50代におすすめ「スニーカー」選び8つのポイントと最新トレンド
街行く人の足元を見ると、老若男女問わずスニーカー率が高いのに気づく。いまやスニーカーはスポーツシーンを飛び越え、おしゃれシューズの筆頭になっている。その理由は、歩きやすいだけじゃなく、おしゃれで軽くて足にもやさしいタイプが続々登場しているから。スニーカー、履いてみたいけど、どれがいいかわからない…という人に向けて、昨今のトレンドやおすすめを紹介する。
スニーカーは大人こそ履くべき機能性シューズ
“空前のスニーカーブーム”と聞くと、1990年代にナイキの『エアジョーダン』や『エアマックス』が爆発的な人気となった頃を思い起こす人もいるだろう。定価の1万5000円で買えたものが、20倍以上に跳ね上がり、ニュースにもなっていた。当時は男性中心のブームだったが、令和のいまは、女性の間で空前のスニーカーブームが起きているのだ。ブームの要因の1つに挙げられるのが、機能が格段に進化したことだ。
スニーカーセレクトショップ『atmos pink(アトモス ピンク)』のプレス担当・山崎(崎の正しいつくりは「立」の下に「可」、以下同)菜美子さんは次のように語る。
「各メーカーが競ってハイテク機能を備えたスニーカーを発表しています。着地の衝撃を吸収する機能やフィット感を高める機能、体重移動をサポートするなど、多面的に足にやさしいものが増えました。それに、デザインも細身のものが増え、“ゴツく”て派手なタイプが減っているので、年齢を問わず履けるようになったことで、選びやすくなりました」
ブームに火がついたきっかけは、スペイン発のラグジュアリーブランド『バレンシアガ』だと山崎さんは続ける。
「数年前から“ダッドスニーカー”といって、1990年代に流行したような厚底で横幅が広く、存在感のあるスニーカーが人気になっています。2017年の秋冬シーズンに『バレンシアガ』がスニーカーの新作を発表すると、これまでスニーカーとは無縁だった『ルイ・ヴィトン』などのブランドにも飛び火。海外セレブたちが愛用する様子がたびたびSNSで発信され、注目を集めました。
これまでは、スポーツシーンはもちろんのこと、ストリート系のカジュアルな洋服と合わせることが多かったスニーカーが、セレブたちのコーディネートを参考に、きれいめ系やコンサバ外しのアイテムとして重宝されるようになり、幅広い世代に広がっています」(山崎さん)
50代におすすめのスニーカー8つのポイント
・ローカットで足入れしやすい
・ソール(靴底)の厚みは5cm程度
・つま先が上がっているのでつまずきにくい
・やわらかなタン(舌)でやさしくサポート
・やや細身のシルエット
・足裏にフィットするインソール
・体重移動がしやすい構造
・滑りにくいラバー(天然ゴム・合成ゴム)底
■『atmos pink』フラッグシップ原宿店
女性のためのスニーカーセレクトショップで、ブランドとの別注・限定モデルも取り扱う。アパレルもトータル展開し、コーディネートを提案している。
コロナ禍でスニーカー人気が高まった
スニーカーをこれまで履いてこなかった人も、コロナ禍で履くようになり、その気楽さに気づいた人も多いという。
パーソナルスタイリストの杉山律子さんもその1人だ。
「最近は外出の機会が減っていたため、『いままで履いていたパンプスのサイズが合わなくなった』『ヒールで歩くのがつらくなった』と訴え、スニーカー派に転向する人が増えています。出社の機会が増えてきても、テレワークをそのまま継続している人もいて、働き方が多様化したことで、オフィスのカジュアル化が進み、リラックスした服装も増え、足元も自由になっているようです。
私自身も家の中でスリッパを履いてリラックスして過ごす時間が増えた結果、足に緊張感がなくなってしまったのか、ハイヒールで長時間過ごすのがつらくなりました。この先の加齢による足の筋肉の衰えを見据え、スニーカーをふだんのファッションに取り入れたいという欲求は高まっていると感じています」(杉山さん)
