介護保険外サービスは1時間3000円が目安 その種類と賢い利用方法「模様替え、買い物代行、病院の介添えも」
もう1つの問題が、お金を払っていることもあり、スタッフのことを「お手伝いさん」と勘違いしてしまうケースだ。
「あくまでも、基本は利用者の介護・看護サービスです。無茶な要求を何でも聞いてくれるわけではない。部屋の模様替えをする際に、重くて動かせないような家具の移動はいくら保険外サービスでもできませんし、大掃除をやってくれるかどうかは事業所の方針にもよる。事前によく確認することが必須です」
もちろん、介護保険内で事足りるなら、わざわざ利用する必要はない。まずは介護保険サービスをフル活用し、何が足りないのかを検討したい。
「地域によっては夜間対応している訪問介護が少なかったり、土日はヘルパーの数が不足したりすることも。日中は介護保険サービスの訪問介護を使い、夜間や休日だけ保険外サービスを利用するという人もいます」(小菅さん)
介護保険制度を利用できるのに、申請していないという人は意外に多い。使えるものはしっかり使い、うまく組み合わせるのが賢い方法だ。
事業所はしっかりと比較して決めること
介護保険外サービスの事業所は、どう見つければいいのか。小菅さんが解説する。
「保険外サービスは、地域のケアマネジャーたちも把握しきれていないのが現状。子供がインターネットで調べたという利用者が多い。リサーチする際は、まず『○○市 介護保険外 家事代行』などのキーワードで検索し、サービス内容や価格などを比較する。
『職員全員が有資格者』などの情報をサイトに掲載している事業所は信頼できるでしょう。1か所に限定せず、最低でも3か所程度を比較すること。事業所に問い合わせると、担当者が自宅へ訪問し、無料の打ち合わせを行います。顧客満足度の高い事業所は、利用者の経歴などからしっかりヒアリングするので、その態度も見極めどころです」
介護はがまんというイメージが強いが、それは選択肢が狭いことが原因だ。
「いざとなれば、保険外サービスという手段がある。それを知っておくだけで、高齢者もその家族も、できることの幅や選択肢が広がるはずです」(大軒さん)
13年間にも及ぶとされる女性の介護期間。知っている人だけが、最後まで人生を満喫できる。
介護保険外サービスの種類
■市区町村が実施する高齢者在宅サービス
問い合わせ先:市区町村、地域包括支援センター
主なサービス:おむつサービス、訪問理美容サービス、寝具の洗濯、配食サービス、病院や施設への移送・送迎サービス、緊急通報システムなど
■市町村が中心となり実施する介護予防・日常生活支援総合事業
問い合わせ先:地域包括支援センター
主なサービス:家事や外出支援など訪問による生活援助サービス、施設での運動など通所による活動援助サービス
■介護サービス事業者による介護保険外サービス
問い合わせ先:介護サービス事業者、地域包括支援センター
主なサービス:家族の分も含めた家事全般や大掃除などの生活援助、冠婚葬祭の外出付き添いなど介護保険サービスでは提供不可の身体介護など
■社会福祉協議会の高齢者支援サービス、シルバー人材センターの家事・福祉支援サービス
問い合わせ先:社会福祉協議会、シルバー人材センター、地域包括支援センター
主なサービス:草むしり、大掃除、話し相手なども含む家事支援サービスや、通院の付き添い、見守りなどの介護援助サービス
■民間企業の介護サービスや高齢者支援サービス
問い合わせ先:各企業、地域包括支援センター、市区町村
主なサービス:配食サービス、家事代行サービス、介護タクシーでの通院や買い物など、緊急時の対応など
※LIFULL介護の記事をもとに編集部で作成。
教えてくれた人
小菅秀樹さん/老人ホーム検索サイト「LIFULL介護」編集長・介護施設入居アドバイザー。
https://kaigo.homes.co.jp/manual/homecare/zaitaku_service/hokengai/
大軒愛美(おおのきまなみ)さん/終末期医療に詳しい看護師。
鐵(てつ)宏之さん/居宅介護支援事業などを手がける鐵社会福祉事務所・代表。
※女性セブン2022年3月31日号
https://josei7.com/