父に異変…このまま寝たきりになっちゃうの?【実家は 老々介護中 Vol.22】
80才になる父は、がん・認知症・統合失調症と診断され、母が在宅介護をしています。美容ライターの私は、たまに実家を手伝っています。凪のように父の容態が穏やかな日々が終わり、父に次のフェーズが来てしまいました。私は電話で母を励まし、訪問看護師さんやヘルパーさんに頼るしかありません。対応する母まで体調を崩してしまわないよう、祈るばかりです。
ある日突然、気力もなくグッタリと
「お父さんの様子がおかしいんだよ。寝てばっかしいるんだよ」
母から突然電話が来ました。午後6時、私は自宅で夕食を作っているところでした。
「お父さん、昼間はずっとソファに座ってたんだけどね。夕方のヘルパーさんが来た後、あたしがちょっと買い物行って戻って来たら、お父さんがベッドに寝てて驚いちゃった。床を這いずってベッドの部屋に移動したみたい」
えっ、そんなことある? 10歩あるかないかという距離ですが、筋力の落ちた父が自力でベッドへ行くのは厳しい状況なのに、どうやって辿り着いたの?
「お母さんさ、さっき電話で『今日は訪問看護さんが来て、その後いつも通りお昼を食べたよ』って言ったよね?それから急に疲れて寝込んじゃうなんて、おかしくない?」と聞くと、
「どうしてかねえ。お父さん、水もご飯もいらないって眠ってるんだよね」と母。
「いや、水は飲まないと脱水状態になっちゃうから。ゲル状のとか飲んでもらってよ」
「そうなんだけどさ。あとね、訪問診療の病院に電話したら、もう留守電なのよ。で、訪問看護の緊急電話にかけたら、『熱がなくて、ほかにおかしなところがないなら、明日の朝私たちが見に行きますので』って言われて。このままでいいのかねえ」
母は「どうしよう、どうしよう」とぐるぐる考えて落ち着かない様子でした。
「看護師さんが大丈夫って言うんだから、大丈夫だよ。水だけは飲んでもらってね。もし様子が変わったら、訪問看護に電話してね。私に電話してもいいよ。お母さんはちゃんとご飯を食べてね」
母を励ましてはみたものの、心配で私も落ち着きません。
大丈夫かなんて、私にはわからないけど、そう言う以外にないですね。この日は事情があって実家に駆けつけることができず、私も不安で眠れない夜を過ごしました。
翌朝、訪問看護師さんが父の様子を見にきてくれました。電話で様子を聞くと、「とりあえず急な対応は必要ないです」とのこと。その後、主治医の指示で点滴をしてくれて、脱水を回避できました。
それにしても、なぜいきなり寝込んでしまったのか? 本当にこのまま様子を見て大丈夫なのか? 心配しつつ進むしかないです。
文/タレイカ
都心で夫、子どもと暮らすアラフィフ美容ライター。がん、認知症、統合失調症を患う父(80才)を母が老々在宅介護中のため、実家にたびたび手伝いに帰っている。
イラスト/富圭愛