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大人のバレエ教室がアツい!50代以上のシニア生徒が急増中の理由「中毒性と満足感」

 子供の頃、「バレエ教室に通いたい!」と親にねだった経験はありませんか?そんな憧れを持ち続けた人やダイエット目的の人、「姿勢がよくなりそう」と思った人など、いろいろな理由で、大人になってバレエ教室に通い始める人が増えている。いくつになってもバレエに魅力を感じるのはなぜか?「いつしかバレエ中心の生活になってしまった…」というシニアバレリーナたちに話を聞きました。

シニアバレリーナ急増中

 全国約4500件のバレエ教室に行った調査(※)では、教室数や生徒数はこの10年で減少傾向にあるという。

 ところが、年齢層別に生徒の在籍率を見ると、50代~80才以上の割合が、いずれも上昇しているのがわかる。現在まで20年以上にわたり、バレエを習い続けている主婦の森内理恵子さん(57才)は、「この10年で大人のバレエ環境が大きく変化した、と感じている」と言う。

「私はダイエットのために30代でバレエを始めました。当時、家の近所で偶然、大人向けのバレエ教室を見つけたのがきっかけです。子供の頃に少し習っていたことがあり、バレエは見るのも好きだったので、やってみようと思ったのですが、その頃は大人の初心者にバレエを教えてくれる教室は本当に少なかったと思います。いまは私を含め50代の人も多いですが、当時は私と同じ20~30代の人がほとんどで、50代以上はほぼ見かけませんでした」(森内さん)

■全国バレエ教室の年齢層別生徒在籍率(50代以上を抜粋)

50代 2011年:69.2% 2016年:74.3% 2021年:77.1%

60代 2011年:45.8% 2016年:58.7% 2021年:65.1%

70代 2011年:10.3% 2016年:19.5% 2021年:36.0%

80才以上 2011年:1.4% 2016年:2.5% 2021年:5.7%

(※)昭和音楽大学バレエ研究所「バレエ教育に関する全国調査2021」より。(調査対象であるバレエ教室のうち当該年齢の生徒がいると回答した割合)

バレエを続ける人が多い理由

 また、4年前に大人向けに教室をスタートした「大人バレエアカデミー」代表の猪野恵司さんも、「現在、教室に通っている人の約4~5割が50代以上です」と話す。

「年齢制限は特に設けていませんが、現在、通っている生徒さんは、大学生から80才近いかたまで幅広く在籍しています。初心者でも、習い始めると長く続けるかたが多いのがバレエの特徴です。うちをやめるかたの理由も、ご主人の転勤や親の介護などやむを得ない事情がほとんどです」(猪野さん・以下同)

 生徒の中には、ほかの教室とかけ持ちで通っている人も多いという。

「スポーツジムなどのクラスに参加してみたら楽しくなり、基礎からしっかり習うために、並行してバレエ教室に通う人も増えています。うちも含めて、バレエ教室には体験レッスンを設けているところが多いので、実際に体験してみるのがおすすめです」

 また、バレエを長く続ける人が多い理由を猪野さんは、「ほかにはない“中毒性”があるから」と分析している。

「ポーズや動きのレベルなど、課題が次から次へと出てくるので、続けていると『もっと高く足を上げたい』『もっと回りたい』『もっときれいにポージングしたい』などと思うようになる。そうなると、通う回数も自然に増えて、週に4回くらい通っている人も多いんです。 

 勝ち負けを競うスポーツとは違い、バレエは『芸術』分野に属しており、型や動きを身につけるなど、自分の努力次第で目標を達成できるのも魅力の1つだと思います」

 さらに、発表会など人前で成果を披露し、拍手をもらう機会があるのも、バレエが満足感を得やすい要素の1つだ。

「ダイエット目的で始めた人などは、自分が発表会に出るなんて、想像すらしていない人がほとんどではないかと思います。でも、続けるうちに先生にすすめられ、あれよあれよという間に舞台の上で踊っている自分がいるわけです(笑い)。ここ数年は教室の発表会以外にも、出演料を払えば参加したい人が出られる『ジョイントコンサート』が多く開催されたりして、大人が舞台で踊るチャンスが広がっています。私も舞台に参加する機会が増えました」(森内さん)

■大人バレエアカデミー

東京に3か所(初台、銀座、池袋)の教室を持つ大人専門のバレエスタジオ。体験レッスン1000円、入会金1万1000円(体験レッスン後、その場で入会の場合は無料)。月謝1万円(月4回目安)~。https://personalballet.com/academy/

常に意識することで姿勢が美しくなる

 ダイエットとともに、スタイルアップが目的でバレエを始める人も多いが、「効果は本人の意識次第」と猪野さんは言う。

「たとえば、週に1~2回のレッスン時間だけ教えられたことをやっていても変わりません。レッスン以外の生活時間でも、常に背筋を伸ばすなど、習ったことを意識して続けていれば体形は変わります。姿勢なら1か月もあれば、きれいになると思います」(猪野さん・以下同)

 レッスンを受けながら自分の意識を変えることで結果が伴えば、続けたいというモチベーションも強くなる。また、バレエは人と比べることなく、自分のペースで学ぶことができるところも魅力。スタイルがよくなれば、憧れのバレリーナの衣装も着られるかもしれない、という夢も広がる。だが、いきなり体形が顕(あら)わになる服でレッスンを受けるのは気が引ける…。

「教室にもよりますが、うちの場合は、短パンにTシャツでも問題ありません。できれば、バレエシューズ(約2000円)だけは、慣れるためにも最初から用意した方がいいと思いますが」

 森内さんは、バレエにはレッスンウエアを選ぶ楽しみもあるという。

「初めは動きやすい格好ならなんでもいいと思います。ただ、続けているとウエアも凝りたくなるんですよね。何を着るかはバレエの楽しみの1つ。昔は買える場所や種類が限られていましたが、いまはネットで海外のものを買うこともできる。選ぶ楽しみも増えました」(森内さん)

 今回取材したシニアバレリーナたちは、「軽い気持ちで始めたはずなのに、いつの間にかこんなに長く続けている」という人ばかりで、子供の頃に習っていた記者も、体を動かしたくなってしまった。あなたも“バレエ沼”で、新たな人生を楽しみませんか?

