うつみ宮土理さん64才で韓国留学「原動力は恋心。今お気に入りはパク・ソジュン」
老後に向けて「何か新しいことを始めたい」と思ったとき、大切なのは「自分が楽しい」と思うこと。あまり楽しくないのに「仲間と一緒」を優先すると、人間関係のしがらみから途中でやめることができず、参加するのが義務になり、かえってストレスになる。自分本位で好きなこと、やりたいことを追求する。60代の思春期は自由でいいのだ。
俳優・タレント・作家のうつみ宮土理(79)さんに、64才で語学留学を経験したお話を伺った。「語学は脳のアンチエイジング。韓国ドラマでときめくのも若返りますよ!」とキラキラと輝く笑顔を見せながら、当時を振り返ってくれた。
ヨン様に会って挨拶したいから、64才で韓国留学
韓流ドラマ好きで、いまも毎日テレビで見ているという俳優でタレントのうつみ宮土理は、64才で韓国・ソウルの慶熙(キョンヒ)大学校に語学留学している、シニアの語学留学の先駆けだ。
そのきっかけは『冬のソナタ』。ヨン様ことペ・ヨンジュンに憧れたことが始まりだ。
「それまで韓国のドラマは見たことがなかったのに、2006年の冬に友人にすすめられて見たところもう虜(とりこ)。芸能人に憧れるっていうのも初めての経験で、ヨン様に会いたい、会って『私はあなたのものすごいファンなんです。あなたに会いたいと思ってここにやってきました』っていうことくらい話せなくちゃと思って、次の日にベルリッツの韓国語教室の個人レッスンを申し込んだんです」(うつみ・以下同)
一刻も早く会いに行きたいと思ったが、ただソウルに行ってヨン様を待っていても仕方がない。大学に入って韓国語を勉強したいと心から強く念じていたところ、仕事帰りの路上で「ソウルの大学に留学しませんか」というチラシを入手する。
その日のうちに夫のキンキンこと愛川欽也さん(享年80)に相談すると、「ま~だ勉強したいなんてえらいね~。行っておいで」と褒められ、応援してくれたのだ。
レギュラー番組を降板して留学へ
ヨン様に出会って数か月。当時は『さんまのスーパーからくりTV』(TBS系)など、いくつものレギュラー番組を抱えており、3か月休ませてほしいと願い出たものの許されなかったため、断腸の思いですべて降板することに。
「だって二股は無理じゃない。1つのことを一生懸命するためには何かを諦めなくちゃ無理。『韓国語を習いたい。そのためには留学しかない。朝から晩まで韓国語が流れているところで学ぼう』と決意しベルリッツでの集中勉強と、ドラマのせりふなどを教材にして韓国語を教える名人の市吉則浩先生の個人レッスンも受け、日常会話の読み書きなどの基礎を学びました」
そして、2007年4月から3か月の留学生活を始めた。ヨン様にハマって約半年後のスピード決断だった。
「安いホテルに3か月滞在し、午前中から約4時間は大学で勉強。ほとんど初心者だったから、宿題が出ても質問がわからなくて答えが出せない。“トウミ”という留学生サポート制度を利用して、そのスタッフにいろいろ協力してもらい、個人レッスンでもみっちり教えてもらっていました」
夜になると理解できない韓国語で脳がパニックを起こしそうになりながらも、お風呂に入って復習を繰り返す。24時間韓国語漬けの生活を続けたところ、3か月目に入った頃、突然、「会話が理解できている」と思った瞬間が訪れたという。
「それまでは、単語ごとに考えながらゆっくり話していたのに、このときは普通に会話をしていて、その瞬間は、パッと霧が晴れたようでした!」
無事に卒業し、帰国した彼女が自宅玄関の扉を開けると、愛川さんが手作りの「おかえりなさい」の垂れ幕と花吹雪で出迎えてくれた。それが何よりもうれしく、学びの成果を持ち帰れたことが誇らしかったという。
語学習得の原動力は“恋心”
帰国後も韓国語の勉強を続け、留学仲間とはいまも連絡を取り合っている。現在はコロナ禍で韓国に行くのが難しいため、もっぱら韓国ドラマで勉強中。『愛の不時着』や『梨泰院クラス』など話題作も欠かさず見ている。現在のお気に入りは、パク・ソジュンだ。
当初のヨン様に会って話すという目標は、達成できたのだろうか。
「留学中にホテルのスタッフや会う人ごとに、『ヨン様に会いたくて留学してきた』と言っていたら、撮影中のヨン様に少しだけ会うことができました。ちゃんと挨拶できたから、留学したかいがありました」
その後、日本でも会う機会があったが、挨拶程度で会話が弾むまではいかなかったと、少し残念そうだ。
「思えば、大学の頃は映画『ブルー・ハワイ』のエルヴィス・プレスリーが好きで、毎日のように映画館に出かけ、英語も猛勉強しました。英語も韓国語も習得の原動力は“恋心”。語学の習得は脳を刺激するのでアンチエイジング効果もありますね」
そう、今度は笑顔を見せる。
語学を習得するのは時間がかかるが、どっぷり漬かれば3か月で何とかなる。年齢は関係なく、話したいという気持ちの強さが重要だ。
「いまは足腰が衰えないように、毎朝公園でラジオ体操をしています。終わった後は、コンビニで買ったコーヒーを飲みながら、韓国ドラマ好きの友人に韓国語を教えています。私、教えるのもうまいのよ」
教えてくれた人
俳優・タレント・作家 うつみ宮土理
1978年に『シャボン玉こんにちは』でコンビ司会をしていた愛川欽也さんと結婚。『うつみ宮土理のおしゃべりしましょ』(ニッポン放送)に出演中。
取材・文/山下和恵 取材/廉屋友美乃 撮影/矢口和也
※女性セブン2022年3月24日号
https://josei7.com/
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