「自分が正しいと言い張る、ひがみっぽくなる…」実例イラストで解説!老いた親と円滑にコミュニケーションするコツ【専門家監修】
人生の最期を迎えるにあたり、さまざまな準備を行う「終活」。デリケートな内容を含むため、親に終活の話を切り出しにくいと感じている人も多いはず。最初の一歩は会話から。関係性を深める「親の言動」の対処方法や、コミュニケーションを取りたくなる会話術を専門家にアドバイスしてもらった。
子供は親の老いを受け入れ、親に興味を持つことが大切
やる気がある人は子に言われるまでもなく終活をしている。高齢になってもやらないのは、必要性を感じていないからだ。そんな親でも、信頼できる子供に言われたらやってみようという気にもなるだろう。逆にほとんど会いに来ない子供から突然「銀行口座を教えて」「財産はどれくらいあるんだ」などと聞かれたら不信感しかわかないはずだ。
親の終活は一朝一夕ではできない。月に1回の訪問を週に1回にするなど、長い目で見て関係性を築き、その上で重要な情報を共有することのメリットをお互いに理解し合うことが大切なのだ。
しかし、頻繁に会っていない親子にとっては、そもそも会話すら難しいようだ。
「最近は親と話をしようにも、イラっとさせられることが多いんですよね」
とは、50才主婦・Sさんだ。しかし、そんな親の言動には理由があるのだ。
「老化により、知的活動を司る脳の前頭前野が萎縮して機能が衰え、記憶、意思決定、感情の制御が難しくなるのです。加えて体力・気力も衰えます」(医師の榎本睦郎さん・以下同)
親の老化を受け入れていない子供が、これくらいできるだろうと思い込んで接し、お互い嫌な思いをするケースが多いという。
「終活は老親には重労働です。事実を思い出して書く行為は頭も目も使いますから」
まず、子供がすべきことは親の老いを受け入れ、親に興味を持つことだ。
「“お父さんってどんな仕事をしていたの?”など、親が楽しく話せそうな話題で世間話をしてみましょう」(介護福祉士の尾渡順子さん・以下同)
1日1時間、親を全肯定して向き合う
会話が楽しくできるようになったら、少しずつ終活絡みの情報を聞き出したいが、焦ってエンディングノートを渡すのはおすすめしない。
「親に終活をさせるのではなく、会話の中から必要な情報を聞いてメモしましょう」
このとき、親の意見を否定しないことが大切だ。とはいえ、こうしたことを続けていると子供も疲れてしまう。
「1日1時間など時間を決めて行うのが長続きの秘訣です」(榎本さん)