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高木ブー、ハワイへの思慕「初めて行ったのは昭和40年代、ドリフの家族旅行だった」

「この夏こそは、ハワイのあのさわやかな空気を吸いたい」――。高木ブーさんにとって、ハワイは特別な場所である。ハワイアンの聖地であり、ザ・ドリフターズのメンバーや家族との思い出も多い。渡航の条件が緩和されたニュースを聞いて「そろそろ行けるかな」と期待に胸をふくらませているブーさんに、ハワイの思い出を聞いた。(聞き手・石原壮一郎)

ハワイにはすっかりご無沙汰してしまった

 アロハ! 僕はライブやYouTubeの番組では、必ず最初にこう挨拶している。この言葉には、僕が大好きなハワイの文化の魅力が凝縮されてるんだよね。「こんにちは」や「さようなら」といった気軽な挨拶で使われることが多いけど、「愛してる」という気持ちを伝えるときにも使う。日常的な挨拶と愛の告白が同じ言葉って言うのが素敵だよね。

 大好きなハワイにも、コロナで行けない状態が続いてる。ウクレレを人生の相棒にしている僕にとって、ハワイは特別な場所なんだよね。ハワイのステージに上がって青い空の下でさわやかな風を受けながらウクレレを弾いていると、言葉では言い表せない幸せを感じる。きっと自分はこの気持ちを味わうためにウクレレと出合ったんだな、なんて思っちゃう。

 ちょっと前にニュースで、日本とハワイを行き来するときの条件が緩和されたって言ってた。ずっと我慢してきたけど、ようやく可能性が出てきたのかな。この夏こそ、ハワイの空の下でウクレレを弾きたい。いつもアロハシャツの生地を買っているお店の店長さんは元気かな。また久しぶりに、最新の柄を仕入れてこないと。

 高校生や大学生の頃からハワイアンを演奏していて、ハワイにも憧れを抱いていたけど、もちろんその頃は行けるわけがない。初めて行ったのは昭和40年代の半ばだった。「8時だョ!全員集合」が始まってすぐの頃に、フジテレビの「スター千一夜」という番組の企画で、ドリフターズのメンバーがそれぞれ家族を連れてハワイに全員集合したんだよね。娘のかおるは8歳で、僕もママも30代だった。このときに海岸で撮ったのが、旅先で親子3人で写っている唯一の写真です。

 娘は「ママも私も笑ってない」って不満そうだけど、僕はとっても気に入ってる。写真を見てると、3人で海岸を歩いて「日本と違うね」なんて話したこととか、初めてのハワイに感動した気持ちとか、いろいろ思い出す。それにこの写真のおかげで、今でもハワイに行くとママもいっしょにいるみたいな気がするもんね。


 ドリフとして行ったのでは、40年ぐらい前に「ホノルルマラソン」に何度か出場したのが思い出深い。たしか3回出たかな。もちろん僕も一生懸命に走ったんだけど、いつもスタートしてわりとすぐにリタイアしちゃってた。

 僕のアルバムには、ワイキキの海岸で撮った写真もある。志村(けん)がメンバーになってからだから昭和50年代だね。みんな若いなあ。志村もふさふさだし。あっ、今思ったけど、みんなで長さん(いかりや長介)を水の中に放り込むのは、「ドリフ大爆笑」でやった「威勢のいい風呂屋」と同じだ。このときのことがヒントになってあのコントが生まれたのかも……なんて考えると楽しいよね。実際はそうじゃないだろうけど。

僕のハワイアンネームは「ホワコクワ」

 ハワイとの結びつきは、ドリフとしてではなく、ウクレレ奏者の高木ブーとして頻繁に行くようになってからのほうがより強くなった。スケジュールに追い立てられずに、ゆっくりハワイを楽しめるようにもなったしね。「アロハ」の挨拶もそうだけど、ハワイの文化を深く知る機会も増えた。

 20年ぐらい前には光栄なことに、日本でハワイ文化の普及に貢献したってことで、カメハメハ大王の直系の子孫にあたる人間国宝の方から、「ホワコクワ」っていうハワイアンネームを授けてもらった。「ホワコクワ」っていうのは、「友だちを支え助けになる。精霊を分け与える」という意味らしい。何となく、自分にピッタリな気がするんだよね。

 2019年2月には、ステージである『Blue Note Hawaii』でライブを開催した。日本人アーティストとして最高齢出演だったらしい。柏の夏祭りで初めてステージに立った15歳の自分が見たら、なんて言うだろうと思ったな。ウクレレが僕を思いも寄らない遠くまで連れてきてくれたんだなと、ウクレレに感謝を込めながら歌った。

 恒例の「ウクレレ・ピクニック・イン・ハワイ」も、いつもすごく楽しみ。「1933ウクレレオールスターズ」をいっしょにやってるサザンオールスターズの関口和之君がプロデュースしてるイベントで、野外ステージから見る光景が最高なんだよね。いちばん最近野外でやったときに、ステージと会場が一体になって「いい湯だな」で盛り上がったんだけど、あれは感動的だった。このところはオンラインでの開催になってて、それはそれで楽しいんだけど、そろそろまたライブでやれるのを楽しみにしてます。

 いやいや、ハワイの思い出を語り出すと、止まらなくなるね。この先もまだまだ、たくさんの思い出を作っていきたい。それではこのへんで。マハロ!

ブーさんのひと言

「みなさんは、ハワイは好きですか?この夏こそ、あの青い空の下でまたウクレレを弾きたいな。また『いい湯だな』で盛り上がれたら最高だね」

高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。6月に初めての画集『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)を上梓。毎月1回土曜日20時からニコニコ生放送で、ドリフの3人とももクロらが共演する『もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~』が放送中。

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が好評発売中。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

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