が原因で起きているとされる。
「ヨーグルトに含まれるホエイプロテインというたんぱく質には、インスリンを増やす働きをするホルモン『インクレチン』の分泌を促す機能があり、玉ねぎのミネラルにはインスリンの糖代謝機能をサポートする役割がある。両方とも血糖値をコントロールするためには欠かせない食品です」(工藤さん)
菊芋の糖質は「天然のインスリン」
水野さんが一票を投じたのはマイナーな食材ながらランキングに食い込んだ菊芋。
「いも類のため、“糖質が多いのではないか”と敬遠する人も多いと思いますが、実はその糖質にこそ特筆すべき効果がある。ほかのいも類が含むデンプンとは違い、菊芋の糖質は『天然のインスリン』とも呼ばれるイヌリンという成分でできています。イヌリンには、胃腸を通過するときに水分を吸収してジェル状になり、腸内の糖分や塩分、脂肪分を体外に排出する役割がある。また、イヌリンの糖質は体内に吸収されづらい『フラクトオリゴ糖』であるため、摂取しても血糖値が上昇することはないのです」(水野さん)
写真/PIXTA
※女性セブン2023年8月31日号
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