不安な”尿もれ”対策最前線「膣ハイフ、ロボット手術」ほか注目の治療法を医師が解説
加齢とともに増える尿の不安やトラブル。500万人以上の女性が「尿もれ」に悩んでいるといわれる。“年だから仕方がない”と諦めるのはまだ早い。上手に対策して快適に生活しましょう。対策や最新治療についてリサーチ!
「尿もれ」最前線をレポート!
尿もれの種類や症状によって、対策はさまざま。自宅でできるトレーニングで改善できることも多いが、ひとりで頑張らずに病院を受診するのも手。一般的な治療法から最新治療法まで、専門医に解説いただきました!
1.「TVT/TOT手術」テープで尿道を支える
腹圧性尿失禁でトレーニングの効果がないか不十分な人、もれる量が多い人、スポーツをしたい人などは手術という選択肢もある。
「TVT手術とTOT手術は、どちらも約1cm幅の医療用テープでぐらつく尿道を支えることで尿もれを防ぎます。TVTではテープが恥骨の裏を通って尿道を支えるのに対して、TOTではテープは足の付け根(閉鎖孔)に向かいます。両手術とも傷は小さく、効果も非常に高いのが特徴です」(泌尿器科専門医・巴ひかるさん)
2.「膀胱訓練」尿意を我慢して少しずつ間隔を開ける
膀胱に尿がまだ十分に溜まっていないのに突然の尿意でトイレが我慢できない!となる過活動膀胱のおもな治療は薬物療法ですが、膀胱訓練も効果的。
「尿意を感じても10分、15分と我慢して、少しずつ間隔をあけていきます」(巴さん)
3.「干渉低周波療法(ウロマスター(R))」低周波で骨盤底筋を刺激
「干渉低周波で骨盤底筋群を刺激する治療法で、腹圧性と切迫性の尿失禁に効果があり、副作用はほとんどありません。最初は3週に6回まで、その後は2週に1回を限度として続けます。近所で受けられるクリニックがあれば、試してみるのもいいでしょう」(巴さん)
4.「膀胱ボツリヌス壁内注入療法(ボトックス(R))」膀胱内に注射
「内視鏡カメラを使って膀胱にボトックスを注射し、膀胱内で異常に収縮・緊張した筋肉をゆるめ切迫した尿意や尿もれを防ぎます。
一度注射すると効果は6か月程度。重度の尿もれでも効果が期待できます」(泌尿器科専門医・藤﨑章子さん)
5.「ロボット支援下仙骨膣固定術」骨盤臓器脱に効果的
「過活動膀胱の原因にもなる『骨盤臓器脱』(出産や加齢により骨盤底筋群が傷み、骨盤内の膀胱や子宮、直腸などが膣から脱出する病気)に対し、腹腔鏡で脱出臓器を仙骨に吊り上げる手術で、2020年4月から保険適用となりました。
修復に優れ、術後の回復も早い。排尿困難だけでなく、切迫性尿失禁も改善することがあります」(巴さん)
6.「骨盤底筋訓練」毎日の頑張りでちょいもれ改善!
「腹圧性尿失禁の多くと切迫性尿失禁の一部は骨盤底筋のゆるみが原因なので、鍛えれば症状の改善が期待できます。骨盤底筋をうまく動かせているか不安なときは、トレーニング中に膣に指を入れて締まっているかを確認するのがべスト」(藤﨑さん)
「まずは3か月続けてみましょう。3か月続けることで約7割の人が改善したと感じるといわれています」(巴さん)
【1】あおむけに寝て足を少し開き、こぶしひとつ分くらいあけて膝を立てる。
【2】肛門を締めながら膣と尿道も10秒くらいぎゅーっと締め、その後、30秒くらいリラックス。これを10回繰り返す。
【3】次に、肛門、膣、尿道を閉める動作をもっと早いテンポで行い、締める→ゆるめる、を1セットとして、10回繰り返す。慣れてきたら回数を増やし、1日数回に分けて5セット以上行う。
【1】背筋を伸ばして浅めに座る。
【2】両足は床につけて肩幅に開く。
【3】肩の力を抜いて、お腹に力が入らないようにしながら、あおむけの姿勢の【2】~【3】を繰り返す。
立って家事をしているときや、ひじや膝をついての姿勢でも応用OK。
クリニックで思い切った治療も。膣を整えて尿もれを予防する4つの治療法をご紹介。
7.「膣ハイフ」リフトアップ&引き締め
HIFU(ハイフ)は高密度焦点式超音波といい、皮膚の内側に高密度の超音波を照射するリフトアップ施術のひとつ。
フェイスラインなどにも使用されるハイフの技術を膣に応用し、表面を傷つけずに皮下組織より深いSMAS筋層までタイトニング。膣を引き締め、尿もれや膣圧低下に効果的。
ウィクリニック大宮院
住所:埼玉県さいたま市大宮区宮町2-51 大宮パークビル3階
公式サイト:https://wi-clinic.com/clinic/omiya/
8. 「エムセラ」電磁エネルギーが骨盤底筋群を刺激
高密度焦点式電磁を用いて骨盤底筋群を強化。1回30分程度、服を着たまま座るだけで、痛みはなく体への負担が少ない。加齢、出産、閉経後の不快感、膣のゆるみなど総合的にアプローチ。
レカルカクリニック表参道
住所:東京都港区南青山5-6-24 Barbizon23 2階
公式サイト:https://www.lekarka-clinic.com/
9. 「テスラフォーマー」座るだけで筋トレ
骨盤底筋や膀胱の筋肉を鍛えて尿もれなどを改善するために開発された医療機器。体内に磁場を伝播させ、運動神経を刺激し筋肉を鍛える。
30分で5万回以上の筋肉運動が可能。脂肪燃焼効果もあり、産後の引き締めや尿もれ防止など幅広い効果が期待できる。
銀座高須クリニック
住所:東京都中央区銀座1-8-19 キラリトギンザ11階
公式サイト:https://www.takasu.co.jp/clinicmap/ginza.html
10.「膣レーザー」膣の老化を改善
膣の乾燥、痛みといった女性ホルモン低下による膣萎縮のトラブルを改善。膣内や外陰部、尿道口周囲などに炭酸ガスレーザーを照射し、膣に弾力やうるおいを取り戻す。
白金高輪海老根ウィメンズクリニック
住所:東京都港区高輪1-2-17 高輪梶ビル7階
公式サイト:https://ebine-womens-clinic.com/
教えてくれた人
泌尿器科専門医・排尿機能専門医 巴ひかるさん/東京女子医科大学附属足立医療センター骨盤底機能再建診療部教授・診療部長。泌尿器科教授。腹圧性尿失禁に対する手術の豊富な実績がある。
泌尿器科専門医・排尿機能専門医 藤﨑章子さん/四谷メディカルキューブ女性泌尿器科に勤務。泌尿器の悩みを持つ女性がより豊かな生活を送れるように支援している。
撮影/黒石あみ イラスト/藤井昌子 取材・文/戸田梨恵
※女性セブン2022年12月8日号
https://josei7.com/
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