「体形は、いまが自分史上ベストな状態です!」桑原千鶴子さん(62才)バレエ歴17年

 バレエ歴17年の桑原千鶴子さん(62才)がバレエを始めた当時はスマホもない時代。電話帳で調べて、「大人で、初めてでも大丈夫ですか?」と問い合わせて教室を探したこともありました。バレエは子供の頃に習うことができなかったので、子育てがひと段落したらやってみたいと思っていたんです。

 そんなとき、たまたま子供のスイミング教室でバレエの先生と知り合って、その先生の教室に通い始めました。  

 教室は30~40代のママたちが主な生徒で、50代以上の人はいませんでしたね。初めは子育て中だったため、週1~2回で通い始めたのですが、自分がやりたくて始めたことなので、とても楽しくて。

 ところが実際にレオタードを着てレッスンを受けてみると、教室の鏡で自分の姿を見てびっくり(笑い)。自分の頭にあるイメージと自分の姿や動きが全然違ったんです! 理想と現実の差にがっかりしましたが、あのときやめなくてよかったですね。

 徐々に体形の変化を感じるようになりました。骨盤が正しい位置に近づいていくと、肉のつき方がバランスよくなり…。バレエのおかげでいまが自分史上ベストな状態です。いまはレッスンに週4回ほど通っていますが、以前から自分は基礎が弱いと感じていました。そのため、もう一度しっかりと基礎から学びたいと思い「大人バレエアカデミー」に通い始めました。

 子供は体にまだ癖がなく、模写能力が高いので、先生の美しい動きを見て踊るだけでもうまく踊れるようになっていくのですが、大人は同じようなレッスンだけでは「バレエっぽい踊り」にしかならないように感じます。

 17年続けていてもバレエは奥が深くて、やればやるほど究めたくなり、新たな発見がある。掘っても掘っても掘り尽くせない、そんな魅力があるんです。

「目標は『ポアント』で踊ること!」村山香織さん(53才)バレエ歴2年

 バレエ歴2年の村山香織さん(53才)は子供の頃、バレエがやりたかったのに、親のすすめでジャズダンスを習っていました。28才で結婚。子育てが一段落した50才の頃に、運動不足から体を動かしたいと思ってジムに通い始めたのですが、そこでバレエクラスをすすめられ、「そうだ。私、本当はバレエがやりたかった」という気持ちを思い出して…。

 やってみると、これが想像以上にハマり、もっと本格的にやりたくなって、専門のバレエ教室に通い始めました。 

 バレエの基本に、脚を股関節から外側に開く『アンディオール』という動きがあるのですが、股関節の柔軟性が必要な動きで、この練習をしているうちに、気になっていた内股が改善。しかも、お風呂上がりに鏡で自分の体を見てヒップアップ効果を実感できたときはうれしかったですね。いまは仕事もあるので教室には週に1回通っています。

 バレエは本当に楽しくて、バレエがあるから仕事ができるっていう感覚です。だから仕事ですごく疲れていても、「バレエには行こう!」って思えます。今後の目標は『ポアント(トウシューズ)』で踊れるようになることです!

「ぎっくり腰が改善しました!」鈴木宏子さん(57才)バレエ歴10年

 バレエ歴10年の鈴木宏子さん(57才)。年に2~3回、ぎっくり腰になるのが当たり前になって困っていたら、バレエを始めた友人から「絶対にいいから!」と、半ば強引にバレエ教室に連れて行かれたのが始めたきっかけです。

 バレエは未経験で何もわからない状態でしたが、初心者向けの教室だったので、動き方からレッスン着などの細かいことまで丁寧に教えてくれて、難なく続けられました。驚いたのは、バレエを始めてぎっくり腰が改善できた!と実感できたことです。このままぎっくり腰を繰り返していたら、加齢とともに立って歩くのが大変になるという危機感があったのですが、いまは何事もなく生活や運動ができありがたいですね。

 腰以外にも筋肉がついて体が締まり、汗も以前よりしっかりかけるようになりました。骨をまっすぐに積み上げることをふだんから意識しているせいか、身長も2cm伸びたんです!

 いまは2つのバレエ教室に合わせて週3回通っています。ほかのスポーツに比べ、バレエは奥が深すぎてやめられません。

取材・文/苗代みほ 撮影/横田紋子(本誌写真部) 撮影協力/大人バレエアカデミー

※女性セブン2022年7月21日号
https://josei7.com/

●運動効果がすごい!チェアバレエ・エクササイズのやり方|美姿勢になってフレイル予防も!

●イタリアとフランスを巡るバレエとオペラ、その秘密

●由美かおる 15才から体形キープ「変わらない理由は呼吸法とチャレンジ精神」

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