『DAIGOも台所』では料理超初心者DAIGOの所作に視聴者が共感、成長を見守る親気分に
『DAIGOも台所 ~きょうの献立何にする?~』(毎週月〜金 ひる1時半〜 テレビ朝日系)が話題です。料理に初めて取り組むDAIGOの「ほんとうに何もできない」様子、でも真面目に取り組む姿勢が笑いと共感を呼んでいます。テレビウォッチャー・北村ヂンさんが4月4日スタートからの見どころをまとめました。
『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』の後番組
テレビ各局、視聴者の若返りが最重要課題となっているようで、この3月には多くの長寿番組の終了やリニューアルが行われた。その中の一つ、27年間続いた『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』の後を引き継いでスタートしたのが『DAIGOも台所 ~きょうの献立何にする?~』だ。
辻調理師専門学校の講師らとトークをしながら料理をするという基本コンセプトはそのままだが、司会が上沼恵美子からDAIGOに変更と、かなり思い切った改変。そして、DAIGOがまったく料理をした経験がないというのがこの番組のミソなのだ。
子どもを見守る気分になれる料理番組
DAIGO・北川景子夫妻は一昨年に第一子が誕生したばかり。そこで、料理未経験のDAIGOも「台所の戦力になりたい」「娘のお弁当を一人で作りたい」とのことだが……。それにしても、よく料理番組のオファーを受けたなというレベルの初心者っぷり。
初回放送では、ピーラーでジャガイモの皮をむくだけで大騒ぎしていた。
普通は誰が使っても安全なピーラーで、指を切るんじゃないかとハラハラするくらいたどたどしい手つきで何とか皮をむききったDAIGO。満足そうな顔をしていると、先生から包丁でジャガイモを切るように指示が出る。
「先生、結構攻めてきますね……」
そりゃあ皮をむいたら次は切るだろう。
普通の料理番組だったら、分量を紹介するだけで済ませる調味料も、DAIGOにかかればちょっとしたクライマックスだ。
砂糖を「小さじ2/3」計るように指示をされたDAIGOは「しょっぱなから2/3っすか!?」と困惑。その上「2/3」と言われているのに、小さじに砂糖を山盛りにしてしまう。仕方なく先生は「すりきり」のテクニックを伝授するのだった。
……そのレベルから教えてくれる料理番組はなかなかないだろう。
この後も「大さじ1」の水を計量するにあたって、表面張力で盛り上がってしまった分をどうしたらいいか悩んだり。調味料の計量だけで結構な時間を費やしていた。
「先生。これたぶん、こんな時間のかかるところじゃないっすよね!?」
そうですね。
放送時間帯的にメイン視聴者は、ふだんから料理をし慣れている主婦層ではないかと思われる。ここまで初心者向けな情報は求められていないはずだが、包丁を握るだけで、フライパンを持つだけで緊張オーラを全開にするDAIGOを、ハラハラしつつもほほ笑ましく見守ってしまうのだ。
「濃厚みそチーズクリームチキン」回(先生は料理コラムニストの山本ゆり)では、鶏肉を炒めながら、跳ねる油に悶絶していた。
「あっつい! 油が跳ねます! 油が……」
「じゃあ火を止めてください」
「熱ッ! 熱ッ!」
「火ぃ止めたらいい……」
「と……止めますよ、じゃあ」
「はよ止めてください!」
ホント、子どもの「はじめての料理」を見守るような気分になってくる。
DAIGOの真面目さがいい!
ちょっとした工程もかなり手間取りながら進めるDAIGOだが、見ていてイライラしないのは、本当に真剣に取り組んでいるのが伝わってくるからだろう。はじめてやることに関しては、ものすごくたどたどしいが、教えてもらったことはキッチリと覚え、次回以降に活かされてくる。着実に成長が見えるのだ。
「やわらかチーズハンバーグ」の回で、パン粉を「大さじ3」入れるように指示されたDAIGOは、「そんなに厳密に計らなくて大丈夫ですよ」という言葉も聞かずに、キッチリとすりきり3杯計量。しかし、用意された容器にチョコッとだけパン粉が残ってしまった。
「ちょっとだけ残っててもアレなんて、入れちゃっていいですよ」
「……計量しなくてよかったってことですね」
悲しそうな表情を浮かべるDAIGO。真面目!真面目に料理に取り組んでいるが故に、こんな発言もあった。
「集中しているとやっぱ、何もしゃべれなくなるんで、その間、先生ちょっとつないでもらえますか?」
どんな番組だ!
27カ月と言わず、27年続けてほしい
とにかく先生たちが優しくDAIGOを見守っているのもほほ笑ましい。
ジャガイモを半分に切っただけで、「完璧です!」 卵を割り入れる際、思いっきり殻まで入れてしまっても、「見てませーん!」とフォロー。小麦粉を食材に満遍なく振り入れる場面で、ドサッと小麦粉を投入してしまっても、「あーっ……煮込むんで全然大丈夫です。どうせボコボコなってるうちに混ざっていくので大丈夫です!」
フォロー上手。もちろん、単にDAIGOを愛でるだけの番組ではない。
超・初心者のDAIGOが司会だからこそ、普通の料理番組ではスルーしてしまうようなところまでしっかりとフォローしてくれ、意外と知らなかった料理情報を提供してくれることもある。
初回のラストにDAIGOは、「27年……うーん、27カ月は続けたいな」と語っていた。いやいや、『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』を超えるくらいの長寿番組を目指してもらい、とんでもない料理スキルを身につけた姿を見せてもらいたいところ。
それと同時に、いつまでもたどたどしいDAIGOを見ていたい気持ちもあるのだが……。
文とイラスト/北村ヂン
1975年群馬県生まれ。各種おもしろ記事でインターネットのみなさんのご機嫌をうかがうライター&イラストレーター。……といいつつ最近は漫画ばかり描いています。