高齢者に「ポールウオーキング」がおすすめな理由「通常歩行よりエネルギー消費量が多く、4点歩行で転倒防止に」
「杖を使うと筋力が衰えるのでは?」は間違い。杖を使って歩く楽しさを知れば、筋力がついて体も整い、健康になっていきますよ。さらに免疫力を高める効果も期待できるので、『杖エクササイズ』に挑戦してみて!
1日15分で運動効果が
2本のポールを使うウオーキングには『ノルディックウォーキング』と『ポールウォーキング』があり、最近はそれらを行っている人も多い。
「この2つは運動量が違います。前者は、ポールを体の後ろにつく『後方スタイル』という歩き方をするのですが、エネルギー消費量も多く、本格的にスポーツを楽しみたい人に向いています」(杖メーカー『シナノ』杖品種担当・山浦正行さん・以下同)
一方、ポールウォーキングは、長野県の整形外科医が考案した日本発祥の運動方法で、ポールを体の前につく「前方スタイル」という歩き方をする。
「ポールを前について体を支えながら歩くので、足腰の負担を軽減でき、軽度のひざ関節症と診断された人にもおすすめです。ラクに歩けることから、高齢者の転倒防止や安全な運動としての効果も注目されています。ポールウォーキングは何も持たないウオーキングに比べ、体がラクに動くので、歩く距離も伸びるんです」
ポールdeアクティブウォーキング技術研究会によると、ポールウォーキングを3か月間実践した場合、平均で脚筋力が約1.2倍にアップすることも報告されている。
「ポールを持って歩くことで正しい姿勢になるため、通常のウオーキングよりも平均して約8~15%もエネルギー消費量が上がることもわかっており、ダイエット効果も期待できます」
そのほか、血液循環の改善や消化器官の増強、免疫機能を高める効果もあるという。
「歩くのは1日15分程度で充分です。長く歩けるようになったら、どんどん距離を伸ばすといいですね。ポールには折りたたみ式で携帯できるものもあるので、旅行先にも持っていけます。ひとりでも手軽に始められますが、仲間がいると励みになって長続きするようです」
また、ポールを使った体操もある。
「運動時に転倒する心配もなく、座ってできるため、高齢者でも行いやすく続けやすいという利点があります。家の中で行えるので、雨の日や気温が高い日、寒い日などにもポール体操がおすすめです」
この体操はポールが支えになるので、腰やひざの負担が軽減される。
「おうち時間が増えたいま、在宅ワークの合間に行うと運動不足も解消できます」
杖は体を健康に保つもの。活動範囲を広げるために、臆せず積極的に採り入れたい。
■脚筋力が1.2倍アップ!
ポールを使わない人と3か月使って歩行した人を比べると、使った人の筋力が1.2倍アップしているのがわかる。
出典:「ポールdeアクティブウォーキング」技術研究会パンフレットより引用
高齢者にポールが最適な理由
・正しい姿勢で歩ける
ポールを持って歩くと、背筋が伸び、美しい歩行姿勢が自然ととれる。背筋が伸びると、若々しい印象になる。
・4点支持で転倒防止に
二足歩行で歩くよりも両手にポールを持つことで、両足、両手の4点で体を支えることになるため、体が左右に傾きにくくなり、ふらつきを防止できる。
・肩こりや腰痛軽減
4点で体を支えるため、ひざや腰への負担が分散され、歩行時の痛みも軽減されるため、運動が長続きする。
ポール体操
家の中でもポールを使って健康づくりができる。好きなときに初めてみて!
1.腕を伸ばす
椅子に座り、ポールを両足の近くにおき、息を吐きながら、両腕をゆっくりと前に伸ばし、息を吸いながら元に戻す。10回。
2. 肩関節をほぐす
平泳ぎのように肩を外側と内側に10回ずつ大きく回す。
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/鈴木みゆき 写真提供/シナノ
※女性セブン2022年3月31日号
https://josei7.com/
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