「子供と同居で疲弊」「なじめぬ環境で認知症に」老後の移住失敗実例に学ぶ“終の棲家”の選び方
親の方から子供との同居を申し出て、失敗したケースがある。千葉県に住む真山京子さん(74才・仮名)が話す。
「3年前の台風で自宅が半壊し、40代の息子夫婦に申し出て同居が決まりました。息子の自宅の客間にはトイレ・洗面所のほかにシャワールームもついていて、当初は大喜び。共稼ぎで頑張る息子夫婦のために、孫の面倒や家のことをやってあげたいと伝えたのが間違いの始まりでした。最初は“すみません”“ありがとうございます”“お任せします”と謙虚だった嫁も、次第に“これやっといてください”と指図するようになり、私は家政婦状態。夫(70才)も運転係として孫の塾や習い事、遊び、息子夫婦が酒席に出る際の送迎で大忙し。夫婦共に毎日ヘトヘトです。
おもちゃや塾代など孫にかかるお金も負担しているので、自分たちの生活費は倹約しています。こちらから声をかけて同居した手前、文句は言いづらくて」
実は同居が親世代を苦しめる例は少なくない。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが指摘する。
「子供家族との同居では、生活リズムが違うことでのトラブルが起きがちです。起床時間やお風呂のタイミングなど細かいことが気になり、ストレスになる場合が多い。もちろん、遠方に住んでいたときはなかった嫁姑問題が表面化することもよくあります」
旅行くらいならまだしも、一緒に生活するとなれば些細なことも積み上がっていく。
教えてくれた人
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さん
※女性セブン2022年6月16日号
https://josei7.com/
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