健康と美容の大敵「骨の老化」は運動で予防を 骨が若返る2大トレと骨トレメソッド
アンチエイジングのために筋トレやスキンケア、ダイエットなどに取り組んでいる人は多いかもしれないが、いま取り組むべきは「骨の若返り」だと専門医は指摘する。骨折や骨粗しょう症予防はもちろん、顔のたるみやしわなど健康と美容の大敵である骨の老化を防ぐために心がけるべき「生活習慣」を専門家に取材した。この夏に、骨から生まれ変わろう。
骨の若さを保つために必要なのは屋外での運動
骨の老化を防ぐためには、食生活の改善と並行して取り組みたいのは屋外での運動習慣をつけること。川崎医科大学総合医療センター特任部長の太田博明さんが言う。
「コロナ禍で外出の機会が減っている人も多いですが、屋外で太陽の光を浴びることは骨の老化を防ぐうえで最重要事項の1つです。食事から栄養素として摂れるビタミンDは2割にすぎず、残りの8割は紫外線が皮膚に当たることで作られます。1日に10~15分はお昼頃の日差しの中、散歩して日光に当たるようにしてください」(太田さん)
屋外で体を動かすメリットはほかにもある。福岡歯科大学口腔医学研究センター・センター長の平田雅人さんは運動して骨に刺激を与える重要性をこう語る。
「骨は新しい細胞を作る『骨芽細胞』と、古いものを壊す『破骨細胞』の働きが交互に繰り返されること(ターンオーバー)によって維持されています。ところが加齢に伴い、前者の働きが衰退するため、骨の老化が進みます。特に女性は閉経を迎えると、急激に破骨細胞の活動が優位になるため、注意が必要です。現在、骨芽細胞の活性化を促すための方法として最も注目されているのが『骨に物理的な刺激を与える』ことです。生活のなかに習慣として取り入れてほしい」
骨に刺激を与えるには、爪先立ちになってからかかとをストンと落とす「かかと落とし」や、10cm程度の小さなジャンプを繰り返す「ミニジャンプ」が効果的だという。
骨が若返る2大トレーニング
★かかと落とし
かかと落としで骨に負荷を掛けることで骨芽細胞が活発に。爪先立ちになってかかとをストンと落とすだけで手軽にトレーニングできる。
★ミニジャンプ
10㎝ほどの高さの台から軽くジャンプし、かかとを意識して足の裏全体で着地する。その際、膝を曲げることを意識する。
10㎝ほどの高さの台から軽くジャンプし、かかとを意識して足の裏全体で着地する。その際、膝を曲げることを意識する。
「これらの運動によって、衝撃がかかとから全身の骨に伝わり、その負荷に耐えようとすることで骨芽細胞が活発に働き始めます。そうして骨のターンオーバーが活発になると、『骨ホルモン』と呼ばれるオステオカルシンの分泌も促される。最新の研究でオステオカルシンは“アンチエイジングホルモン”として脚光を浴びており、筋肉や骨の強化に加えて糖尿病や認知症の予防、体の老化を招く活性酸素の除去など、さまざまな効果が期待されています」(平田さん)
平田さんは運動の効果をさらに高めるためにこんなアドバイスを送る。
「今年5月に発表された最新の研究成果で、ざくろやくるみが含有する成分から腸内細菌によって『ウロリチンA』という物質が作られ、これが骨粗しょう症の予防に有効であることが明らかになりました。運動後のおやつなどに積極的に摂取してほしい」
細胞レベルのアンチエイジングとともに、表面に浮き出た「老い」を撃退する応急処置にも取り組みたい。山本整形外科理事で「顔の骨トレ」考案者の山本江示子(えみこ)さんが、骨の老化による“老け顔”予防のためにすすめるのは「箸カチ」トレーニングだ。
「割り箸を上下の歯の中央でカチッと噛み、唇の端は箸につけないようにして、口角を上げます。顔の骨と筋肉に刺激を与えることで、骨の上にのっている皮下組織のたるみを防ぐ。いまはマスクをつけて口角を使わない生活になりがちですが、口角を動かすことで大脳辺縁系という脳の一部の動きがよくなり、自律神経やホルモンバランスの調整、免疫力アップにもつながります」(山本さん)
顔の老化を撃退! 骨トレメソッド
★たてライン
【1】両手を後頭部に当てて組み、息を吸いながら肘を開き、吐きながら閉じる動作を3回繰り返す。後頭部の下から始め、3cmずつ上に移動し、頭頂部まで移動させながら3 セット行う。
【2】両手を額の髪の生え際に当て、【1】と同じく肘の開閉を繰り返す。3回行った後、両手をおでこにずらして再度行う。
★よこライン
【1】鼻を包み込むようにして両手を組み、小鼻の横に親指の側面を密着させて頰骨を持ち上げながら肘を開閉する。さらに親指の位置を1cm外側にずらして同じ動作を繰り返す。
【2】両手をゆるく組んで頰骨の中央に親指の側面を当てて持ち上げ、肘を開閉する。親指の位置を1cm外側にして同様の動作を行う。
【3】手のひらの親指の付け根部分を使い、頰骨の下に当てて持ち上げるようにして肘を開閉させる。手の位置を1cmずつ外にずらして3か所で繰り返す。
組んだ両手を後頭部に当て、息を吸いながら肘を開き、吐きながら肘を閉じる動作を繰り返したり、組んだ両手を額の生え際に当てて同様に肘の開閉をする“たてライン”の骨トレや、頭蓋骨の目頭、鼻、頰、耳の骨のつなぎ目を刺激する“よこライン”の骨トレも効果的だと山本さんは話す。
「1日1回、決まった時間に取り入れるだけで大きな変化があります。体の外と中、両方から骨に刺激を与えましょう」
骨から若返ることができれば、もう怖いものはない!
イラスト/飛鳥幸子
※女性セブン2022年8月18・25日号
https://josei7.com/
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