【糖尿病】の基礎知識と新常識 女性こそ怖い!やってはいけない生活習慣
糖尿病の主な合併症には、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害などがある。
糖尿病網膜症は、網膜が出血を起こし、視力が低下してしまう病気。進行が進むと失明の危険性もあるが、加齢によるものか判断しづらく、自覚症状がなくても進行するケースが多い。
糖尿病腎症は、腎臓機能が衰え、最悪の場合、人工透析をしなくてはならなくなる病気だ。毎年、新しく人工透析を受ける人はなんと1万人以上いるという。
「これが今、いちばんの問題です。人工透析は1日4時間かかり、週に4日は受けなくてはいけない。また、年間約500万円の医療費がかかり、社会保険や国民健康保険の財政を圧迫しています。人工透析ができる医療機関は平日しか空いていないため、働いている人は通う時間を確保するのも困難。この状態では働けないため、退職せざるを得なくなる人もいます」(牧田さん・以下同)
神経障害では、手足の神経が鈍くなり、麻痺やしびれ、痛みを起こす。免疫力が下がっているため、けがをするとそこから菌が入り、炎症や、壊疽を引き起こすことも。最悪の場合は足を切断することにもなるのだ。
 その他、リスクが高まる病気には、がんや認知症、心筋梗塞、脳梗塞などがある。
「特にがんはリスクが高まり、糖尿病の患者とそうでない人を比べると、がんになる確率は3.1倍も高くなるのです」
高血糖状態が続き、血管に負担がかかると動脈硬化が起こり、血栓もできやすくなる。すると、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなる。
「脳梗塞は、ある日突然、発作を起こしたことで初めて気づくことが多いのですが、そのときはすでに手遅れということも。また、死に至らなくても半身不随になってしまい、要介護人生を送る可能性もある。そのため、糖尿病にかかった人は検診をまめに受ける必要があるのです」
そして、何より恐ろしいのが認知症。一般の人と比べ、糖尿病患者のアルツハイマー型認知症発症率は、約1.5倍、脳血管性認知症の発症率は、約2.5倍高くなるといわれている。
「糖尿病の治療薬やインスリン投与の影響で、血糖値が著しく下がると、低血糖になります。血糖値が低いと脳に栄養がいきわたらず、ふらつきや意識障害を起こすことも。これらが認知症を引き起こす原因にもなるのです」
認知症は発症すると完治することはない。早期発見で進行を遅らせるしかないのだ。 放っておくと手遅れに 合併症のリスク 神経症障害 足潰瘍 腎症 神経障害や末梢血管障害が起こり、感染症を起こしやすくけがの治りが悪くなる。放っておくと壊疽が進み、最悪の場合、足の切断に至ることも。 進行が進むにつれて、尿たんぱくが増加。ひどくなると人工透析が必要となる。
糖尿病の主な合併症
●認知症
糖尿病の合併症 認知症 脳梗塞 高血糖の状態が続くと、認知機能が低下し、進行が早まるケースもある。
●脳梗塞
動脈硬化を早めるため、発症リスクは2倍以上。 網膜症 網膜の血管は細く、高血糖が続くと損傷を受け、出血してしまい、最悪の場合は失明する可能性大。
●狭心症・ 心筋梗塞
高血糖による動脈硬化の進行が原因。高齢者に多く、急性心筋梗塞症は死に至ることもある。
●歯周病
歯周組織の血管がもろくなり、歯を支えている骨が溶け、歯を失う原因に。
●腎症
進行が進むにつれて、尿たんぱくが増加。ひどくなると人工透析が必要となる。
●神経障害、足潰瘍
神経障害や末梢血障害が起こり、感染症を起こしやすくけがの治りが悪くなる。放っておくと壊疽が進み、最悪の場合、足の切断にいたることも。
教えてくれた人
牧田善二さん/『AGE牧田クリニック』 院長。 糖尿病専門医。これまでに診た患者は20万人以上。
泰江慎太郎さん/『銀座泰江内科クリニック』 理事長・院長。 糖尿病専門医、循環器専門医。最先端の糖尿病治療を行っている。
※女性セブン2019年1月1日号