20年の調査で判明!若く見える人と老けて見える人の差「生活習慣」に違い【医師解説】
年を取るほどに、実年齢よりも老けて見える人と、若く見える人の差が出てくるのはなぜなのか? 実は最新の研究で、その違いは“習慣”にあることがわかってきています。詳しい話を専門家に教えてもらったので見ていこう。
20年の研究で判明!老化スピード「速い人・遅い人」の違い
アメリカのデューク大学が20年間かけた研究で、同じ年に生まれたのにもかかわらず、明らかに年を取るスピードが速い人と遅い人がいることがわかっている。
腸と老化に関する研究の第一人者で、京都府立医科大学教授の内藤裕二さんは次のように解説する。
「これはニュージーランドの南島にあるダニーデン市に住む1972~1973年生まれの男女1000人を対象に、26~45才までの20年間、彼らがどのように老化するかを追跡した研究です。これにより、個々の老化スピードに大きな違いがあることがわかりました」
■38才の時点で大きな差が!
具体的には、心血管、代謝、免疫、歯、肺、腎臓など19種類の機能の生物学的変化を調べたところ、38才の時点で大きな差が見られたという。
「同じ38才でも体年齢28才の人もいれば、60才を超えた人もいました。さらに暦年齢で1才年を取るごとに、最も老化の遅いグループは生物学的に0.4才しか年を取っていないのに対し、最も老化の速いグループは1年で2.44才も年を取っていた。
同じ年齢でありながら、大きな差(下記イラスト参照)が出たのです。つまり、同じ45才でも、まったく違う年の取り方をしているわけです」(内藤さん・以下同)
■同じ年齢でも生物学的年齢差は1年で2才以上
生物学的に最も遅く年を取るグループと最も速いグループとでは38才の時点で体年齢は前者は28才、後者は61才と最大33才の差が。同様に年を取り続けると45才の時点で前者は34才、後者は74才という計算(端数は切り捨て)になる。
老化スピードの違いは「生活習慣」
「老化スピードが最も速い人たちは、歩行速度が遅く、握力が弱い。それに加えて視力や聴力の低下など、高齢者にあるような老化現象が見られました。また、45才というまだ若い年齢でありながら、老化に対してネガティブで、“自分は75才まで生きられないと思う”と答えた人が多かったのも、この研究から見えてきたことです」
そして顔、髪、姿勢といった見た目も明らかに実年齢よりも老けて見え、MRI撮影などでは脳の萎縮が見られたという。この差はどこで、つくのだろうか?
「最新研究では、老化スピードが速い、遅いの違いは、遺伝的なものではなく、環境的要因、つまり生活習慣が大きな影響を及ぼしていることがわかっています。私は長らく長寿の研究をしていますが、100才を超える人たちは明らかに腸内環境に違いが見られます。それは食生活や運動によるものだと思います」
だが、現時点で「自分は実年齢よりも上に見られるから、老化スピードが速いのか」と嘆く必要はない。
「生活習慣を見直せば老化スピードはいくつになっても遅くすることができます。見た目年齢が上に見られる人は、いますぐ生活習慣を見直すことです」
教えてくれた人
内藤裕二さん/京都府立医科大学大学院医学研究科生体免疫栄養学講座教授。著書に『人生を変える賢い腸のつくり方』(ダイヤモンド社)がある。
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/鈴木みゆき 写真/本誌写真部
※女性セブン2022年7月28日号
https://josei7.com/
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