自覚症状のない【高血圧】血圧を下げる8の習慣
「胃がんも心疾患も高血圧が引き金となる病気です。現在、日本人の3人に1人、50代以上になると2人に1人が高血圧だと診断されています」
こう語るのは、“ミスター血圧”こと、東京女子医科大学東医療センター元内科教授の渡辺尚彦さんだ。
高血圧は自覚症状がないため、軽く考えている人が多いが、放っておけば取り返しのつかないことになる。
一日の習慣を少しだけ変えるだけでも、血圧はみるみる下がるという。血圧を下げる8つの習慣を教えてもらった。
【1】香りで癒されたい時は 降圧効果のあるラベンダーを
ラベンダーの香りは副交感神経を刺激して心身を安定させ、血圧も下げてくれる。ルームフレグランスや入浴剤にはラベンダーを使うと◎。精油を布にしみこませて湿布のように使い、肌から浸透させても効果がある。
一方、ローズマリーには要注意。交感神経を刺激して心身を活性化させ、血圧を上げてしまう。
【2】きつめの服や 小物はNG
体を締めつけると血圧は上がる。きつめの下着やベルト、指輪はNG。ウエストを締めつけないゆったりした服装が◎。
起床後すぐは血圧が高い状態なので、着替えは完全に目覚めてからにしよう。
【3】入浴は ぬるめの湯が◎
入浴は39~40℃のぬるめの湯につかると、副交感神経が優位になり血圧が下がる。逆に熱い湯に長時間つかる、寒い脱衣所からいきなり熱い湯に入るのは、交感神経を刺激し、血圧を上げてしまう。
【4】激しい筋トレより ウオーキングがベター
血圧を下げるには有酸素運動が有効で、特に20分以上の早歩きが最適。ただし、食後に行うと急激に血圧が下がる場合があるので、食後1時間30分以内はやめよう。一方、筋トレなどの無酸素運動は、瞬時に強い負荷がかかるため、血圧が急上昇する。心臓発作などのリスクが生じるため、高血圧の人は原則禁止。
【5】血圧が上がる朝に 減塩食をいただく
血圧を上げるホルモン・アルドステロンが、最も多く分泌されるのが朝。このホルモンには、塩分を体内にため込む性質があるため、朝食で塩分をたくさん摂ってしまうと、血圧が即座にはね上がる。さらに、一日中血圧が上昇しやすい状態を作ってしまう。3食の中でも特に朝食には減塩食を摂るように心がけよう!
【6】 就寝中は 横向きで
日中に強い眠気があったり、就寝中のいびきがひどい睡眠時無呼吸症候群の人は、血圧が上がりやすい。改善するポイントは、仰向けではなく、気道がふさがれにくい横向きで寝ること。
【7】睡眠不足が血圧を上げる。 昼寝と休日の寝坊で改善を
血圧は、活動している日中に最も高くなり、睡眠中が最も低くなる。睡眠不足の人は、血圧が下がりきらないまま起きるので、起床時の血圧が高くなる。平日に6~8時間の睡眠時間を確保できない人は、15~30分の昼寝をするか、休日に長めに寝よう。ただし、10時間以上寝ると、逆に血圧を上げるので要注意。
【8】上りはエスカレーターを 下りは階段を使うこと
階段を上る時は血圧が上がりやすいので、使うなら下りの時だけにすること。特に、血圧が高い人が階段を急いで上がると、体に負担がかかるうえ、"急がなきゃ"というストレスも重なってハイリスクに。上りは無理せず、エスカレーターやエレベーターの活用を。ただし、ゆっくり上がる分には有酸素運動になる。
日中に強い眠気があったり、就寝中のいびきがひどい睡眠時無呼吸症候群の人は、血圧が上がりやすい。改善するポイントは、仰向けではなく、気道がふさがれにくい横向きで寝ること。
教えてくれたのはこの人
渡辺尚彦さん/ 東京女子医科大学 東医療センター元内科教授 。医学博士。愛知医科大学・早稲田大学客員教授、日本歯科大学病院臨床教授。専門は高血圧を中心とした循環器病。主な著書に『血圧を下げる最強の方法』(アスコム)、『血管いきいき! 減塩の基本』(宝島社)などがある。
※女性セブン2018年12月20日号
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