【坐骨神経痛】自分の“クセ”を正せば痛みは軽くなる!腰にやさしい「姿勢」「椅子の座り方、立ち方」
腰の痛みを引き起こす病気は、何気なくしているいつもの立ち方や動き方が蓄積した結果という場合も多いとされている。痛みを軽減させるためにも、まずは正しい姿勢を覚えよう。
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特効薬は、いつもの姿勢を正すだけ
よくいわれる正しい姿勢は、背骨の“S字カーブを保つ”こと。しかし、立っている間ずっときれいな姿勢を保つことは意外と難しい。
「体の片側に重心を置いて立ったり、背中をソファにあずけてダラッと座ったりするのが楽だと感じているはずです。ところが、自分では楽だと思ってクセになっている姿勢は、腰にとっては大きな負担になっていて、坐骨神経痛を起こす腰の病気を生み出してしまうのです」(平和会平和病院服院長・田村睦弘さん、以下「」同)
そのため、はじめはつらいと感じても「正しい姿勢」をキープし続けることが、坐骨神経痛の痛みを軽減する大きなポイントの1つとなる。
「坐骨神経痛を引き起こしている病気の重症度によって変わりますが、軽度であれば症状がかなり出なくなるとされています」
腰にやさしい姿勢の作り方
日々の習慣から体にしみついている悪い姿勢は、腰に大きな負担をかけている。まずは基本の正しい立ち姿勢をマスターし、普段からよい姿勢を保つように意識することからはじめよう。
【1】下腹を少し前に突き出して立ち、左右の鼠径部に軽く手をあてる。人さし指・中指・薬指の指は開かずにピチッとそろえ、指の腹を鼠径部に軽く押しあてるようにするのがポイント。あまり強く押しつけないように。足は、まっすぐにそろえておく。
【2】息を「ふーっ」と長く吐きながら、軽くお辞儀をするようにお尻を真後ろにゆっくりと引いていく。両手で触っている鼠径部の緊張がふわっとゆるむような感覚があるところで、お尻を引いていた動きをストップ。腰のそり返りがゆるんで、楽になっていればそのまま【3】へ。
【3】顔を正面に向け、肩の力を抜いて両腕はおろす。自然とお腹の奥に力が入るので、お尻の筋肉も中心に向けて軽くしめる。かかとに重心をのせて、足の指は浮かないように。その姿勢のまま足を見おろしたら、足の甲のつま先側半分が見える。
●注意 痛みやシビレを感じたらムリしない!
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)の人や上記の姿勢で痛みを感じる人は、前かがみの姿勢で行う。下向きに息を吐いてから顔だけを正面に向け、太もも前側の張りが少なく、腰が楽になる位置まで前かがみになること。
左右偏りがないように立ち姿に気を配る
「立つことは日々の生活で常に行う動作ですが、正しい姿勢を作ったら特に気をつけたいのが“お腹から力を抜かない”こと。バスや電車を待つ間など動かないときは、重心は体の中心に置いてバッグは体に引き寄せて持ちます。そして、バッグは時々左右に持ち替えて、一方に偏らないように気をつけること。電車やバスでつり革につかまる場合は、できるだけ腰に近い位置=低い場所の方が腰に負担がかかりにくいので、手すりなど低い位置にあるものを探しましょう」
また、椅子から立ち上がるとき、座るときは、股関節と太ももとひざの“下肢全体”を使うこと。
「腰痛があると腰を動かしてはいけないと思いがちですが、動かさないようにするほど不自然な動きになり、逆に腰に負担がかかります。正しい動き方をよく覚えて、腰を守りすぎないように心がけましょう」
座る椅子は、背骨のS字カーブを保てるものを選ぶのが◎。
「座面が高く足が床につかない椅子では腰がそりやすくなり、また体が深く沈み込むソファではS字カーブが大きく崩れます。脊椎に負担をかけない椅子に座りましょう」
腰にやさしい椅子の座り方と立ち上がり方
日常で繰り返す「座る」「立ち上がる」動きは腰に負担がかかるため、坐骨神経痛が出やすくなる。腰の力だけで動くのではなく、腰への負担を減らす動作を身につけよう。
●ポイント
・「こんにちは」の姿勢をする
・お尻や太ももの力を有効に使う
※腰部脊柱管狭窄症の人は背筋をそらせないように注意
【2】太ももの力でしゃがむことを意識し、ゆっくりとひざを曲げてお尻を後ろに引く。腰に力を入れず、太ももでがんばるように。
【3】お尻を静かにおろし上半身を起こす。仙骨を背もたれにつけて、椅子にしっかり座る。鼠径部に手をあて、足は軽く開き床につけて引き寄せておく。
【4】上半身は伸ばしたまま重心を前へ。急に立ち上がると腰を痛めやすいので、座るときと同じく立ち上がるときも「こんにちは」の姿勢から入る。
【5】頭を下げ、ひょいと持ち上げる感じでお尻を上げる。頭を深く下げるとお尻が上がりやすい。上半身を起こしながら、曲げたひざを伸ばして立ち上がる。
●注意 こんな座り方も腰を悪くする!
床や座敷に座る場合は、正座や座布団を使うのが正解。横座り、あぐら、女の子座り、体育座りなどは楽な座り方に思えるが、実は腰を悪くする原因に。「背骨のS字カーブを崩してしまうため、腰に負担がかかっているのです」。
教えてくれたのは…
田村睦弘さん/医療法人平和会平和病院副院長、脊椎外科・横浜脊椎脊髄病センター長。医学博士。日本整形外科学会認定整形外科専門医。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医。主な著書は『徹底対策シリーズ 坐骨神経痛を自分で治す4週間プログラム』、『完全図解 坐骨神経痛のすべて 自分で治すプログラムつき』(共に主婦の友社)、『女性のつらい坐骨神経痛はこうして改善する!』(PHP研究所)。
イラスト/成瀬瞳
※女性セブン2018年12月13日号