料理家の母、脇雅世さんのフレンチ弁当「厳しさと愛情が伝わる」娘の加藤巴里さんが再現
料理家の加藤巴里さんは、フレンチを得意とする料理家・脇雅世さんの次女として幼い頃から料理やフレンチの味に親しんできた。加藤さんは「料理家の母が作るお弁当にはおいしいコツがぎっしり。厳しさと愛情が伝わります」という。パリに5年留学して料理と製菓を学んだ後、母と同じ料理家になったからこそわかるエピソードを交えて、思い出の「フレンチ弁当」のレシピを教えてくれました。
母・脇雅世さん直伝!フレンチ弁当
「母は仕事でフランス料理を作ることが多かったため、残り物のフレンチ風のおかずがお弁当に入っていると、友達に珍しがられました」と、加藤巴里さん。ラタトゥーユの味がコートレットに移っておいしいからと、この二品は必ず隣合わせで入っていた。
「子どもの頃に母の手伝いをした記憶は、実はあまりないんです。キッチンは“母の城”のような、気軽に立ち入れない雰囲気があって…。私が料理の道に進もうと決めて、母に師事しようとしたときも『外で学んできなさい』と一蹴されました(笑い)。それでパリへ留学したんです。いまでも実家で料理を作ると、母からは厳しいアドバイスを受けます。レシピ通りに作っても、母の味はなかなか再現できません。料理家としての母は、私にとって大きな目標ですね」(加藤さん・以下同)
ラタトゥーユ
野菜の旨みを味わうために、調味料は塩のみで。多めに作っておくと便利な一品。
<作り方>(作りやすい分量)
【1】ズッキーニ1/2本、パプリカ1/2個、玉ねぎ1/2個、なす1本は2cm角に切り、トマト1/2個はざく切りにする。
【2】フライパンにオリーブオイル大さじ2~3を熱し、ズッキーニ、パプリカ、玉ねぎ、なすを順にひとつずつ炒め(油が足りなければ適宜足す)、そのつど油を軽く切りながら鍋に移す。
【3】鍋にトマト、にんにく1/2片、塩小さじ1/3、ローリエ1/2枚を加え、蓋をして中火で15分煮る。
【4】にんにくが柔らかくなったらヘラで潰し、全体に混ぜ合わせる。味を見て塩で味を調える。
<ポイント>
「食材によって水分や糖分の量が違うので、1種類ずつ炒めるのがポイント。にんにくは塊のまま加熱し、潰して混ぜることで旨みになります」
コートレット(カツレツ)
塩は肉に直にふると水分が出るため、バッター液に加える。下味のムラもなくせて一石二鳥。
<作り方>(1人分)
【1】ポリ袋にパン粉(目が細かいもの)適量を入れ、上から麺棒で潰してさらに細かくし、バットに移す。
【2】小麦粉小さじ2、サラダ油小さじ1/2、塩ひとつまみ、水大さじ2/3をよく混ぜ、バッター液を作る。
【3】豚ロース肉(しょうが焼き用)1枚の余分な水気を拭き、【2】につけて【1】をたっぷりとまぶし、そのまま15分おく。
【4】揚げ油を180℃に熱し、余分なパン粉を落とした【3】を入れて揚げる。油を切り、食べやすい大きさに切る。
<ポイント>
「パン粉をできるだけ細かくすることで本場の味に。パン粉をまぶした後しばらくおくことでよくなじみ、揚げても落ちにくくなります」
シーフードグラタン
片栗粉を使えば、忙しい朝でもあっという間にホワイトソース風に。最初に具材の水分を飛ばすのがポイント。
<作り方>
【1】マッシュルーム1個は7mm幅に切る。
【2】鍋に冷凍シーフードミックス35g、【1】、バター小さじ1(4g)を入れ、水分がなくなるまで弱火で炒める。
【3】牛乳1/4カップを加えて中火で加熱し、煮立ったら火を止めて水溶き片栗粉(片栗粉小さじ1+水小さじ1)を加えよく混ぜる。再度火にかけてしっかり煮立て、とろみがついたらアルミカップに移す。ピザ用チーズ適量をかけ、トースターで焼き色がつくまで焼く。
<ポイント>
水溶き片栗粉で、失敗なく、手早くとろみがつけられる。ダマにならないよう、火を止めてから加え、よく混ぜる。
オムレツ
ラップだけで卵焼きがデリのような洒落た一品に。ハムを加えても。
<作り方>(1人分)
【1】溶き卵1個分、塩ひとつまみを混ぜる。
【2】冷凍グリーンピース大さじ2(20g)は解凍し、余分な水気を拭く。
【3】小さめのフライパンにサラダ油小さじ1を熱し、【2】を水気を飛ばしながら炒める。【1】を流し入れ、ヘラで2~3回混ぜたら手前に寄せ集める。
【4】全体が焼き固まったらラップの上に取り出し、キャンディー包みにして形を整えて冷ます。ラップの上から3等分に切り、ラップを外す。
<ポイント>
「フランス料理のフォアグラの作り方を応用。温かいうちが成形しやすいので、焼けたらすぐにキャンディー包みに」
バゲットサンド
「主食がご飯のときはフレンチおかずにしょうゆを加えてやや和風にするなど、ご飯に合うアレンジをしてくれました」。
<作り方>
バゲットにキャロットラペとハムをサンド。
教えてくれた人
料理家 加藤巴里さん
フレンチを得意とする料理家・脇雅世さんの次女として、幼い頃から料理やフレンチの味に親しむ。パリに5年留学して料理と製菓を学んだ後、料理家に。
撮影/砂原文
※女性セブン2023年6月1日号
https://josei7.com/
●脇雅世さん流 基本のポテトサラダのコツ|滑らかな食感にするのに加えるものは?