たしかに、デパートの靴売り場のコーナーにもスニーカーが増え、種類も豊富になっている。だが、どれを選べばいいのか? となると、よくわからない。
街歩き用のスニーカーは3つのポイントで選ぶ
運動する場合は別として、街歩きなどで履くスニーカーを選ぶ際のポイントは、3つあると山﨑さんは言う。
1つめは、前述のような、ソールまわりの機能性だ。
「足の衝撃を防ぐクッション性の高いソールは、快適な履き心地と歩きやすさを叶え、少し長く歩いても疲れにくい。ソールの厚みは5cmを目安にすれば、フラットシューズに近い安定感もあります。つま先が曲がりやすく、やや上がっているものを選ぶと、足を蹴り出しやすく、重心移動もスムーズになってつまずきにくくなります」(山﨑さん・以下同)
硬く曲がりにくいソールだと「べた足」や、「すり足」歩行になりやすく、つまずく原因になることもある。転倒防止には、地面をしっかりつかむグリップ力も重要だ。
「靴の裏を見て、立体的で滑りにくい素材になっているかどうかをチェックすること。試着をしたらさまざまな方向に体重をかけ、滑りやすくないかを確認するようにしてください」
2つめは、軽くて歩きやすく、動きやすいものだ。
「履いている時間が長いほど、靴の重さが足に負担をかけ続けるので、重く感じるものは避けた方がいいでしょう」
3つめは、50代のファッションにも合う、やや細身のシルエットだ。
「自分の足の幅が広めでも、つま先からサイドのラインがすっきりしたものなら、品がよく見えます。洋服にも合わせやすいですよ」
これらの条件のもと、山﨑さんが50代の街歩きにすすめるのスニーカーのポイントを教えてもらった。
「手で持ってみるとわかりますが、見た目よりもかなり軽く作られています。『UGG』のスニーカーは、ふんわりと足を包み込むような履き心地でクッション性が高く、抜群に歩きやすい。私も持っていましたが、先日70代の母が家に遊びに来て、『これ歩きやすいわね。ちょうだい!』と履いて帰って行きました(笑い)。
そのほかもシンプルなデザインで、色は白やベージュ系のシンプルなタイプと、白×えんじ色のシックなデザイン。どれを選んでも、大人スタイルのファッションに合わせやすいと思います」
◆50代の街歩きにおすすめ5足
【1】白×えんじ色の厚底“エアジョーダン1”。「ジョーダン ブランド ウィメンズ エア ジョーダン 1 エレベート LOW」1万6500円
【2】ナイキの名作として名高い“エアフォース1”の2022年バージョン。「ウィメンズ AF1 PLT.AF.ORM」1万3200円
【3】『PUMA』は機能面でもデザインでも人気。「PUMA メイズ レザー ウィメンズ」1万2100円
【4】【5】軽くて機能性が高く、幅広い世代に人気の「UGG M CA805」2万900円、2万2000円(以上すべてatmos pink)
2022年秋のトレンドは…
今秋は、イエロー、ピンク、ブルーなどカラフルな色展開のスニーカーも多数ある。どれもかわいくて存在感があるが、足先にかけて少し細くなる、きれいめデザインが主流。いままでは“コロン”とした印象が強かった『クロックス』や『UGG』も、以前よりすっきりしたシルエットになっている。
「上品さも兼ね備えているので、スニーカーを主役にしても悪目立ちしません。K-POPアイドル風など、韓国ファッションにも合うんですよ」
足長効果の高い厚底&足先にかけて細く見えるシルエットが中心。イエロー、ブルー、ピンクなどのカラフルな色展開も。
お気に入りのスニーカーを見つけて、颯爽と街を歩いてみよう!
取材・文/山下和恵 撮影/浅野剛
※女性セブン2022年9月22日号
https://josei7.com/
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