ケンタロウさんのリハビリを支える希望の車いす「COGY」に試乗してみた!
実際、『COGY』に試乗をさせもらった。身長150cmの記者が試乗したのは標準型のMサイズ。このタイプは身長145~180cmに対応している。タイヤのサイズは車いすにしては小ぶり。
タイヤには太めのチューブが採用されており、マウンテンバイクのタイヤを思わせる。メインの2本のタイヤ以外に、前後に2本、後ろにも小さな補助輪が2本ついている。乗降時に転倒する事故の多い車いすだが、前輪と補助輪があることで、どの角度から力が加わっても転倒が防げるようになっている。
車いすは使用する人を座らせる際に 介護者が苦労することが多いが、サイドについたアームレストを後ろに倒すことができるため、乗降はスムーズ。ストッパーは座面のすぐ下にあり、座ったまま操作できる。ストッパーの強さを調整できるので、指先の力が弱い人でもロックの開閉が可能だ。
座ってみると、一般的な車いすと目線の高さは変わりない。座面のクッションはほどほどに柔らかく、凹凸のある場所でもお尻が痛くなることはなさそうである。座ってペダルに足を乗せると、背もたれの角度、それにペダルの動く方向が絶妙に計算されていることがわかる。背もたれに体重を預けることで、ペダルに足が吸い付き、自然に動かしたくなる感覚が生まれるのだ。
オリジナルのペダルは、ベルトがついており、足に力の入らない人の足をホールドさせるようになっている。オプションでさらに強固にホールドできるタイプと 、通常の自転車のペダルのようなタイプも用意されている。今回は自転車ペダルタイプ を装着して試乗した。
ハンドルは自転車のグリップが縦についた形状。グリップを握り、円を描くように動かすだけで左右に曲がることができる。ブレーキは自転車同様に、握るタイプで操作は非常に簡単である。
狭いエレベーター内もラクラク方向転換
もっとも驚いたのは、こぎながらハンドルを一気に切ると、その場で車いすが360度回転する点。一般的な車いすは、方向転換に場所を取るものだが、『COGY』はエレベーターの中や、狭い病棟のベッドの間でも楽に回転できるように設計されている。エレベーターに鏡がついているのは、車いすの人がバックでエレベーターから降りるためだが、360度回転する『COGY』であれば、正面を向いて乗降が可能というわけだ。
また、介護者とのコミュニケーションも『COGY』では変わってくる。通常、介護者は車いすを後ろから押すものだが、『COGY』の場合、自力でこげる人が乗っているのであれば、介護者は横についてサポートすることができる。
記者もこぎながら、鈴木社長に横についてもらったが、連れ添って歩いているような感覚で、介助されているという印象は一切ない。介護というより、一緒に散歩しているような気分になれるのだ。