ネガティブ思考をやめて前向きに生きるメソッド・心を強くする7つの習慣
テレビをつければ、不安が増すニュースばかりが流れ、気分転換にスマホでSNSを見れば、目を覆いたくなるような悪口の嵐…。兎角に人の世は住みにくい…なんて落ち込んでいても仕方がない!
暗いニュースニモマケズ、周囲からの悪意ニモマケズ、コロナ二モ、ストレスニモマケヌ丈夫な心を持つために、いまこそやるべきなのは発想の転換。一緒に前向きな心を育んでいきませんか?
ネガティブ思考に陥りがちな人が増えている
コロナ禍でパートを解雇されたという読者のA子さん(52才)は、最近落ち込んでばかりいるという。
「つい先日も残念な出来事が…。新しいパート先の面接に行ったんですけど、行き先と反対方向の電車に乗ってしまって面接に遅刻。面接官は笑って許してくれましたけど、こんな失態をおかしては、どうせ今回もまた不採用だと思います」
そう言ってあきらめたようにうつむく。A子さんのように、些細なことがきっかけでネガティブ思考に陥りがちな人が、このコロナ禍で増えているようだ。しかし、
「落ち込むことは、悪いことではありません」
と、精神科医の大野裕(ゆたか)さんは言う。
「もともとのメンタルが強いか弱いかにかかわらず、体調が悪いとき、ストレスフルなとき、状況がなかなか好転しないときなどは、誰しも悲観的な考えにとらわれ、不安を感じたり落ち込んだりするものなんです」(大野さん)
たとえば深夜、部屋にひとりでいるときに突然外から物音がしたら、泥棒じゃないかと気になり、不安になるもの。これは本能的な防御反応であり、むしろ欠けている方が問題だという。
「大切なのは、不安を感じた後、どう考えて行動するかなんです」(大野さん)
先ほどのたとえで言うなら、物音がしたあたりを確認してみる。それで、風だったのかと安心したり、泥棒だったら警察や大家に電話する。そういう対処をすることで、現実的な判断ができるようになり、不安は解消される。
「いま何が起きているのか、どういう状態なのか、どう対処したらよいのか、正しく知るために情報を集めることが不安を解消するための第一歩になります。人が物事をネガティブに捉えるのは、往々にして、情報が少ないから。情報を集めると、おのずと“いまできること”が見えてくるでしょう」(大野さん)
過去の「WHY?」よりいまの「HOW?」
また、心が落ち込んでいるときほど、「どうせ」や「やっぱり」「何をやってもダメ」などといった、決めつけるようなせりふを頻繁に使いがちだが、これはやめた方がいい。その言葉に、考え方が影響されてしまうからだ。
「なんであんなことをしてしまったのだろう」「将来、こうなったらどうしよう」といった、過去や未来に目を向けるのも不安な心を助長するので、口にするのはやめた方がいいと、大野さんは続ける。
「私たちは、原因がわかれば問題は解決するんじゃないかと思いがちですが、わかっていてもどうしようもないことも多いんです」(大野さん)
たとえば、夫が不倫をし、その原因がわかったところで、問題は解決しない。わかったところで、「不倫をした」という過去も変えられない。
「原因探しに頭を悩ませるよりも、“いま、何ができるのか”という手立て探しに力を入れた方が、不安解消には有効です」(大野さん)
つまり、原因がわかってもどうしようもない過去の出来事や、不確定な未来の不安に遭遇したら、「WHY?(なぜ)」ではなく「HOW?(どうする)」と、自問した方がいい。
「そう考えられるように意識する。それが難しければ、考えるのをやめて体を動かすなどして気分転換をしたり、自分の目標となる人物を頭に浮かべ、もしこれが〇〇さんだったらどうするか? などと、他人の立場に立って考えてみるのもいいでしょう。そうすると、自分を客観視できるようになるので、次第に冷静な判断ができるようになります」(大野さん)
意識してポジティブな言葉を唱える
そうはいっても、長年かけてしみついた思考のクセは、簡単には変えられないかもしれない。そんなときは、意識して、ポジティブな言葉を唱えるといいと、メンタルコーチの飯山晄朗(じろう)さんは話す。
