薬や湿布を使わずに“痛み”を楽にする方法|頭痛はまず原因を探ること、頭痛以外の痛みにも効く「12方向の耳ツボマッサージ」【専門家監修】
頭や腰の痛みを鎮痛剤などでごまかしながら毎日を過ごしている人も多いはず。しかし、薬にばかり頼っていると思わぬ副作用を引き起こす場合も。なるべく薬を使わず、つらい痛みを解消する方法を専門家に聞いた。
年を重ねると共に増え続ける痛みとの付き合い方とは?
「人生100年時代なんていわれているけれど、そのうちの何年を、痛みとともに過ごさなければいけないのかと最近思うんです…」
愛媛県に住む今田直子さん(73才・仮名)はそうため息をつく。
「若い頃からの片頭痛はいまも“現役”。加えて最近は体にガタがきたのか、肩やひざ、腰のどこかが毎日必ず痛い。家の中で階段を上り下りするのもひと苦労です。思い返せば更年期までは生理痛もひどかった。これからもずっと薬をのみ、湿布を貼り、痛みとつきあっていくしかないのでしょうか」
10代で始まる生理痛から年を重ねるほどにひどくなる腰痛まで――女性の一生にはさまざまな痛みがつきまとい、年齢を問わず悩む人は多い。鎮痛剤をポーチなどに入れて肌身離さず持ち歩く人は少なくないが、その「お守り」が、かえって体に悪影響を与え、負のスパイラルを招いている可能性がある。
東京医科大学整形外科准教授の遠藤健司さんが説明する。
「痛みにはリウマチなど病気からくるものと、疲れやむくみといった体調不良からくるものがあり、前者には薬が必須ですが、後者は必ずしもそうではない。むしろ鎮痛剤を使うことで耐性がついて効き目が悪くなりますし、そもそも痛み止めは一時的な解決にしかなりません」
実際、痛みや薬のメカニズムを知り尽くす医療関係者の中には「使わない」と決めている人もいる。朝倉医師会病院の呼吸器内科医・佐藤留美さんもそのひとり。
「多くの鎮痛剤には腎機能や肝機能を低下させる副作用があるうえ、のみつづけて胃潰瘍になったという事例もある。湿布などの貼り薬も、長時間皮膚に触れるため、赤みやかゆみが出ることも珍しくない。そのため私はよほどがまんできない痛みでない限り、内服薬も外用薬も使いません」
しかし、だからといって何も対処せず、じっと痛みに耐えることにも当然リスクがあると遠藤さんは話す。
「痛みをがまんしているとき、体は緊張状態にさらされていて、常に負担がかかっています。筋肉は縮こまり、自律神経も乱れて体に大きな悪影響を及ぼす。つまり、いかに薬に頼らずに体の痛みを取ることができるかが、健康な体を保つことができるかを左右するといえます」(遠藤さん)
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