兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第169回 秋の夜長のひとりごとです】
若年性認知症の兄との暮らしをライターのツガエマナミコさんが綴る連載エッセイ。兄との日常から離れ、今回は社会問題についてあれやこれやと思いを巡らせたというお話。兄の介護で日々奮闘するマナミコさんだからこその意見は、深まる秋のように深~いのです…。

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合理的ではないものは不要なのか…
「きょうだい児」という言葉を知りました。
障害や重い病気をもつの人の兄弟姉妹の総称だそうです。まさに自分のことだ!と思ったのですが、内情はだいぶ違っていました。
小さい頃から精神障害や身体障害がある兄弟姉妹がいることによって周囲から避けられたり、親の愛情がきょうだいに偏っていると感じたり、介護で自由を奪われたり、結婚の障害になったりする現実があるのだそうです。
「遺伝するんじゃないか?」とか「将来、面倒をみなくてはならないから」という理由で結婚を躊躇されたり、相手の家族から反対されたりして、自分から別れを切り出すというパターンもあるそうでございます。
聴けば聞くほど気の毒で、人生の後半からきょうだい児になったわたくしなど幸せなほうだと、我が悪態を反省いたしました。
「障