連載

兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第161回 リハビリパンツに初トライ!】

 若年性認知症を患う兄の排泄の世話で日々落ち着かぬツガエマナミコさんですが、自らの寄る年波も気がかり。先日、看護師をしている高校時代の同級生から、今から紙パンツを穿く練習をしているという話を聞かされ、「なるほど~」と感心。兄よりまず自分で早速試してみたというのです。さて、その穿き心地はいかに?

 * * *

ベラオシ、キッチンオシの次は新種の○○オシ

 先日、喫茶店で、感染対策としてテーブルに置かれていた透明アクリル板を鞄に引っ掛けて落下させ、大音量とともに破壊してしまいました。咄嗟にフリーズしたわが身に一気に刺さった周囲の目線が痛いのなんの。それにしても、ああいう時に人はどうして笑ってしまうのでしょうか。「すみません」といいながら笑顔が止まらなかったツガエでございます。

 コロナ第7波は、これまでの感染対策では防ぎきれなくなってきたのか、医療現場でもマンパワーが極端に減っており、まともに医療を受けられないのが現実でございます。大多数が軽症で済むとはいえ、公共交通機関まで人手不足で運行を減らさざるを得ない事態になっております。

 そんな中でも兄のデイケアはクラスターを出すことなく、日々順調に営業してくださっています。介護する家族にとってこんなにありがたいことはございません。スタッフの方々のご苦労には頭が下がります。

 最近の兄といえば、特別な失敗もなく、問題も起こさず、“デイ”のノートには判を押したように「お変わりなく過ごされています」と記されており、家では機嫌よくテレビ鑑賞に浸ってくれております。

 あんなに止まらなかったベラオシ(ベランダでオシッコ)もマンションの大規模修繕工事を挟んで忘れてしまったようで、窓の補助錠をしなくなってもベランダに出ることがなくなりました。何かの拍子で思い出したらまた止まらなくなりそうでございますが……。

 読者の方々にも大変ご心配いただいたキッチンオシ(キッチンでオシッコ)も障害物を置くことでなんとか回避できており、わたくしのイライラはだいぶ軽減しております。

 ただひとつ、新種のオフオシ(お布団でオシッコ)が少し見られるようになりました。

 朝にはいつも兄部屋のゴミ箱、いやゴミバケツにお尿さまか、お尿&お便さまが納まっていらっしゃるのですが、このところお布団に丸い地図が描かれていたり、タオルケットに指先のチョコレートをぬぐったようなちょいお便がついていたりするようになってまいりました。

 昨日は、お買い物に行った際、よく見ると股間が少々濡れておりました。幸い黒い短パンだったのであまり目立つことなく、手洗いで水が跳ねてしまったと見えないこともない程度で助かりましたが、排尿の感覚が鈍ってきたのかもしれず、「いよいよ紙パンツの出番か?」と思案した次第でございます。

 とはいえ、こんな暑い最中に紙パンツはどうであろうか? と思いまして……

 ツガエ思い切って装着してみました!

 結論から申し上げましょう。

 やはり暑いです。

 若かりし頃に使用していた生理用パンツの暑さと蒸れの不快さがよみがえってまいりました。たぶん赤ちゃん用の紙おむつも同じだと思いますが、通気性を謳ってはいるものの、分厚い吸水部分が多めで防水構造なわけでございますから、蒸れないわけがございません。

 今回、丸1日装着してみましたところ、思ったほどモコモコ感はなく、ジーパンを穿いても動きはなめらか。ただ布と比較すると伸縮性が乏しく、蒸れ感が気になるといったところでしょうか。初回なので御用を足すところまではチャレンジしませんでしたが、脱ぎ去ったときの解放感たるや、やはり爽快で「ありがとう布パンツ!」という感情があふれてまいりました。

 結論として「夏はリハビリパンツデビューには適さない」と申し上げたい。涼しさ、寒さの中で十分体になじんだ上で徐々に夏を迎える方が抵抗がない気がいたしました。

 ネットで男性用のちょい漏れパッドがあることを知りましたが、トランクス派の兄には不向き。ちょい漏れパッドが一体化しているトランクスパンツもあるようですが、イチイチ洗濯しなければならないのも面倒でございます。まだ兄のちょい漏れは毎日ではないですし、どうせ家にいるのですからよそ様に不快感を与えることもございません。ブリーフかボクサーパンツに変更していただくことも視野にいれつつ、お粗相の度合いと秋の訪れ加減でおいおい判断したいと思います。

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文/ツガエマナミコ

職業ライター。女性59才。両親と独身の兄妹が、8年前にそれぞれの住処を処分して再集合。再び家族でマンション生活を始めたが父が死去、母の認知症が進み、兄妹で介護をしながら暮らしていたが、母も死去。そのころ、兄の若年性認知症がわかる(当時57才、現63才)。通院しながら仕事を続けてきた兄だったが、ついに退職し隠居暮らしを開始。病院への付き添いは筆者。

イラスト/なとみみわ

●アクティブシニアのお助けアイテム「紙パンツ」でトイレの心配や不安をあんしんに

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この記事へのみんなのコメント

  • みかん

    ツガエさん、こんにちは。 お兄様、ベラオシやキッチンオシはなくなったのは良かったですが、 今度はフトオシ、これも困りますね(;´`) 布団ってそう簡単に洗えるものでもないし、ニオイがこもりそうですよね。 リハパンをご自分で履いて試してみられたとのこと、ご苦労様です。 また義父の話になりますが、 ある日、 "これを履いてもらえますか〜?"とリハパンを手渡ししたら、 なんと素直に履いてくれまして、すんなり移行できました。 普通のパンツと違う、ということもわからなくなっている様子でした(^o^;) お兄様の方が認知症が進んでおられるようですし、もしかしたら、お兄様にも リハパンを"これ、パンツだよ。これを履いてね。"と何気なく渡されると、意外と抵抗なく履いてもらえるかもしれませんよ? 義父は高齢だったので、また違うかもしれませんが、優しく穏やかにぼけていくタイプというのは似ているので そういう素直な方だったら、案外すんなりと受け入れてくれるかもしれませんよ 「 えーっ!こんなの履くの?」と、もし言われたら、 「けっこうみんな履いてるよ。私も履いてるし。」みたいに軽いノリで返してみたらどうでしょう^^; 無理やり押しつけるのではなく、自然な雰囲気で手渡す( 提案する)のをおすすめいたします。 (もちろん個人差があるので、うまくいくかどうかはわかりませんが・・) だんだん涼しくなってきますしね。もう少し経てば、大丈夫かもしれませんよ。 参考になれば幸いです。

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