失うと認知症リスクが上がる【歯】正しい噛み方&歯のケア習慣と咀嚼力を鍛える「ガム噛みエクササイズ」【専門家が伝授】
磨く順番は「奥歯から」が正しい。奥歯でしっかりと正しく噛んでいれば必然的に、奥歯が汚れやすくなるからだ。また、前歯から始めたり、左右にランダムに歯ブラシを動かすと磨き残しが出やすいことも理由の1つ。
「奥歯の表側から1本ずつ、汚れをかき出すイメージで磨いてください。歯1本につき、表10回、裏10回ブラッシングするのが目安です。特に磨き残しが多いのは歯と歯の間なので、一通り磨いた後に歯と歯の間を縦に磨いて仕上げを」
磨き終えてからの「うがい」も重要だ。水を口に含んで吐き出すだけでは、せっかく落とした汚れは口の中に残ったままだという。
「量は多くなくていいので、水を口に含んだら右側を10回、左側を10回、真ん中を10回“ぶくぶく”とうがいをしてください。終わったら、いちばん奥の歯から順番に、舌でなめてみてください。ツルッとしていればきちんと磨けていますが、ヌルヌル、ザラザラしていたら汚れが落ちていないので、もう一度磨く必要があります」
「咀嚼トレ」にはするめよりも「ガム」!
きれいで丈夫な歯を維持しつつ、日頃から口を閉じて「咀嚼力」を鍛えておくことも重要。ただし、硬いものを噛んだからといって効果が出るとは限らない。
大阪府の会社員・山口睦子さん(57才・仮名)が言う。
「歯を強くするにはやっぱり硬いものを食べる方がいいと思って、晩酌にはいつもするめを食べています。でも先日、歯科医の定期健診で“歯周病になりかけている”と言われてしまって…」
健康な歯を保つために大切なのは「何を食べるか」ではなく「どう食べるか」だと、石野さんは語る。
「年を取ってから硬いものばかり食べていると、むしろ歯を傷つけることになります。正しく噛めていれば、何を食べてもいいのです。咀嚼のための筋肉はどうしても年齢とともに弱っていくので、なるべく早いうちから正しい咀嚼を身につけ、筋肉を鍛えておくことが大切です。
正しい咀嚼ができるようになると、顔だけでなく首筋や胸元の筋肉まで動くようになります。背筋を伸ばして姿勢を正し、正しい噛み方を練習すれば、小顔やバストアップ、アンチエイジングにもつながりますよ」(石野さん)