代々のお墓がないR60の記者がとことん取材「そもそも必要?選びのポイント・費用は?」
自分にふさわしいお墓を選ぶためには、まず自分なりの要望を整理して把握しておく必要があるという。
「予算、地域、施設、墓石のデザインなど何を優先したいのかも含めて、希望をまとめておくことが先決です。そして複数の石材店に要望を伝えて、現地を見学しながら検討を重ねていくことで、自分にふさわしいお墓に近づくと思います」
お墓を立てる場合、「埋葬する場所(墓地)」と「墓石を建ててもらう石材店」が必要。基本的に、このどちらからかで探すことになる。
1.「墓地」から探す方法
チラシやネットなどを見て気になった墓地を訪ねる。
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墓地の指定石材店の案内で墓地の中を見学。
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気に入ればその石材店に注文をし、契約する。
「この場合、墓地は区画があいているところであれば自由に選ぶことができますが、公営以外の場合は、あらかじめその墓地が契約している『指定石材店』という制度があり、その中から石材店を選びます」
2.「石材店」から探す方法
石材店を訪ね、その石材店の取引のある中から要望に近い墓地を紹介してもらう。
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下見をして検討した後、契約する。
「まずはいろいろな石材店に問い合わせをしてみて、気に入った石材店から墓地を紹介してもらいます。
新聞折り込みに霊園のチラシが入ってきたのをきっかけに墓地を買うケースがありますが、これはその霊園が出したチラシではなく、石材店が自社の取引区画のある墓地を販売するために出しているものなので、石材店から買っているということになります。この場合も、石材店は信頼できるところを選ぶようにしましょう」
信頼できる石材店を選ぶチェックポイント4つ
□施工例を見せてもらえるか?
良心的な業者なら、喜んで見せてもらえるので、新しいものだけではなく、数年経過したものも見て、建てた後のことも確認。
□質問にきちんと答えられるか?
プロとしての知識や技能のレベルが低い業者には注意。
□所属団体や資格の有無
日本石材産業協会か、全優石の加盟石材店ならほぼ安心だが、念のため他の3項目もしっかりチェック。また、担当者がお墓ディレクター資格や職人が石工技能士資格を持っているかも確認。
□保障の有無
保障期間や保障内容があいまいな場合があるので、地震が起きたらどうなるのかなどしっかり確認。
「お墓のことをよく知らない場合、石材店の店頭でサンプルを見ながらその場で決めてしまうこともよくあるのですが、契約方法としてはおすすめできません。
なぜなら、その石材店の技術力は写真からではわかりづらく、石の継ぎ目や基礎工事など、実際に見なければわからないことも多いからです。
また、墓地の日当たりや水はけも重要なチェックポイントなので、必ず現地まで足を運び、チェックさせてもらいましょう」
お墓の現地見学で大切なこと
「現地見学で大切なのは、新しい墓地ばかり見ないで、古い施工例も見せてもらうこと。新築のときは立派でも、5年も経てば石の隙間が開いたり、基礎が傾いたりと、技術の良し悪しが一目瞭然となるそうです。技術に自信があり良心的な石材店なら、快く案内してくれます。
また、お墓の種類も、上記のような代々のお墓として墓石を建てるタイプ(一般墓)の他、一代限りの永代供養タイプ(納骨堂)、合同で埋葬されるタイプ(合同墓・合祀墓)、散骨や樹木葬など、さまざまな選択肢がありますので、どのようなお墓を望むのか、家族ともよく話し合って決めることが大切です」
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墓選びの奥深さを知った記者。さっそく気になるお墓情報をネットでリサーチしたり、近くの墓地販売のチラシを集めたりすることから始めた。いつか来る日のために「墓選び」も終活の1つに加え、慎重に吟味してふさわしいお墓を探したい。
教えてくれた人
葬儀相談員・市川愛さん
市川愛事務所代表。 2004年に日本初の葬儀相談員として起業。母の葬儀を出した経験から2009年に終活を考案し、『週刊朝日』の連載特集にて提唱を始める。以後、講演活動、葬儀記事や書籍の執筆、番組出演などを通して、正しい葬儀情報と終活を広めるための活動に従事する。http://www.re-lief.com/ 著書『終活のすすめ』(太陽出版)、『現代葬がわかる本』(PHP研究所直販)など10冊を手がける。
取材・文/本上夕貴
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