YouTubeでも人気の整体師が教える「肩甲骨ストレッチ」で“やせスイッチ”オン|イラストでわかりやすく解説
運動はキツくて続かないし、食事制限はもっとキツい。せめて若い頃のように代謝がよければ、少し頑張るだけで簡単にやせられるのに…。そんなダイエット迷子を救う“やせスイッチ”が背中にあると語るのは、柔道整復師で整体師の内山友吾さんだ。「美容整体のうちやま先生。」として、YouTubeでも人気を集めている。
「背中、特に肩甲骨には、18個もの筋肉がつながっています。肩甲骨回りを動かすことで一気に多くの筋肉を動かすことができ、血流と基礎代謝が上がり、ダイエットになります」(内山さん・以下同)
現代人の多くが、運動不足のほか、スマホや長時間のパソコン作業で「巻き肩」の状態になっており、それによって血流や代謝を下げていると、内山さんは指摘する。
「巻き肩とは、猫背のように肩が前に丸まっている状態のこと。すると『筋膜』という、筋肉を覆っている薄い膜がベッタリと筋肉に張りつき、血流を阻むほか、筋肉の動きを妨げて、たとえ運動したとしても、充分な効果を得られなくなります。また、上半身が縮こまったような状態になるため、肺が広がりにくくなり、呼吸も浅くなる。すると自律神経のバランスが乱れ、睡眠の質も低下します」
巻き肩の人があお向けに寝ると、両肩が布団から浮いた状態になり、眠っても体がリラックスできないままになる。
睡眠中は、脂肪の燃焼を促す成長ホルモンが分泌される。そのため、充分な睡眠を取ることができなければ、せっかくの脂肪を燃焼するチャンスがムダになるというわけだ。
「脂肪を燃やす細胞」がめざめる
血流の低下、代謝の低下、睡眠の質の低下――背中と肩甲骨を動かすことで、こわばった背中の筋膜をほぐし、ダイエットの妨げになる3つの大問題を、一挙に解決することができる。
運動習慣がない人は、肩甲骨回りの筋膜が癒着し、充分に動かせていないことがほとんど。だからこそ、背中と肩甲骨を動かすだけでこうした問題が解消し、一気にやせやすい体に近づくことができるのだ。
さらに「脂肪を燃やす細胞」を活性化することにもつながる。
「左右の肩甲骨の間には、脂肪を燃焼する『褐色脂肪細胞』があります。脂肪細胞とはその名の通り、脂肪をエネルギーとして貯蔵しておく細胞。白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2 種類があるとされ、褐色脂肪細胞には増えすぎた脂肪を分解し、燃焼する働きがあります。ところが、褐色脂肪細胞は子供の頃は全身にありますが、成長につれて数が減り、あまり働かなくなるという性質を持っています。そこで、背中を動かして褐色脂肪細胞に刺激を与え、活性化させることで、脂肪の燃焼を促進することができるのです」
つまり“やせスイッチ”をオンにするというわけだ。
1回1分でできる簡単すぎるストレッチ
内山さんがすすめるのは、フェイスタオルを使った「Wストレッチ」だ。
フェイスタオルの両端を握って左右に軽く引っ張りながら頭上に両手を上げた状態から、W字を描くようにゆっくりと両腕を下ろすのを、1分間繰り返すだけ。
「ただ腕を下ろすのではなく、肘を腰に近づけるように意識しつつ、45度くらいまで曲げます。回数は特に限定していませんが、1分間で30~40回くらいを目安に行うといいでしょう」
■Wストレッチ
【1】フェイスタオルの両端を握り、左右に軽く引っ張りながら両手を上に伸ばす。
タオルを軽く引っ張ったまま、肘を体に近づけるように両腕を下ろす。ここまでの動きを30秒~1分間繰り返す。
★タオルがないときは…
両手をまっすぐ上に伸ばし(手の甲はくっつけても離していてもよい)、手のひらを外に向けて両腕を下ろす。これらの動きを30秒~1分間繰り返す。
■後ろ手ストレッチ
【2】軽く猫背の状態で、後ろで両手を組む。胸を張りながら組んだ手を体から遠ざけるように後ろに伸ばす。これらの動きを30秒~1分間繰り返す。
こわばった肩甲骨がゴリゴリほぐれる
繰り返しているうちに、背中から二の腕にかけて、ポカポカと温かくなってくる。中にはこわばった肩甲骨がゴリゴリと音を立てる人もいるが、痛みがなければ問題はない。フェイスタオルを使う方が力を入れやすく、効果を得やすいが、なければ両手をまっすぐ上に伸ばしてから、手のひらを外側に向けながらW字に下ろす方法でもかまわない。Wストレッチで肩甲骨回りをほぐしたら、次は背中の褐色脂肪細胞にダイレクトに効く「後ろ手ストレッチ」を。
「Wストレッチよりもダイレクトに褐色脂肪細胞に働きかけることができるうえ、血流がよくなって筋肉がほぐれることで寝つきがよくなります。このストレッチを行ってから布団に入れば、より確実に脂肪を燃焼することができます。このストレッチも1分間、だいたい10回くらい繰り返して行ってください。“肩甲骨を寄せる” “胸を張る” “腕を伸ばすときはできるだけ腕を高く上げる”のを意識して。ポイントは、軽く背中を丸めた状態からスタートすること。肩甲骨が大きく動き、効果を得やすくなります」
左右の肩甲骨の間からじんわりと体が温まり、全身がリラックスするのがわかるはずだ。こりがひどいと、肩や肩甲骨がパキポキと鳴ることも。
就寝前と起床後30秒!ぐっすり眠って脂肪を燃やす
「いつでも、どこでも行えますが、特におすすめなのは、朝起きてから30秒間のWストレッチ。一日の始まりに行うことで深い呼吸ができるようになり、その日の代謝を上げることにもつながります。余裕があれば、その後で1分間の後ろ手ストレッチを。時間がなければ30秒間でもかまいません。就寝前にもぜひ行ってほしい」
最低2週間ほど続ければ、効果を実感できるはずだ。
このストレッチに加えて、日常生活のちょっとした姿勢や習慣に気をつけることで、さらに効果を高めることができる。
「巻き肩の大きな原因の1つがスマホ。画面を見るときに下を向いたり、首が前に突き出るような姿勢は避けてください。スマホを持っている方のわきの下に反対側の手のひらを挟むと、下を向くのを防ぐことができます。デスクワークが多い人も、できるだけ長時間同じ姿勢は取らないように。こまめにコピーを取ったりお茶を入れたりと、少しでも姿勢を変える工夫をしてほしい。そして、睡眠の質を高めるためにも、夏でもできるだけ毎日湯船につかるようにしてください」
簡単で気持ちいいのに、ぐっすり眠れてあっという間に脂肪が燃える。魔法のような“やせスイッチ”を、いますぐオンにしてみよう。
イラスト/勝山英幸
教えてくれた人
内山友吾さん/柔道整復師・整体師。「美容整体のうちやま先生。」として、YouTubeでも人気。
※女性セブン2022年8月4日号
https://josei7.com/
●ダイエットに密接な”やせ細胞”は換気が大切! 朝日を浴びて脂肪をためない体へ