「私たちの脳は、目や耳から入ってくる情報より、口などから出ていく言葉を信用するようにできています。つまり、どんなに悲惨な状況でも、“おかげで”“なんとかなる”などの前向きな言葉を口に出すことで、考え方がポジティブになり、解決策を見いだしやすくなります」(飯山さん)
たとえば、冒頭のA子さんのような失敗をした場合、
「遅刻したおかげで30分早めに家を出る習慣がつき、社会で信用される人間になった」
などと、うまくいっている自分をイメージして口に出すか、紙などに書き出すといい。
「今日できたこと、よかったことを毎日5~10個ほど書き出したり、夜寝る前に、今日の楽しかったことを思い出し、口に出す習慣をつけるのも効果的です」(飯山さん)
このように、毎日のちょっとした工夫で気持ちを変えられることもある。『心を強くするための7つの習慣』を試してみることもおすすめ。
心を強くするための7つの習慣
1.今日できたこと、あるいはよかったことを10個書き出す
2.夜寝る前は、楽しかったこと、うれしかったことを思い出す
3.ネガティブ思考になったら情報を集める
4.問題から逃げず、段階的に向き合う
5.趣味や好きなことを見つけ、普段の生活に潤いを持たせる
6.ひとりで解決しようとしない
7.「別の立場だったらどう思うか?」を考えてみる
つらい気持ちはひとりで抱えない
それでもなお、心のもやが晴れないときは、時間が解決してくれるのを待つのもいい。
「焦ってなんとかしようとする必要はありません。『時薬(ときくずり)』という言葉があるように、“ああもうダメだ”とどん底の気分に陥っても、時間が経てば、だんだんと気持ちが落ち着いてきます。
人間には本来、元に戻ろうとする力が備わっているからです。ただし、2週間や3週間にわたってつらい気持ちが続き、それによってミスをしたり、人間関係が悪化するなど、日常生活に支障が出る場合は、ひとりで抱え込まず、信頼できる人、あるいはわれわれのような精神科医のいる医療機関に相談してください」(大野さん)
同じ出来事も他人が違う視点で見れば、捉え方は変わる。自分では気づかなかった点にも気づいてもらえ、思いもつかなかった解決策を簡単に示してくれるかもしれない。
「“こんなことで相談するのは気が引ける”と思うかもしれませんが、人は自分が役に立っていると思うとうれしく感じるもの。遠慮せずに相談してみましょう」(大野さん)
たとえミスをしても、後がないなどとは思わないこと。うまくいかないことだってあるのだということを受け入れ、「失敗は成功のもと」と、口に出してみよう。それが本心ではなくても、言い続けることで、心は前向きになっていくはずだ。
AIがあなたのお悩みを解決に導く!? 記者が体験
悩みを気軽に相談できる人がいない、誰にも知られたくないといったケースもあるだろう。そんなときに活用したいのが、大野さんが開発したAIチャットボット『こころコンディショナー』だ。
これは、AIが悩みを聞いて問題点を整理し、解決策を導いてくれるというもの。とはいえ、ロボットに人の心がわかるの? という疑問も…。そこで記者Sが試してみることに。
操作は簡単。まずはQRコード(以下参照)をスマホで読み取ってサイトに入り、「相談」形式か「チャット」形式かを選ぶ。AIの質問に答えながら進めていくのが「相談」形式で、言いたいことを好きなだけ書くのが「チャット」形式だ。記者は「相談」形式をチョイス。ママ友とのコミュニケーションについて悩んでいることを相談すると、「それはつらいですね」と、同情してもらえた! AIの定型文だとわかっていても少し救われた気分に。
さらに、「事実を振り返ると、うまくいっている部分もありませんでしたか?」と、冷静さを取り戻すようなアドバイスも。質問に答えていくだけで気持ちが整理され、問題点を客観視できるようになった。AI侮りがたし!! 所要時間は約5分。しかも無料だから気軽にトライできるのもいい。
AIチャットボット『こころコンディショナー』
https://carechat-demo.kiku-hana.jp/
取材・文/桜田容子
※女性セブン2021年3月11日号
https://josei7.com/
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