由美かおる 15才から体形キープ「変わらない理由は呼吸法とチャレンジ精神」
「私と同い年なのに、あの人はなぜスタイルが変わらないのか!?」と、テレビを見ながらためいきをつくあなた。なぜなら、その人は、長年の経験に基づいた自分なりの方法を知っているからです。
「年だからとあきらめない!呼吸法とチャレンジ精神で15才の体形をキープしている」という由美かおるさん(70才)に、その秘訣を教えてもらった。
驚異の70才!しっかり食べてしっかり動く
15才から体形が変わらないという驚異の70才。同じ人間として、そんな奇跡があり得るのか…。何か特別なものを食べているのではないかと、思い切って尋ねると、
「もちろん、皆さんが召し上がるものを普通に食べています」と、由美かおるさんは微笑む。
「それでも、太らないのは食べた分、しっかりと体を動かし、カロリーを消費しているからでしょう」(由美さん・以下同)
好き嫌いもなく、コロナ禍前は外食も多かったという。
「肉も魚もいただきますが、特にその時季にしか食べられない旬のものが好きです。それと、白いご飯! ご飯粒をかみしめたときのあの甘み、本当においしいです」
食事のルーティンとして、朝食はしっかり摂る。
「鮭などの焼き魚に焼きのり、梅干し、卵焼き、サラダ、ヨーグルトに果物。そして、ご飯とともに必ず食べるのが、具だくさんのみそ汁です。
具は、お豆腐にお揚げ、長ねぎ、えのきたけ、まいたけ、干ししいたけ(戻し汁も加えて)、玉ねぎ、旬の野菜など、とにかくたっぷり。まずこのみそ汁をお腹に入れてから、朝食の始まりです」
お昼は軽く済ませ、夜は野菜の煮物など和食が中心だ。
「品数をたくさん並べます。ひとりで作るのは大変なので、友人と作ったり、お裾分けをいただいたり」
甘いものも好きで、『水戸黄門』(TBS系)時代、差し入れのおはぎを一度に6個食べたことも!
「さすがに翌日は、顔がふっくらしていましたね(笑い)」
37年続ける西野流呼吸法
自由に食べてもスリムさを保てる秘訣は何なのか?
「37年続けている呼吸法に尽きますね」
その呼吸法とは、西野バレエ団の創設者の西野皓三氏が創始した「西野流呼吸法」のこと。深い呼吸を全身に行き渡らせ、細胞の活性化を促すもので、由美は創始当初からその極意を学ぶいちばん弟子の1人だ。
「毎朝、西野流呼吸法の基本である『足芯呼吸』をはじめ、いくつかの動きで体を緩めていきます。20分ほどで体はぽかぽか。内臓から血管まで、内側から再生されていくような感覚になり、胃腸もすっきりします」
「足芯呼吸」とは、足芯(足裏)、丹田(下腹部)、百会(頭頂)を通る経路を意識しながら、全身に働きかける呼吸だ。
「自分の体を樹木だと思ってください。根っこからすーっと水を吸い上げるイメージで息を吸い、葉っぱ(手先)まで満たすように吸いきったら、次は根っこに向かって吐き下ろすというのが、一連の流れ(※)1回の呼吸を2分かけて行うのが理想です」
※基本の呼吸:足芯呼吸
足芯からひざ、太ももと足の中を通すイメージで鼻から息を吸う。丹田まで来たら肛門を軽く意識し、背骨を通り百会に達したら、軽く息を止める。そのまま顔、口、胸を通って丹田まで息を下ろし、足芯に向かって口から細く長く息を吐き下ろす。1回の呼吸を2分かけて行う。
オンライン画面の向こう側で、由美が実演するのを、見よう見まねで試みたものの…わずか10秒で、息がかなり苦しい!
「ストレスなどで呼吸が浅くなっている、そういうかたが多いんです。苦しくなる前に息継ぎをしても大丈夫」
由美も指導を行う東京・渋谷の『西野塾』には、小学生から90代まで性別問わず多くの人々が通う。
「生徒さんの中には、医師や企業の経営者など、ストレスに晒される職業のかたも多いです。仕事で疲れたときにやってみてください、効率が上がりますよ」
体が硬いと筋肉が緊張し、よりストレスを受けやすく、けがのもとにもなる。呼吸法を会得すれば、バレエの“Y字バランス”を軽々とこなす、由美のような柔軟性を手に入れることも可能だ
という。さらに…
質のよい呼吸は精神面にもよい影響を与える
「細胞レベルに働きかけるので、アンチエイジング効果もあります。私の場合、お肌の潤いや、髪の毛のハリも衰えていません。それに、いまだに老眼鏡いらず。新聞の小さい文字も裸眼で読めます」
呼吸法だけで、そこまで変化があるなんて!
「いつでもどこでも、体ひとつでできるのも魅力。ゆったりと行うことが重要です。満腹時は避けて、目覚めたときや、寝る前のちょっとしたすき間時間にでも、気軽に始めてみてください」
質のよい呼吸は、精神的な効果も大きいと由美は言う。
「人前で話すことが苦手だったのですが、呼吸法を学んでからは自分に自信がつき、多少のプレッシャーには動じなくなりました。
コロナ禍のいま、ストレスを抱えているかたは多いと思います。食べることでイライラを発散する方法もありますが、私は、呼吸法をすることで気分が切り替わります。エネルギーの循環がよくなるので、チャレンジ精神がわくようになります」
65才を過ぎてから本格的に始めたアコーディオン
その顕著な例が、4年ほど前から本格的に習っているアコーディオンだ。
「10年ほど前、パリの街角で女性が弾いていた姿に惹かれて独学で始めました。アコーディオンは、右手が鍵盤で、左手のボタンがコード。これを押しながら蛇腹を開閉して音を出すんです。同時に3つのことをやるのが、まあ難しい。
一度はあきらめかけましたが、先生について猛練習したら、どんどん曲が弾けるようになって。いまではコンサートで弾き語りをするまでになりました。歌詞はフランス語なので、さらにハードルが上がっています(笑い)。でも、この挑戦が楽しいんです」
由美かおる(ゆみ・かおる)
歌手・俳優。1950年生まれ。中学生で西野バレエ団に入団し、歌手、俳優として活動。1986年から2010年まで『水戸黄門』(TBS系)に出演。近著に『身体の内側から緩めて Y字バランス 奇跡のメソッド』(KADOKAWA)がある。趣味で始めたアコーディオンも、弾き語りをするまでに上達。「小さなものでも7㎏はあるので、筋トレ効果も」(由美)。
取材・文/佐藤有栄 イラスト/牛久保雅美、こさかいずみ
※女性セブン2021年6月24日号