連載

高木ブー、大学生になった孫と美容院へ「4月はワクワクする季節だね」|連載 第93回

 春になって高木ブーさんのまわりでも、いろんなことが動き始めた。4月6日に発売された自叙伝『アロハ 90歳の僕 ゆっくり、のんびり生きましょう』(小社刊)にも、嬉しい感想がたくさん寄せられている。「口下手な僕でも、本だと読者とじっくり話せるのがいいよね」とブーさん。新しいチャレンジに向けて、静かに闘志を燃やす。(聞き手・石原壮一郎)

春は新しいことが始まる季節。毎日ワクワクしてます

 僕は「4月」っていう文字を見ただけで、なんだかワクワクする。テレビの世界で長くやってきたからかな。4月と10月は「改変期」で、とくに4月は新しいことがあちこちでスタートする区切りの月だった。「心機一転」とか「初心に帰る」といった言葉が似合う季節でもあるよね。ちょっと気持ちが引き締まったりもする。

 90歳になった今年の4月は、自叙伝『アロハ 90歳の僕 ゆっくり、のんびり生きましょう』が出版された。読んでくれた人から、直接はもちろんインスタのコメントやツイッターとかでも、嬉しい感想をたくさんもらってる。

アロハ 90歳の僕: ゆっくり、のんびり生きましょう

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 なるほどなと思ったんだけど、長く家族ぐるみの付き合いをしている人が、「知らなかったことがたくさん書いてあった」と驚いてくれた。子どもの頃のことにしても若い頃にどんなことをしたかなんてことも、何かきっかけがないと話さないよね。「あらためてブーさんを詳しく知ることができて、とってもよかった」とも言ってもらった。

 そもそも僕は口下手だから、自分のことを話すのは得意じゃない。でも本だと、読者にじっくり語りかけることができる。読むほうだって自分のペースで、読みたいときにのんびり読んでくれればいいしね。本って、そこがいいなとあらためて思った。もしかしたら、ひとりひとりの読者に向けて長い長い手紙を書いたみたいな感じなのかな。

 内容について「面白かった」と言ってもらうのはもちろん嬉しいけど、表紙をホメてくれる人がたくさんいたのも嬉しかった。カメラに熱中している孫のコタロウが撮ってくれた写真だからね。そのことを知っている人が「家族だからこそ撮れる表情ですね」と言ってた。自分じゃよくわからないけど、たしかに「よそ行きの顔」とは違うかもしれない。

 

 そのコタロウも、この4月に大学生活のスタートを切った。このあいだ僕と娘のかおるとコタロウの3世代で、いっしょに行きつけの美容院に行ってきたんだよね。小さいお店だから貸し切りみたいになって、美容師さんも含めてみんなでワイワイ話しながら切ってもらった。コタロウが小さかった頃のことも思い出して、感慨深い楽しい時間だったな。

 コタロウは数日前に、さっぱりした頭で初めて登校していった。いい友達やいい先生とたくさん出会って、楽しい体験をたくさんして、熱中できることをたくさん見つけて、日本も世界もいろんなところをたくさん旅して、充実した学生生活を送ってほしい。なんて、ちょっと欲張り過ぎかな。じいちゃんとしての願望だから、まあいいよね。

 加藤(茶)といっしょに準備を進めているのが、イザワオフィス公式YouTubeでの「ドリフ麻雀」。加藤と僕とゲスト2人で麻雀をして、その様子を番組にしてみんなに見てもらう。6月から配信をスタートさせる予定で、今はクラウドファンディングでサポーターの募集を始めてる(6月分の募集は4月18日まで。7月以降も毎月サポーター募集を行なう)。加藤と僕と一緒に麻雀をするというリターンもあるみたい。

→イザワオフィス公式YouTubeでの「ドリフ麻雀」について詳しく見る

 この企画は、もともと仲本(工事)がきっかけで生まれた。去年の10月に群馬県高崎市で開催された「志村けんの大爆笑展」のときに、楽屋で仲本と僕があれこれ話をしていたら、2人とも麻雀番組をよく見ていることがわかった。じゃあ、ドリフの3人とゲストとで麻雀をする企画をやったら面白いんじゃないって話になったんだよね。

 ところが、直後に仲本があんなことになって、話はそのまま流れそうになった。でも、加藤が「麻雀の企画、やってみようよ」と言ってくれて、企画が動き出したんだよね。ドリフの中で麻雀がいちばん好きだったのは仲本だったから、いっしょにやれないのは僕らも残念だし本人も残念だろうけど、実現したことは喜んでくれてるんじゃないかな。

 僕も上手くはないけど、ドリフのメンバーとたまに麻雀をやってた。いかりや家で毎年開催されてた忘年会や新年会のときが多かったかな。あれは打ち方に性格が出るよね。仲本はああ見えて、けっこう大胆な打ち方をする。そうそう、長さんは打ちながらしょっちゅう「ダメだこりゃ」って言ってた。でも、じつはいい手だったりするんだよね。今度の「ドリフ麻雀」では、麻雀をしながらそんな思い出話もいっぱい出てきそうで楽しみだな。

 4月21日からは「志村けんの大爆笑展」が北海道に初上陸する(サッポロファクトリー3条館3階特設会場、5月14日まで)。僕もオープニングの日に応援に行く予定です。北海道のみなさん、ぜひ会いに来てください。この季節の北海道は、何がおいしいのかな。いっぱいありそうだな。たくさん食べて、元気にがんばります!

ブーさんからのひと言

「4月は、新たなことが始まる人が多い時期だよね。僕は90歳になったけど、いくつになってもチャレンジするときはワクワクするものです」

高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)、『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。同チャンネルでは期間限定で「ドリフ大爆笑」の名作コントのデジタルリマスター版を続々と配信している。3月20日に『高木ブー画集RETURNS ドリフターズよ永遠に』(ワニ・プラス、2,970円<税込>)が発売。4月6日には、この連載をまとめた『アロハ 90歳の僕 ゆっくり、のんびり生きましょう』(小学館、2,420円<税込>)が発売! イザワオフィス公式YouTube新企画「ドリフ麻雀」は6月にスタート。詳しい案内とサポーター募集はこちらををクリック!

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

1963年三重県生まれ。コラムニスト。『大人養成講座』『大人力検定』など著書多数。最新刊は『無理をしない快感‐「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

 

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